• このエントリーをはてなブックマークに追加
2018年10月29日 16:36

ロボット大国日本と世界のロボット市場の最新動向(1) 未来トレンド分析シリーズ 

国際政治経済学者 浜田 和幸 氏

 ドイツに端を発する「インダストリー4.0戦略」、別名「第4次産業革命」が世界の関心を集めている。我が国の政府も2017年に「未来投資戦略2017」を閣議決定した。その狙いは第4次産業革命の技術革新をあらゆる産業や社会生活の場に取り入れ、社会が直面する課題や個人のニーズを解決することにある。

 そのためにはスマートフォンをはじめ、さまざまなツールを使ったデータを収集し、さらには人工知能(AI)を生かし、それらの膨大なデータを分析する。現状分析はもちろん、将来予測に役立て、最終的には新たな価値観の創出や問題の解決も可能にする。

 ドイツの官民連携プロジェクトから始まった流れは欧米社会のみならず、中国をも巻き込む勢いで世界を席巻している。アメリカが危機感を抱く原因となった「中国製造2025」も、この流れを中国風に咀嚼し、製造業やサービス部門で世界のトップに躍り出ようとするもの。

 まさに習近平国家主席が進める「中国の夢」を実現することを意図しているようだ。当然、軍事的な応用も可能となるわけで、その点をトランプ政権は懸念しているに違いない。実際、ロボット兵士や無人兵器の開発では中国が世界の先頭を走るようになってきた。

 さて、我が国では、「鉄腕アトム」や「ドラえもん」のおかげもあり、人型ロボットが社会に馴染んでいる。そうしたアニメの影響を受け、産業用ロボットの開発や実用化の分野で活躍する道を選んだ研究者やエンジニアの数ではおそらく日本は世界ナンバー1といえるだろう。

 実際、自動車や電子部品、最近では医療機器や食品などの製造工場でも、ロボットの普及率がすさまじく、世界から注目と高い評価を集めている。トヨタ自動車の生産ラインでのロボット活用は当たり前で、最近では在宅介護の分野にもロボットを導入すべく海外のAI企業を次々と買収し、「高齢化ビジネスの切り札」にするとのこと。この点、日本以上に高齢化が急ピッチで進む中国でも日本発の技術への関心が高まる一方である。

 実は日本政府は2015年1月に「ロボット新戦略」を正式決定している。すでに産業用ロボットの出荷額でも稼働台数でも世界1を達成した日本。その意味では、日本は「ロボット大国」に他ならない。今後は、農林水産業や医療介護などの現場でも、ロボットの利活用が拡大するはずだ。

 2年後に迫る東京オリンピック・パラリンピックに向けても、治安対策に監視ロボットを導入する動きが広がっている。何しろ人手不足が深刻な日本である。2020年にはオリンピック効果で海外から4,000万人もの観光客の来日が想定される。中にはテロリストや犯罪者が紛れ込む可能性は否定できない。その対策の切り札として期待されているのが「ペルセウスボット」と命名された移動式監視ロボットである。すでに東京の西武新宿駅にて実証実験が開始された。駅の利用者や通行人の不審な行動を監視し、異常があれば、即座に警備員に通報する。カバンや荷物が置きっぱなしであれば、直ちに対応するように設計されている。先進国では似たような取り組みが監視カメラを通じて行われているが、ロボット監視員が移動しながら不審物や不審者を発見する試みは世界初である。

 こうした犯罪防止の目的に限らず、日本のロボット応用分野は広い。政府の掲げる目標では、「2020年には国内のロボット市場を2.4兆円にまで拡大する」とのこと。サービス業の分野でもロボットの普及率を30%まで引き上げようとの目標が掲げられている。長崎県のハウステンボスには、「変なホテル」というフロントやポーターまでロボットが務めるホテルが話題となっているが、ロボットを導入することで、人件費を通常の25%に抑えることに成功している。

(つづく)

<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)

国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。16年7月にネット出版した原田翔太氏との共著『未来予見~「未来が見える人」は何をやっているのか?21世紀版知的未来学入門~』(ユナイテッドリンクスジャパン)がアマゾンでベストセラーに。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2019年09月16日 07:00

法人向け定期保険販売再開~確認したい変更点

 2019年6月28日付で、国税庁より「法人税基本通達」などの一部改訂が発表され、法人で加入する定期保険などの保険料に関する経理処理方法が変更となりました。新たな経理...

2019年09月16日 07:00

中国大手デベ万科企業と提携 華東地域のプロジェクトを狙う

 三菱地所(株)は5月、中国の大手デベロッパー「万科企業」と戦略的提携協議書を締結した。中国の一大経済圏で成長著しい長江デルタの不動産開発プロジェクトについて、両社は...

2019年09月15日 07:00

国産めんまの市場を生み出し、放置竹林を再資源化

 日本国内市場で流通するめんまの99%が、中国・台湾産の麻竹(まちく)を原料とするものである。国産の孟宗竹(もうそうちく)に対する需要は限られており、竹が生い茂る里山...

2019年09月14日 07:00

【9/14】第85回筑紫野市祭「二日市温泉と天拝山観月会」開催

 第85回筑紫野市祭「二日市温泉と天拝山観月会」が本日(14日)、天拝山山頂・天拝公園で開催される。

2019年09月14日 07:00

【9/23】「タマスタ筑後ファン感謝デー」開催~福岡ソフトバンクホークス

 福岡ソフトバンクホークスは、タマスタ筑後開催のウエスタンリーグ最終戦(9月23日)の試合終了後、グラウンドを開放して「タマスタ筑後ファン感謝デー」を開催する。

2019年09月13日 17:54

周船寺第1雨水幹線築造工事、11.5億でフジタJVが落札

 福岡市発注の「周船寺第1雨水幹線築造工事」を、(株)フジタ九州支店を代表企業とするフジタ・九州総合・松山建設JVが11億5,448万400円で落札した。

2019年09月13日 17:54

【疑惑まみれの改造内閣】小泉進次郎入閣の打ち上げ花火は世論誘導の姑息な手段

 第4次安倍再改造内閣が発足した翌12日、初入閣で脚光を浴びた小泉進次郎・環境大臣(38)が福島県庁を訪れて内堀雅雄知事と面談した。中間貯蔵施設や復興などについて意見...

2019年09月13日 17:40

9万人の救世主となるか~女性の復職サポート会社

 結婚、妊娠、出産とライフステージが変わるタイミングで離職する女性は以前より減ってはいるものの、第1子の出産を機に4割強が離職(国立社会保障・人口問題研究所「第15回...

2019年09月13日 16:21

【交通取締情報】9月17日、福岡市博多区と北九州市小倉北区で実施

 福岡県警は9月17日(火)、福岡市博多区と北九州市小倉北区で可搬式オービスによる交通取り締まりを実施する。

2019年09月13日 15:00

厚生労働省公表の「ブラック企業」9月10日発表 福岡労働局分

 厚生労働省は17年5月から、労働基準関係法令に違反し書類送検された企業の一覧表をホームページに掲載している。

pagetop