2024年03月29日( 金 )

外国人向けのマンスリーマンションの開発・運用で勝機 京王電鉄・京王不動産と宿泊滞在サービスで連携

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(株)レジデンストーキョー 代表取締役 野坂 幸司 氏

 2015年に設立された(株)レジデンストーキョーは、中長期滞在する外国人にも対応した快適なマンスリーマンションの開発・運用をメインビジネスに、勝機を見出している。最近では、京王電鉄(株)・京王不動産(株)と、新たな宿泊滞在サービスの展開で連携した。今後は、上場も検討しているという。また、昨年12月には(株)コンストラクショントーキョーを設立し、開発と運営、そして建設の三位一体での経営を目指している。今後の経営方針について、同社代表取締役・野坂幸司氏に話を聞いた。

 ――2015年に設立してさまざまなビジネスモデルを立ち上げ、チャレンジを続けてきていますね。

(株)レジデンストーキョー 野坂 幸司 代表取締役

 野坂 前身の会社が、外国人にフォーカスしたシェアハウス・マンスリーマンションの運営を展開していました。しかし、運営だけでは収益を確保するのが難しいという点がありました。そこで運営と開発を組み合わせるために、前身会社の営業譲渡を受けて設立したのが、この(株)レジデンストーキョーです。

 9月には「東京電力フロンティアパートナーズ」をリード引受先とした総額2.3億円の第三者割当増資を実施したほか、今後も増資を検討中です。不動産の事業は資金の確保も重要ですし、事業面では共同で事業を進めていくパートナーを探すことも重要だと考えています。将来的な上場も検討しています。

 また、開発と運営を行うレジデンストーキョーに加えて、建設を担う(株)コンストラクショントーキョーを昨年12月に立ち上げました。この両輪で事業を展開していきます。

 ――当初は、旅行客やインバウンドの集客をメインにされていましたね。

 野坂 Airbnbなどのインバウンド集客をめぐる環境の変化もあり、Airbnbによる集客は3年前にいったん撤退しました。それからは、外国人就労者向けのビジネスを展開しています。これが第二の創業ともいえますね。

 国内における外国人就労者は約130万人で、年々約20%増加していますが、世界的に見ると決して多いとはいえません。その理由の1つは、住居にあると考えています。日本に来る外国人就労者には、日本企業で一生勤め上げたいという人はほとんどいません。とくにIT系人材は、プロジェクトごとに転々と住居を移り、長期に住まない方が多いです。グローバルに人材は動き、定住や永住ではなく、数カ月だけの滞在や宿泊の需要が高まってきているので、これからはますます、宿泊と居住の垣根がなくなっていく社会が実現していくでしょう。

 世界の大都市では、賃貸マンションといえば家具付のものが主流ですが、日本は逆で、家具付の賃貸マンションはまだまだ少ないです。日本の賃貸では、家具家電の購入や敷金礼金などの初期投資のほか、保証人が必要であり、外国人には非常にハードルが高いという問題点があります。我々レジデンストーキョーは、この需給のギャップに勝機を見出すつもりです。

 ――世界的に働き方が変わっているにもかかわらず、日本は旧態依然としています。レジデンストーキョーは、滞在型宿泊事業で外国人から最も支持されるようになった点は大きいです。

 野坂 実は、世界的な都市の移動による滞在型の宿泊事業のニーズは、外国人だけではなく日本人にもあります。シンガポール、タイ、ベトナムなどを始めとする海外での日本人就労者も増え、数カ月の間だけ日本に里帰りするという方も増えてきています。生活スタイルが多様化しているにも関わらず、賃貸の仕組みが対応していないので、我々レジデンストーキョーがそこの事業を行っていきます。

 約40万人の外国人就労者が、東京に集中しています。昔は、外国人就労者の居住地は六本木、銀座などの港区や中央区に集中してきました。ところが最近では、住みたいもしくは働きたい需要は、新宿、品川、渋谷エリアで高まっています。ビザの要件の緩和が年々進展することにより、ミドル層のIT就労者が増えており、“職住近接”の志向が高まっていることも関係しています。

 ――そういうなかで今回、京王電鉄や京王不動産と新たな宿泊滞在サービスの展開で連携されましたが・・・。

 野坂 京王線笹塚駅前の「京王笹塚ビル」をリノベーションして、19年冬の開業を目指しているトラベラーズ・アパートメント「KARIO SASAZUKA(仮称)」プロジェクトで、 レジデンストーキョーはマンスリーマンションの運営で培ったノウハウを活用し、 中長期の宿泊滞在されるお客さま向けに、運営・予約業務の一部を担当します。新宿と渋谷アクセスはとくに重要で、この区域の事業を拡大したいと考えています。

 ――スマートホテルへの参入も、検討されていますね。

 野坂 今年6月の民泊新法施行と同時に行われた旅館業法改正により、フロント要件が緩和されているところに注目しました。フロントの無人化も可能になりますので、ローコストのスマートホテルの運営に取り組んでいきたいです。我々がとくに注目しているのは新宿区です。スマートホテルの需要があれば、設計施工ができるコンストラクショントーキョーが担当することによって、ここでも勝機を見出していきたいと考えています。

【長井 雄一朗】

<プロフィール>
野坂 幸司(のざか こうじ)

東京大学法学部卒。ゴールドマンサックス証券、ドイツ証券を経て米系ヘッジファンドに転じ、ヘッジファンド2社の日本における代表者として日本での不動産投資の責任者を務める。2015年5月に(株)レジデンストーキョーを設立。代表取締役に就任した。

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