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2018年10月31日 11:17

教育の本質は、認め、尊重し、『社会で役立つ』ように導くこと~立花高校校長×新開ゆうじ対談(1)

自分の手柄をあげるための教育だった

 ──私の長年の友人である地場企業の代表が先日、取引行主催の講演会に行った時の話です。講演者である立花高等学校の齋藤眞人校長の、お話を聴いた後、心から清々しい気持ちになり、感銘を受けたという連絡がありました。以前よりPTAを中心とした教育関係の世界で著名な齋藤校長ですが、経営者に対しての活動もされていることに敬意を表します。

左から、齋藤眞人氏と新開ゆうじ氏

 齋藤 ありがとうございます。当校に着任以来、教育現場であらゆるアクシデントに直面し、経営難に陥った時期もありました。その経験があるからこそ今があると思っております。生徒全員の人格を認める教育指針は不変で、生徒と教職員とともに歩んでいるという自負があります。
 新開ゆうじさんは、当選されてすぐにお越しいただき、その時からのご縁です。当時(2012年12月)当校は運営面で一番苦しい時期でした。新開さんが真っ先に親身になって私たちの話を聞いてくれ、支えていただきました。感謝の言葉以外みつかりません。

 新開 齋藤校長は、音楽教諭でありトロンボーンの奏者でもあると、うかがっております。音楽という分野を融合させながら、教育現場で日々活動されているのですね。学校のマネジメントを行いながら、さらに自ら率先されてご指導されている姿勢からたくさん学ぶことがあります。

 齋藤 ありがとうございます。今でも現役でトロンボーンを吹いており年に2回、アクロス福岡でトロンボーン四重奏の演奏会を開いております。演奏会のタイトルは、『地球の平和は俺たちが守る』です。これまですでに16回開催しております。

 ──立花高等学校に赴任する前は、宮崎県で教壇にたたれていたのですね。

 齋藤 学卒後、宮崎県の公立中学校の音楽教諭を14年間勤めました。30代後半のことです。画一的な教育方針に疑問をもつようになりました。画一的な教育方針が、子どもたちを“潰して”しまっていたのです。すなわち“同調教育”である「みんなが同じでないといけない」という現場の空気に違和感があったことはたしかでした。私は、その違和感をどうしても拭い去ることができませんでした。当時、私は子どもたちに対し、「貴様!何しよるか!」など、事あるごとに怒鳴っていました。怒鳴った後、「彼ら・彼女らには、それぞれ人格がある。こんな方法で良いのだろうか」と疑問と虚しさを感じていました。

 ──齋藤校長が当時感じられた“違和感”に耐えきれなくなったのでしょうか。

 齋藤 おっしゃる通りです。私は吹奏楽部の顧問で、部活動については成果を出し続けていました。しかし、それは私自身の見栄・体裁や名声のためだったのです。確かに「子どもたちのために」という姿勢でしたが、結局は私のために子どもたちが日々練習に明け暮れていたのです。「齋藤先生のご指導はすばらしいですね」「齋藤先生がご指導された生徒さんは、みんなハキハキと挨拶されて良いですね」などと言われて心地良いのは私でした。そのことに気づいて本当に虚しくなりました。賞賛されるべきは、当時の吹奏楽部の子どもたちであり、私ではありません。讃えられるべきなのは子どもたちであることが、私にすり替わったのは、私自身の指導が未熟だったからなのです。

 ──齋藤校長がそう思っていなくても、周囲がもち上げると、人間は誰しも「自分の手柄だ」と勘違いしてしまいますね。

 齋藤 そうですね。調子に乗っていました。宮崎弁で表現すると「みやがんな」ですね。

(つづく)
【聞き手:弊社代表取締役 児玉直、文・構成:河原 清明】

<プロフィール>
齋藤 眞人(さいとう・まさと)

1967年宮崎県佐土原市生まれ。宮崎大学教育学部(現・教育文化学部)卒。宮崎県の公立中学校の音楽教員を経て、2004年(学)立花学園立花高等学校(福岡市東区)教頭として赴任。06年から校長、10年6月から理事長兼務。同校は、1人ひとりの人格を尊重した自立支援教育が特色である。その教育現場での活動を題材にした─「いいんだよ」は魔法の言葉─とする齋藤校長の講演会は、小中高PTA、地域自治会や各教育関係のみならず企業経営やマネジメントの立場からの依頼も多数寄せられ、全国各地で開催されている。福岡県私学協会副会長および福岡地区支部支部長。トロンボーン奏者でもある。

<プロフィール>
新開 ゆうじ(しんかい・ゆうじ)

1968年8月22日福岡市生まれ。92年3月国立音楽大学音楽学部声楽科卒。音楽教諭免許取得。家業である老舗珈琲専門店「シャポー」入社・勤務を経て、パティシエとして渡仏。97年帰国。2002年に福岡青年会議所に入会し、同所常任理事を歴任後08年理事長就任。10年衆議院議員(当時)古賀誠氏秘書を経て、12年12月16日第46回衆議院議員総選挙の自由民主党比例九州ブロックで初当選し、14年11月21日までつとめた。テノール声楽家としても舞台やライブにて活動。

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