2024年04月24日( 水 )

地方パチンコ屋物語~サヨナラの理由

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連チャンもいつかは終わる。ヤメ時(自制心)が大切だ

 とある地方のパチンコホール(以下、ホールA)の話。

 ホールAは小規模遊技場ではあるものの、地域に根ざしたホール経営を行い、相当数のファンを獲得してきた。社員に対しては、ホールに社員向けの部屋を用意するなど、アットホームな環境づくりに注力。垣根のない関係性を醸成していた。
 経営者は、父が興した遊技事業を引き継いだ二代目。先代が築き上げた基盤を守り、貯えもできた。籍は入れていなかったが、人生のパートナーもできた。会社経営に関しては、俗に「初代がつくり、二代目で傾く」といわれるが、ホールAの二代目は公私ともに順風満帆だった。

 良い流れを断ち切ったのは、二代目自身の軽率な行動だった。覚せい剤取締法違反での逮捕。二代目は刑務所に入ることになった。内縁の妻は、二代目に面会するため、甲斐甲斐しく刑務所へと足を運んだ。二代目に不自由がないようにと、毎月相当額の差し入れもした。
 ホール経営は、内縁の妻が代表になって切り盛りした。しかし、それも長くは続かなかった。遊技場経営は慈善事業ではないが、ファン(顧客)を繋ぎとめるため、ホール側が損をする日も必要になる。このバランス感覚は、一朝一夕で身につくものではないだろう。経営は次第に傾いていった。

 内縁の妻は会社を解散。会社に残された不動産や高級家具などは売却、ホールAは、その歴史に幕を閉じた。

【代 源太朗】

 

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