• このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年02月09日 07:02

奇跡のJ1昇格 V・ファーレン長崎 高田明社長の目指すものは(3)

(株)V・ファーレン長崎 代表取締役社長 高田 明 氏

 Jリーグ・J2は毎シーズン有力チームが入れ替わり、当初有力視されていたチームが下位に沈み、ノーマークの弱小チームが躍進するドラマが繰り返されている。とくにJ1への昇格争いは、「まさか」の声が漏れるような快進撃や大逆転劇が相次ぐ、世界でも稀に見る過酷な戦い。2017年4月に高田明氏が代表に就任したV・ファーレン長崎の昇格劇は、そのなかでも白眉といえるだろう。立役者の1人である、高田明代表に話を聞いた。

J2の力を越えたから昇格できた

 ――来シーズンの目標としては、やはりJ1残留ですか。

昨年11月から使用開始されたクラブハウス

 高田 いやいや、残留は目標にはならないですよ。残留では、皆さまの夢にならないでしょう。「残留するぞ!」というためにJ1に上がったわけじゃないですから(笑)。どんなことでも、達成できるかどうかはわかりません。ビジネスの世界でも、目標を掲げても目標に達せないことはある。努力しても、自分たちの力だけでは越えていけないいろいろなリスクがあります。だからこそ、そのプロセスにどれだけ向き合っている自分たちをつくれるかということが、結果的に、残留以上のものを生み出していくと思います。一戦一戦、一秒一秒を真剣に戦っている選手の姿を想像し、それを応援しているファンと県民の姿を想像し、それが一体になったときに残留どころかアジアも……という世界にいけるかもしれない。そういう夢をもってもいいじゃないですか。

 ――目標が残留ですと、現実的すぎるかもしれませんね。

 高田 18年の年末になって、「いやあ残留してよかったですね」という人は誰もいないと思うんですよね。夢はもっていいんですよ。それが自分たちがもっている以上の力を出してくれる。人間、やらなきゃいけないと思ったらやれるんですよ。本当の情熱が出てくれば、周りが見る以上の力を発揮できるんです。それが、V・ファーレン長崎が13戦負けなしで昇格できたということだと思いますよ。「J2の実力ではJ1では通用しない」ではなくて、「J2の力を超えたからJ1に上がることができた」と、選手たちの力を信じたいんですね。その証拠に、毎試合違うヒーローが出てきてくれました。全選手が1つの方向に向かっていました。よく「社長、いったい何をしたらそうなったんですか」と言われますが、私は何もしていません。気持ちを語ってきただけです。でも、人は気持ちで変わるということが、V・ファーレンの今年に現れていると思います。

20億円規模の収入目指して経営基盤を強化

 ――では18年は、社長としてどんな動きをしていくおつもりですか。

クラブハウスのエンブレムは、募金したサポーターの顔写真で作られている

 高田 経営の立て直しはまだ道半ばです。ようやく1人立ちできたというところですね。V・ファーレン長崎はジャパネットの子会社ですが、その立場にいつまでもいてはいけない。まだ企業再生の途中ですね。

 ――企業としての営業収入は、福岡、鳥栖など同じ九州のJリーグクラブと比べてもまだ低い状態です。アビスパ福岡の半分以下ですね。

 高田 そうですね。広告収入は3億5,900万円。これはトップの名古屋グランパスの10分の1以下ということになります。これは17年は大きく改善しました。それにJ1では20億円程度の規模の営業収入がなければ経営していけませんが、そこも見えてきました。でも、強化を進めていくためにはまだ足りませんから、努力しています。サガン鳥栖さんが27億円ほどですが、ここを目指して努力していきます。

 ――観客動員数も増えるでしょうから、入場料収入も期待できますね。

 高田 17年の1試合平均の観客動員数は5,941名でした。たしかに少ないですが、平均ではなくて昇格がみえてきた時期でみていただきたいですね。名古屋との試合では1万人を超える観客に来ていただきました。逆に観客が多過ぎて入れないことも心配してますよ。

(つづく)
【深水 央】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:高田 明
所在地:長崎県諫早市多良見町化屋1808-1
設 立:2006年6月
資本金:3億4,000万円
売上高:(17/1)7億4,900万円

 
キーワードタグ:長崎  ※記事へのご意見はこちら
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2020年07月02日 17:27

IT化とデータ可視化の推進でジョブ型への対応を(前)NEW!

 東証マザーズ上場のナレッジスイート(株)の提供するサービスは社内の無形のノウハウの可視化・資産化を推進し、業務の効率性向上、リスクヘッジに役立つものであり、地方の企...

2020年07月02日 17:10

新型コロナウイルス~首都圏を中心に感染拡大NEW!

  【表1】を見ていただきたい。全国(47都道府県)の新型コロナウイルス感染者の順位表である。 ~この表から見えるもの~ ◆全国(47都道府県)の7月2日...

2020年07月02日 16:40

姪浜駅に憩いの場「めいのはまMarché」オープンNEW!

 JR九州フードサービス(株)は、福岡市地下鉄・JR「姪浜駅」構内に、個性豊かな専門店が集まる憩いの場「めいのはまMarché」をオープンさせる...

2020年07月02日 16:26

ストラテジーブレティン(255号)~Point of No Return、米国の対中金融制裁が俎上に~慎重な投資姿勢を(前)NEW!

 6月30日、「香港国家安全維持法」が制定され、即時施行された。香港の民主主義と自治が失われ、一国二制度が終わった。世界は熾烈な米中冷戦へと展開していくだろう...

2020年07月02日 16:17

【凡学一生のやさしい法律学】関電責任取締役提訴事件(前)NEW!

 関電事件は究極の国家犯罪の完成形である。法律犯罪国家における利権構造の雛形といえる本件事件は、日本は悪徳法律家が支配あるいは跳梁跋扈する法匪国家であることを示した...

2020年07月02日 16:00

イージス・アショア中止は日本発の防衛システムへの転換点(1)NEW!

 6月15日、河野防衛大臣は「イージス・アショア」の配備計画の停止を発表した。日本国内のみならず、周辺国や製造元のアメリカにも激震が走った...

2020年07月02日 15:30

サザン無観客ライブで売り上げ6億5,000万円!ウェブ配信動画に光明NEW!

 サザンオールスターズは6月25日、無観客リモートライブを開催。400人を超えるスタッフと40台カメラで演出されたライブは、有料視聴ライブとして8つのメディアで配信さ...

2020年07月02日 15:06

【特別寄稿/山崎伸二教授】新型コロナウイルス感染症は我々に何を教えてくれたのか(後)NEW!

 20世紀に入ると感染症の治療薬が次々と見つけられていく。1910年、自らが合成したヒ素化合物を1番から順番に調べていた秦佐八郎がドイツ人パウル・エーリッヒとともに...

2020年07月02日 14:31

【特別寄稿/西田亮介】冗長性の欠如がもたらしたもの 「民意」に揺さぶられるリスクマネジメント(後)NEW!

 不安感は不満となって顕在化する。向かった矛先の1つは政治だった。並行して、感染状況のみならず、制度や対処が違う他国の部分的な状況がマスメディアとSNSを介して人々に...

2020年07月02日 14:17

【インタビュー/玉城絵美】「リモート」のその先へ 10体のアバターを動かす世界がすぐそこに(後)NEW!

 日本では新型コロナウイルスの感染が広がる前から、〈リモートでコミュニケーションせざるを得ない社会が来る〉と、世界に先駆けて大きなプロジェクトが動き出していました...

pagetop