2022年06月29日( 水 )
by データ・マックス

いよいよ市に――念願の「那珂川市」誕生

単独での市昇格

那珂川市役所

 今年10月1日からの市制施行にともない誕生した「那珂川市」。2015年10月に実施された「平成27年国勢調査」で「人口5万人以上」の市制施行要件を満たしたことで、合併ではなく単独での市への昇格をはたした。福岡県内での単独市制は、1997年の古賀市以来約20年ぶりで、県内では29番目、日本全国では792番目の市の誕生となった。

 同市は福岡市の西南部に隣接して福岡都市圏の一角を担っており、とくに福岡市に近い市北部の平地部では、ベッドタウンとして都市化が進行している。公共交通機関としては新幹線とバスがあるが、新幹線を利用すればJR博多駅まで約9分で行くことができ、交通利便性も比較的高い。一方、市南部は農村部や中山間部となっており、福岡都市圏の水がめである「南畑ダム」「五ケ山ダム」を擁するほか、豊かな自然環境が残されており、「五ケ山クロス」などの観光・アウトドア拠点も新たに誕生している。

 前身となる「那珂川町」は1956年4月、南畑村、岩戸村、安徳村の3村合併により誕生。名前の由来は、同市および福岡市中心部を流れる二級河川「那珂川」から。その後、大規模な土地区画整理事業やJR博多南線の開業に代表される都市基盤整備により、人口は大幅に増加。2009年ごろから、市への昇格を目指した取り組みをスタートさせた。

 だが、「平成22年国勢調査」では、市昇格要件の人口5万人にわずか220人足りず、見送りに。その後、定住促進策を打ち出すなど、改めて町を挙げて市制施行を目指して取り組み、迎えた「平成27年国勢調査」の速報値で5万29人、確報値で5万4人と市昇格要件をクリア。16年4月からは市制準備室を設置してさまざまな準備を進め、ついに念願の市制施行を迎えることとなった。

 今年9月28日、“那珂川町”としての最後の式典となる「那珂川町閉町式」が行われた。登壇した武末茂喜町長は、「本日をもちまして、那珂川町の歴史に幕を閉じることになりました。町の発展のためにこれまでご尽力いただいてきましたすべての方々に感謝と敬意を表しますとともに、“那珂川町”への感謝の思いを込めまして、ここに那珂川町を閉町させていただきます。本当にありがとうございました」と式辞を述べた。その後、町議会議長挨拶、記念撮影が行われた後、「那珂川町役場」と書かれた銘板に幕がかけられ閉式。これにより、「那珂川町」としての62年あまりの歴史に幕が下ろされた。

開市式でのテープカット&くす玉開き

市として新たなスタート

 そして迎えた10月1日、「那珂川市開市式」が開催された。台風一過の晴れた空の下、「那珂川町役場」改め「那珂川市役所」前で開かれた式では、開式の辞に続いて、町長改め初代市長となった武末茂喜氏が登壇。「市制施行は大きな出来事ではありますが、行政としては1つの通過点。市長としてのこれからの舵取り次第で、那珂川市が今後どのような発展を遂げるかが方向付けられます。那珂川市がこれからも未来永劫、ずっと住み続けたいまちとして成長していきますよう願いを込めまして、ここに“那珂川市”の誕生を宣言いたします」―と、開市宣言を行った。その後、市役所銘板の除幕が行われ、式の最後にはくす玉開きとテープカットが行われた。

 式終了後、市役所1階窓口では、武末市長が那珂川市としての初めての住民票を発行。住民票発行第1号となった市内在住の主婦・池田和美さん(48)は、「とくに使う予定はありませんが、せっかく市になった記念だと思い、住民票の発行を行いました。町でなくなったことに寂しい気持ちも少しありますが、今後、市に変わったことで、交通の便や公共施設の充実が今以上に進めば」と、新たな市の始まりに期待をのぞかせた。

 市制施行にあたっては、「ここから那珂川市 KOCO COLOR NAKAGAWA-CITY」というキャッチコピーも策定された。“始まる”や“スタート”といった前向きな意味をもつ「ここから」をプラスすることで、新たな那珂川市が歩み出していくことを表現。また、「KO」は住民(個人)、「CO」は企業(カンパニー)を表しており、「市になることで、住民や企業などのさまざまな個性(色)が生まれ、“ここから”一歩を踏み出してもらいたい」という期待と願いが込められたものだ。新たに誕生した那珂川市の歴史は、今まさに“ここから”積み重ねられていくことになる。

【坂田 憲治】

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