• このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年09月29日 07:01

2030年の世界 アルビン・トフラーの『未来の衝撃』から読み解く(3)

変化こそ、中心テーマ

 なかでも1970年に発表された『未来の衝撃』は彼らの名前を世界に知らしめるうえで最も大きな影響をもたらした作品だ。オリジナルのタイトルである「フューチャー・ショック」という言葉はたちまち世界的な用語となった。異文化との出会いがもたらす「カルチャー・ショック」という言葉はその以前からあったが、未来との出会いを想像させる「フューチャー・ショック」という造語は多くの読者の心を一瞬にしてわしづかみにした。

 今では「個人、集団あるいは社会全体が変化の波にのまれた時に経験する方向感覚の喪失、混乱、意思決定機能の停止」を定義する用語として広く定着している。『未来の衝撃』についで、トフラー氏は『第三の波』と『パワーシフト』を相次いで世に問うことに。それぞれ独立した著作だが、3冊が一貫した内容で、トフラー氏の追求する「変化論」の三部作を形成している。

 トフラー氏の言葉を借りれば、「中心テーマは変化」である。すなわち、社会が急激に予想もしなかった新しい姿に変容するときに人々に何が起きるのか。『未来の衝撃』は変化のプロセス、つまり変化が人々や組織にどのような影響を与えるかに焦点をあてたもの。『第三の波』の主題は変化の方向性であり、今日の変化が人々をどこに連れていくかにスポットをあてている。また、『パワーシフト』では、今後起こり得る変化のコントロールについて、言い換えれば、誰がどうやって変化を形成するかを扱っている。

 トフラー氏の三部作は変化そのものの、実態と、変化がもたらす多くの課題や問題を綿密に分析しているだけでなく、未来への希望に満ちた内容にもなっている。一連の作品群から読み取れる未来へのメッセージとは何か。それは「いかに大きな変化とはいえ、見かけほど混沌として無秩序なものではなく、変化の影には一定のパターンや識別できる力が作用している」ということだった。

 これらのパターンやパワーを理解することによって、変化に怯えることなく戦略的に対応できるようになり、何かが起こるたびに場あたり的な対応をしなくてもよくなる。そんな自信を読者に与えているのが、彼らの著作の魅力でもあった。単に未来で待ち構える変化の渦を恐れさせるようなキワモノではない。

(つづく)

<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)

前参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2020年02月18日 15:51

最優先課題は安倍内閣に終止符を打つことNEW!

 新型ウイルス肺炎の第2の感染拡大中心地となっているダイヤモンド・プリンセス号は安倍内閣によるウイルス培養船である。同号に対しては2月1日に沖縄那覇で検疫を行い日本へ...

2020年02月18日 15:14

トライアル、「スマートストア」化推進~東篠崎店にAIカメラ、レジカート導入NEW!

 トライアルカンパニーが店舗の「スマートストア化」を進めている。大量のAIカメラを導入し売り場の欠品防止に活用する一方、レジカートでレジ待ち時間をゼロにするというのが柱。

2020年02月18日 14:49

アベノミクスがもたらす「資本栄えて民滅ぶ」国の未来(1)NEW!

 第2次安倍内閣が発足して丸7年の時間が経過した。企業利益は倍増し、株価は3倍水準に上昇し、メディアがアベノミクス成功とはやし立てるが民の竈の火は燃え尽きる寸前だ。2...

2020年02月18日 14:03

社名を名乗らず勧誘し商品送りつける~鹿児島市の健康食品会社に業務禁止命令NEW!

 経済産業省九州経済産業局は2月14日、健康食品や自然食品の販売を手がける(株)RK企画(鹿児島市)に対し、業務の一部(電話勧誘販売に関する勧誘、申込受付および契約締...

2020年02月18日 14:02

コンビニ業界大激変時代~月刊コンビニ編集委員 梅澤 聡 氏(1)NEW!

 コンビニ深夜休業の是非。各方面からさまざまな“論客”が参戦してメディアを賑わせた。誰もが毎日のように利用するコンビニ。1日1店舗の利用客数を800~1,000人、全...

2020年02月18日 11:30

【シリーズ】生と死の境目における覚悟~第2章・肉親を「看取る」ということ(5)NEW!

 石田弘次郎(仮名)の姉は、母の葬儀後、すぐ東京に戻った。前回記したように、姉は母の遺品整理で「金目」のモノは自分が引き取った。つまり「カネ」のためのみに遺品整理を行...

2020年02月18日 11:23

久田屋で街焼肉をもっと身近に~糸島の老舗ヒサダヤNEW!

 福岡県内で「肉のヒサダヤ」7店舗の運営を手がけ、最高品質の国産和牛を、専門店だからこそ実現可能な価格帯で提供する(株)ヒサダヤ。1971年の創業以来、糸島市を拠点に...

2020年02月18日 10:30

ホームセンター大手5社のシェア44.1%~鈍い寡占化、M&Aの遅れが一因NEW!

 データ・マックスが売上高上位5社(DCMホールディングス、カインズ、コメリ、コーナン商事、ナフコ)の2018年度の市場シェアを調べたところ44.1%と5年前から2....

2020年02月18日 10:00

これからのカードは指紋センサー搭載カードに(後)

 BTBLが開発した指紋センサー搭載カードは、既存の金融機関のクレジットカード向けのカードだけでなく、未来の電子身分証明書など、幅広く活用されていくことになると李代表...

2020年02月18日 09:48

【働き方改革はブラック企業を漂白できるか】「何を言うか」より「何をしたか」で評価される企業へ(前)

 経営者や上司が自らの立場を利用し、地位や人間関係で立場の弱い従業員や部下に対して精神的・身体的な苦痛を与えることが日常的に行われている会社―これらは俗に「ブラック企...

pagetop