2024年04月24日( 水 )

ハイネケンはF1を救うか グローバルスポンサーの行方(前)

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ハイネケン イメージ オランダのビール醸造メーカー、ハイネケンは6月9日、世界最高峰の自動車レースF1とグローバルスポンサーの契約を結んだことを発表した。契約は2020年までで、ハイネケンは今年のイタリアGPの命名権を取得し、アルコールが禁止されているアブダビGP以外のレースでコースサイド広告を出す。企業がF1の運営自体をサポートすることは例がなく、新たなスポンサーの形態として世界中の注目を集めている。

 F1の運営は世界自動車連盟(FIA)が競技面を管理し、フォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)が財務面を一手に取り扱っている。ハイネケンはFOMと単独で契約を結んだ。2017年からは1シーズンあたり3つのグランプリでタイトルスポンサーを務め、ほかに6つのレースに広告を出す。F1の公式ビールパートナーとしてグランプリが開催されるサーキットにバーやラウンジを設置し、同時に飲酒運転防止キャンペーンも展開。ただし、F1マシンにハイネケンのステッカーは張られない。

 F1サーカスと呼ばれるように、グランプリの主催者はレースを開催するサーキットの運営事業者が務める仕組み。主催者側はFOMに莫大な開催権料を支払うことになるため、大手企業がグランプリのタイトルスポンサーになることがある。たとえば日本GPでは初開催の1987年から2009年までフジテレビがタイトルスポンサーを務めていた。この場合、スポンサーとなる企業は主催するサーキットと契約を結ぶ。ハイネケンのようにFOMと契約し、複数のグランプリでタイトルスポンサーになるというケースは初めてだ。

 かつてF1ではたばこ会社が多くのチームでメーンスポンサーを務めていたが、世界的な禁煙の広がりによって多くの国でたばこ広告のテレビ放映が禁止されたことから、ほとんどの会社が撤退。その後はアルコール飲料メーカーが勢力を伸ばすのではないかとの見方が広がったが、結果としては全くといっていいほど定着しなかった。米の大手ビールメーカーのバドワイザーが2003年にウィリアムズチームのスポンサーとなってF1に初参入して話題をさらったが、契約満了を待たずに撤退してしまった。現在のところ、目立つのはマクラーレンと長期契約を結んでいるウィスキーメーカーのジョニーウォーカーと、2014年からからウィリアムズのメーンスポンサーとなったイタリアの酒造メーカーのマルティニぐらいだ。

(つづく)

【平古場 豪】

 
(後)

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