2024年04月23日( 火 )

誰もが『夢』をもてるまちづくりの実現に向けて

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福岡市議会議員(西区) みらい福岡市市議団 笠 康雄 氏

 福岡市西区――とくに姪浜以西で、再開発の動きが活発化している。今回、新旧住民・企業、双方にとって住みよいまちづくりを目指して尽力している、福岡市議会議員(西区)の笠康雄氏に、今後のまちづくりの展望についてのお話を聞いた。

地域の魅力向上のため奔走

 ――北原、田尻などの西区エリアが、目覚しい発展を遂げつつあります。ずばり、きっかけは何だったとお考えですか。

福岡市議会議員(西区) みらい福岡市市議団
笠 康雄 氏

 笠 九州大学の移転にともない、伊都キャンパスが誕生しました。これにより、大規模な人の移動が生まれ、学生や職員を始めとする多くの人がこのエリアに来ました。まずはこれが大きな要因の1つです。
 ただし、現在の発展の理由は、これだけではありません。もう1つの要因として、伊都キャンパス計画地ならびに周辺エリアを、開発に際して非常に厳しい条件が設けられた市街化調整区域から、市街化区域に編入したことが挙げられます。
 この2つが、大きなきっかけになったといえるでしょう。

 ――この活況を一過的なものにさせないためには、何が必要でしょうか。

 笠 九州最高峰の知的集団が来られたわけですから、地域としてはこれを活用しない手はありません。今後、共同で地域の活性化に取り組んでいければと考えています。
 また、交通アクセスの改善も不可決です。これまでJR筑肥線「九大学研都市」駅から、伊都キャンパス間の道路整備、その前段階として河川整備、防災のための治水を先行して行ってきましたが、引き続き住環境の整備も求められています。当初は、多すぎる住宅需要を受けて混乱が生じることもありましたが、新旧住民双方にとって居心地のよいまちを目指し、区画整理というかたちで対応させていただきました。
 次は日常生活に不便がないように、買い物をする場所や銀行など、商業施設の拡充を図っていかなければなりません。

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 交通アクセスが良いか、魅力的な商業施設が近隣にあるかどうかは、住みやすさの大事な基準になる。とくに生活していくうえで、商業施設の存在は大きい。しかし、既存の施設を呼び込むだけでは“まちの特色”は生まれない。笠氏は自ら東京に足を運び、最先端のまちづくりを学ぶことで、故郷に新たな彩を添えようと奔走している。

地域ブランドの醸成と確立

 ――「北原・田尻土地区画整理事業」の骨格もほぼ固まりました。どのようなまちづくりを進めていこうとお考えですか。

 笠 まちづくりに際しては、学生を中心に若い方が増えていますので、若者も楽しめる・利用しやすい施設を充実させたいと考えています。
 東京・代官山の「T-SITE」(TSUTAYAが運営する複合商業施設)を視察したのですが、書店としての機能はもちろん、映画や音楽も楽しめ、カフェも併設されていることから、読書や映画・音楽鑑賞をしながら軽食を取ることができます。店舗外にテラス席も用意されているので、気軽に誰でも立ち寄れます。こうした多目的に利用可能な施設は、新たな交流の場の創出にもつながりますので、地域に増やしていきたいですね。

 ――地域の光景が一変しそうで楽しみです。

 笠 地域の特色を出すためにも、先に実施された「伊都土地区画整理事業」とは一線を画したまちづくりをしていかなければならないと考えています。
 1つ例を挙げると、九大学研都市駅近隣はドラッグストアやアウトレットなど、お手頃な価格帯の商品構成の店舗が多く出店しています。北原・田尻エリアでは、“高品質のものを適正価格で”というのを1つのテーマに掲げ、企業の進出を促していきたいですね。差別化を図ることで、地域特性を内外に印象付けることも大切です。

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 伊都エリアには、大型商業施設「イオンモール福岡伊都」もあるが、同エリアに足を運ぶのはファミリー層が主。学生たちの居場所づくりといった視点からも、北原・田尻エリアの再開発には大きな期待が寄せられている。

大切なのは地域主体のまちづくり

 ――最後に、まちづくりにおいて何が大切だとお考えか、お聞かせください。

 笠 九州大学の移転で、大きく状況が変わったのは事実です。しかし、あくまでまちづくりの主体は、私たち地域住民であることを忘れてはいけません。九州大学の本分はいうまでもなく、学術研究で成果を残すことと、優秀な人材を輩出することなのです。私たち住民は、その手助けの一翼を担えればと思っています。
 まちづくりに関しては、西部7校区だけにとどまらず、糸島市まで含めた規模で考えていきます。そうすることで、より大きなプロジェクトも可能になります。また、まだ構想段階ではありますが、地域に進出してくださる企業から費用を徴収し、まちの運営を一手に請け負う、エリアマネジメント(※)の実施も視野に入れています。
 地域の住民が「夢」をもてるまちづくり、これが何より重要なのです。

【代 源太朗】

※エリアマネジメント:特定のエリアを単位に、民間が主体となって、まちづくりや地域経営(マネジメント)を積極的に行おうという取り組み。

<プロフィール>
笠 康雄(りゅう・やすお)
1947年10月生まれ。西南学院大学 商学部経営学科卒。福岡市議会議員として市の発展に尽力するほか、福岡市元岡中学校父母教師会会長や元岡商工連合会会長を務めるなど、地元西区のまちづくりに多方面から貢献している。

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