2024年05月02日( 木 )

米朝首脳会談成否は米政府の真摯さにかかる

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は東アジアが抱える諸問題に対する日米の対応の重要性について言及した5月10日付の記事を紹介する。


東アジア情勢が大きく動いている。米国のポンペオ氏が3月のCIA長官時代の北朝鮮訪問に続き、再度、国務長官として北朝鮮を訪問した。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は3月に続いて再度北京を訪問して習近平主席と会談を行った。
さらに、2年半ぶりの日中韓首脳会談が日本で開催された。中国からは李克強首相が出席した。6月初旬までに米朝首脳会談が開催される見通しが強まっており、米朝会談に向けて各国が調整を急いでいる。
北朝鮮は拘束していた3名の米国人を解放し、ポンペオ国務長官とともに北朝鮮を離れ米国に帰還をはたす。
日本の拉致問題が解決しないなかで、米国は大きな成果を獲得している。

朝鮮半島の南北首脳会談では、朝鮮半島の完全な非核化の方針が確認された。停戦状態にあり、いまだに終結していない朝鮮戦争の終結と平和条約の締結も検討課題に挙げられている。
韓国の文在寅大統領が主導した「対話」を基軸にした外交交渉が、驚くべき速度で事態変化を誘導してきた。「対話のための対話には意味がない」としてきた安倍首相の主張が空しく響いている。
問題の解決には、なお紆余曲折が予想されるが、北朝鮮が本格的な交渉のテーブルに着いた意義は極めて大きい。

日本、韓国、北朝鮮、中国は東アジアの隣国である。平和で友好的な互恵関係を構築することが、この地域のすべての市民にとっての朗報であることはいうまでもない。
米国は誠意をもって朝鮮半島の平和と繁栄実現のための役割をはたすべきである。
北朝鮮は米国との交渉を適正に進行させるために、中国との関係を緊密化させている。
リビアやイラクの前例があるため、北朝鮮が神経を尖らせるのは当然のことだろう。
米朝首脳会談が成功し、朝鮮戦争の最終的な終結が実現し、日朝間の対話が実現することによって、拉致問題の解決にも展望が開けてくる。
圧力一辺倒では何も動かなかった現実が、「対話」を基軸に置き始めた途端に一気に動き始めたことを、私たちは再確認しておかねばならない。

日本と中国、日本と韓国、日本とロシアとの間の紛争は、領土問題に起因する部分が少なくない。
しかし、その領土問題のすべてに米国が深く関与している。

1972年の沖縄返還に際して、尖閣諸島の施政権は日本に付与されたが、米国は尖閣諸島の領有権については、日本の主張を認めなかった。尖閣諸島の領有権について、米国は日本側にも中国側にも立たないことを表明し続けてきたのである。
これが尖閣諸島の領有権をめぐる日中対立の大きな背景になっている。
竹島については、日本が独立を回復する直前に韓国の李承晩大統領が独島として韓国領土として認定した。この措置を米国が黙認したことにより、竹島=独島の領有権問題が日韓間で争われる事態を招いている。

※続きは5月10日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第2036回「東アジアの平和と繁栄こそ日本の国益」で。


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