2024年04月26日( 金 )

【豊洲市場訴訟】東京都が豊洲市場の鉄筋量不足41%を法廷で認めた!(1)

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(協)建築構造調査機構 代表理事 仲盛 昭二 氏

 豊洲違法建築裁判は、まだ耐震偽装の事実、建物の安全性についての証拠調べが本格的に始まっていないが、東京都から驚くべき発言が飛び出している。東京都は法廷で下記のことを述べているのだ。

・鉄量が規定の41%も不足していることになる。
・技術基準解説書には、「柱を支える柱脚の鉄量が柱頭の鉄量と同等でなければならない」と規定されている。

 裁判で、耐震偽装、建物の建築基準法違反の事実を調べ始めれば、いかに豊洲市場が危険かが白日のもとにさらけ出されるのは必至である。この問題は、のちほど詳しく解説するとして、はじめに「この裁判の流れ」と「何が争点となっているのか」についての概略を示したい。

はじめに

 11月1日午後3時、東京地裁419号法廷において「豊洲市場違法建築物除却命令等義務付請求事件」(以下「本訴訟」と表現)の第2回目口頭弁論が行われ、業界紙の記者を含む30名余の傍聴者が裁判を見守った。

 はじめに、「この裁判の流れ」と「何が争点となっているのか」についての概略を示したい。
この「豊洲市場耐震偽装裁判」は本年6月29日に提訴された。仲卸業者の宮原さんを筆頭に5名が原告であり、代理人は「武内更一、藤田城治弁護士」の2名である。
 この裁判の内容を端的にいえば、豊洲市場水産仲卸売場棟(以下「本件建築物」と表現)が建築基準法に著しく違反しているため、この建物を【除却せよ!】という訴えである。この建物の所有者は小池東京都知事であり、建物が法に則り、きちんと建設されているかどうかを管理監督するのも小池東京都知事である。従って、この裁判は「小池知事が小池知事に対して違法に建築された建物への除却命令を要請し、小池知事自身が違法な建物を取り壊す命令を発すること」の義務付けを求めるという訴訟である。

 この裁判の本訴訟を提訴した場合、建築基準法に違反している建物の使用禁止命令を義務付ける「仮の義務付け」を申し立てることができるので、仲卸業者5名は「豊洲市場違法建築物使用禁止要請仮の義務付け申立事件」(以下「仮の義務付け申立」と表現)を申し立てた。仮の義務付け申立は、あくまでも仮のものなので、「建物を除却せよ」ということにはならず、「建物の使用禁止」を求めたものである。

 6月29日の本訴訟提訴の後、7月9日に仮の義務付けの申立が行われた。これは口頭弁論といった公開の裁判ではなく、書面と審尋という面談により手続きが進行した。そして、築地市場閉場の1日前の10月5日に「仮の義務付け申立却下」が決定された。この仮の義務付け申立を担当した裁判官は本訴の裁判官とまったく同じ民事51部の清水知恵子裁判官他2名であった。

 この却下決定に対して、申立人(本訴訟の原告=仲卸業者5名)は 東京高裁に即時抗告を申し立てた。11月1日の本訴証の2回目の口頭弁論は、10月5日に清水裁判長が仮の義務付け申立を却下した後 初めて開かれた口頭弁論である。

 ここまで述べた経過を踏まえて続きを読んでいただければ、原告側の武内・藤田両弁護士の陳述の意味を理解できると考える。仮の義務付け申立を却下した裁判官と本訴訟を担当する裁判官が同じ裁判官なので、本訴訟においても仮の義務付け申立と同じ結論を下す可能性が大であり、11月1日の口頭弁論では、弁護士としてもどういう構えで臨むかはいくつかの選択肢があり、非常に緊張した法廷であった。裁判官が今回の2回目の口頭弁論で結審して、次回の期日で棄却判決を言い渡す危険性があり、そのような雰囲気もあったが、その策動を跳ね返し、次回は2019年1月24日(木)午後3時に第3回目の口頭弁論期日が入った。

(つづく)

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