2024年04月30日( 火 )

成長可能性都市ランキング(野村総研調査)(前)

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トップ10に九州から、福岡、鹿児島、久留米、佐世保が入る

 九州人には元気になる話だ。(株)野村総合研究所がまとめた、都市が持つ、産業を生み出す力を順位づける「成長可能性都市ランキング」で、福岡市が2位になるなど上位10都市のうち九州の4都市が入った。朝日新聞(8月26日付朝刊)が報じた。野村総研のレポートを見てみよう。

成長の「伸びしろ」が最も大きいのは福岡市

 野村総研は、人口10万人以上の主な100都市を対象に調査を実施。今後の成長性を左右する「産業創発力」の現状、および将来のポテンシャル(潜在的可能性)を分析した「成長可能性都市ランキング」を作成した。

 この調査では、産業の創発力を「多様性を受け入れる風土」「創業・イノベーションを促す取組」「多様な産業が根付く基盤」「人材の充実・多様性」「都市の暮らしやすさ」「都市の魅力」の6つの視点から計131の指標を用いて総合的に分析した。
総合的に産業創発力が高い1位は東京23区だ。2位が福岡市、5位が鹿児島市、9位が久留米市、10位が佐世保市。上位10都市のうち九州の4市が入った。

 産業創発力の現状と将来の可能性の差の大きさ比較した成長の「伸びしろ」ランキングでは、福岡市が1位。2位に鹿児島市、5位に久留米市、8位に宮崎市、9位に那覇市、10位に熊本市。上位10位のうち九州・沖縄の6市がランクインした。野村総研は、「今後わが国において自立して世界から外貨を獲得し、地域経済を牽引する『ローカルハブ』(地方の中核都市)になる可能性を秘めた『成長可能性都市』である」と評価している。

 では、野村総研は九州の各都市をどう分析しているのか。

福岡市は「都市の魅力」で1位

 福岡市は「都市の魅力」で1位、「創業・イノベーションを促す取組」で3位だった。
 「都市の魅力」では、次の4点を挙げる。

・社会が活気にあふれ、住む人が活き活きとしている。よそ者に対する寛容度が高く、高齢者やおひとりさま、外国人などすべてに対して開かれた雰囲気がある。

・飲食店や買い物の場所が非常に充実しており、こだわりの店などナイトライフも楽しめる。

・他の大都市と比べ物価や住宅コストも安い。

・空港や新幹線など交通も非常に充実している。

 「多様・イノベーションを促す取組」は、東京23区、大阪市に次いで福岡市は3位。評価は次の3点。

・自治体の創業支援が充実しており、住民にも自分で事業を立ち上げたいと考える人が多い。

・街に再起の可能性(仕事を見つけたり、起業するチャンスがある)と考える住民が多く、挑戦していく雰囲気がある。

・創業の実績が多いとは言えず伸びしろが大きい。産学連携の研究開発が活溌なため、大学発のベンチャーなどの産業創発が期待される。

 県内の他の都市には「鉄の北九州」「ゴムの久留米」という産業があるように、これといった産業がない福岡市だが、「都市の魅力」で付け加えれば、プロ野球球団の存在が大きい。大都市であることのひとつの条件に、プロ野球球団を持つことがある。かつて福岡は西鉄ライオンズが去って、大都市の資格を失ったが、福岡ダイエーホークスの誘致に成功。それを引き継いだ福岡ソフトバンクホークが黄金期を築き、福岡という魅力的な街のシンボルになった。

(つづく)
【森村 和男】

 
(後)

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