2024年05月06日( 月 )

名護市長選結果は翁長体制存否に直結する

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 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、普天間飛行場の移設問題が争点となる沖縄県名護市長選について、政権側の札ビラ攻勢を厳しく指摘する1月14日付の記事を紹介する。


2月4日に沖縄県名護市長選挙が実施される。

争点はもちろん米軍基地問題である。

2010年の市長選で辺野古米軍基地建設阻止を公約に掲げる稲嶺進氏が「普天間飛行場県内移設反対」を掲げて出馬して市長に選出された。2014年の選挙で再選をはたし、今回、三選を目指す。
2014年11月の沖縄県知事選では辺野古米軍基地容認に転じた仲井眞弘多知事に対抗して「辺野古に基地を造らせない」を公約に掲げた翁長雄志氏が立候補して翁長氏が新知事に選出された。
しかし、翁長雄志氏の辺野古米軍基地建設阻止に向けての対応は遅く、現在は辺野古米軍基地建設が強行されている。このなかで迎える今回の名護市長選。安倍政権は辺野古米軍基地建設に反対する稲嶺進氏を落選させるために総力を結集している。
この選挙で稲嶺氏が落選して、自公候補が新市長に選出されると、辺野古米軍基地建設阻止闘争は大きな分岐点を迎えることになる。本年末に予定される沖縄県知事選にも重大な影響がおよぶだろう。

辺野古に米軍基地を造らせないとする「オール沖縄」勢力は最大の関門を迎えようとしている。
選挙は現職知事の稲嶺進氏と辺野古米軍基地建設を強行している安倍政権与党が推す前市議の渡具知武豊(とぐちたけとよ)氏による一騎打ちとなる公算が高いと見られている。

今回の名護市長選では公明党と支持母体の創価学会が渡具知氏推薦を決めた。報道によると、名護市内の公明票は約2,000票とされており、接戦になれば結果を左右することになる。公明党県本部は普天間飛行場の県内移設反対を掲げているが、渡具知氏推薦を決めた。前回は自主投票だったが、今回は自民系候補の支援に回る。

この選挙で稲嶺氏が落選し、渡具知氏が当選すると、米軍基地建設推進勢力を勢いづけることになる。沖縄での米軍基地新設を許さないとする勢力にとって、この選挙に負けることは重大なダメージになる。翁長雄志知事の対応の遅れで辺野古米軍基地建設が大幅に進展する結果がもたらされているが、この流れをせき止めるためにも、名護市長選挙を落とすわけにはいかない。稲嶺進氏の三選を勝ち取り、辺野古米軍基地建設阻止闘争を再出発させなければならない。

一気呵成に辺野古米軍基地建設を強行したい安倍政権も、この市長選が重要な分岐点になると判断して、文字通りの総力戦を展開している。従来同様、札束で頬を叩いて票を買い取るとの形容がふさわしい、卑劣な対応を進めている。
ジャーナリストの横田一氏が伝えている通り、安倍政権は政府・与党要人を沖縄に派遣して、利益誘導によって票を買い取るかのような対応を示している。

12月29日には菅義偉官房長官が名護市に入った。安倍政権は米軍基地建設に反対する沖縄県に対する予算配分を削減する一方で、沖縄県や名護市を通さずに、基地受け入れを表明した名護市の三集落に対して国の補助金を直接交付するという「直接交付金」を投入してきた。
まさに、札束で頬を叩いて基地を受け入れさせる手法だが、このスタンスを今回選挙でも踏襲している。

※続きは1月14日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1944号「名護市長選結果は翁長体制存否に直結する」で。


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