九州一の印刷会社、九州一楽しい会社へ(後)
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アド印刷(株)
縮小する紙媒体事業、これまでの挑戦が本格的に生きる
紙媒体が完全に消滅することはないにせよ、ネット化、ペーパーレス化が著しい現代、需要が先細りすることは確実。同社では「いつの時代もトータルで情報伝達分野に介入し、お客さまの販売促進のお手伝いをしていく」という揺るぎないスタンスを取る。前述したように、同社は業界内でもいち早く各種の最新機器を導入、ウェブ事業への参入をはたしてきた。結果、紙媒体・ウェブ媒体を問わず、幅広いラインナップから顧客に対してどのような販促物が最も効果的か検証・提案し、実際の制作まで一括で賄うことを可能にしている。
ウェブプロモーションや各種デザイン、制作班、製版班など業務ごとに編成されたチームでは、各スペシャリストがそれぞれの持ち味を生かし、より顧客の魅力を引き出せる広告を作成するために力を注ぐ。長年にわたって印刷物や通販広告に携わることで培った経験を基に生み出された、オリジナル商品の数々も好評だ。
たとえば、ダイレクトメール通販サイトの草分けとなった「DMパック」は、印刷データと宛先リストを送るだけで、商品の作成から投函までを代行。ワンストップ型システムで利便性が高いだけでなく、ネットを介することで同社と顧客とでイメージを共有しながら1つの広告物をつくり上げる。まさに同社の企業ビジョン「Face to Faith(笑顔と信頼)」を体現したサービスだ。
このように同社では、紙媒体が減少したとしても盤石な体制や商品を先駆けて構築し、今後も強化していく方針となっている。
社員一丸となって「販促総合商社」を目指す
「社員が健康でなければ、元気な会社づくりはできない」と話すのは京谷副社長。全社を上げて健康増進活動に取り組み、17年、18年の2年連続で経産省の「健康経営優良法人」に認定されている。このほかにも「プライバシーマーク」など多くの認証を保持、同社製品や環境の質の高さを証明している。
労働環境が良く、定着率も高い同社にはベテラン社員が多数在籍し、熟練・安定の技術や提案力を誇る一方で、若手の育成にも余念がない。「今後のアド印刷を引っ張っていくのは彼ら。常に若い社員たちが成長できる環境を意識している」(京谷副社長)。これまでも、人材教育のために費用を惜しむことなく投資してきたが、部署ごとに細かく課題を洗い出し、目標を設定。全社員でその目標を達成すべく、教育面を強化させていく。
加えて、田平社長が日ごろから心掛けているのが「社員たちにとって、居心地良く、楽しいと感じる企業」であること。いくら会社が成長しても、社員が楽しく働き、その家族も幸せでなければ意味がない。また、印刷会社が今後も発展していくためには、「印刷」に固執しない、社員の自由なアイデアが不可欠だ。いつまでも全社員が夢をもっていきいきと活躍する「九州一楽しい会社」を目指し続けることが、同社の発展を限りないものにしている一因だ。
アド印刷の未来を語るうえで、企業スローガンでもある「今、もっと新しいこと」は外せないと同社社員らは口をそろえる。新しいことにチャレンジし続けてきた同社の本質を表していると同時に、今後もたゆまぬ挑戦を続ける同社の道しるべとして受け継がれていく。その挑戦の1つとしてすでに見据えているのが、「販売促進の総合商社」である。顧客が望む販促媒体ならなんでも揃う、いわば「販促のデパート」のような媒体ミックスの印刷会社だ。
印刷物の需要が刻々と縮小する時代にあって、視野を広げることで拡大し続け、次なるスタートを切ったアド印刷。50周年、100周年の折には、どのような進化を遂げているのだろうか。その活躍が、今から待ち望まれる。
(了)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:田平 保男
所在地:福岡市博多区榎田1-3-23
設 立:1978年7月
資本金:4,000万円
TEL:092-472-4736
URL:http://www.ad-printing.co.jp<プロフィール>
田平 保男(たびら・やすお)
1947年6月生まれ。八幡大学(現・九州国際大学)卒業後、(株)チューエツに入社、印刷会社の営業マンとして活躍する。78年3月、アド印刷(株)を開業、同年7月に法人設立。現在、福岡印刷工業(協)の理事長も兼任している。法人名
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