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2018年11月16日 12:11

最高裁、不祥事記録「のり弁」3年越しの撤回へ

行政上回る“のり弁”開示

第三者委員会が筆者に郵送してきた最高裁の
「補充理由説明書」の写し

 最高裁判所が1年前に開示した公文書について、不開示部分が多過ぎるとの審査請求(不服申立て)を受けていた同所が今月までに、当初の判断を見直すべきと自ら認めていたことがわかった。文書は裁判官などの不祥事を記録したもので、昨年11月末に開示された時点では処分内容など大部分が墨塗り処理され、いわゆる“のり弁”状態になっていた。年明けにも見込まれる再開示では、45枚の文書で300カ所以上の“のり”が剥がれることになる。

 筆者は昨年4月、最高裁に対して前年(2016年)一年間の「全国の裁判所の裁判官及び裁判所職員の懲戒処分と監督上の措置(懲戒に到らない内部処理)がわかる文書すべて」の開示を求めた。請求を受理した最高裁は同年11月、不祥事の処分に伴う『処分説明書』など4種の文書計45枚の開示を決定。しかし、これに基づいて開示された文書は大部分が墨塗り処理され、不祥事を起こした職員の属性(氏名や年齢、性別、所属、官職など)や処分の種類、処分理由、処分年月日などがことごとく隠されていた。つまり、その年に起きた不祥事の概要をまったく確認できない状態になっていた。

 文書の一部を隠した理由を、最高裁は決定文で「個人識別情報が記載されており、それらは情報公開法の定める不開示情報にあたる」と説明している。しかし裁判所とほぼ同じ書式の『処分説明書』を作成している行政官庁では、国民の情報開示請求に対して当事者の属性や処分理由などを隠さず開示するのが一般的。筆者は実際、過去に警察庁へ同旨の請求を寄せ、求める最低限の情報を入手できている。司法府の裁判所に行政の情報公開法は適用されないが、裁判所自身が一部不開示の根拠として同法を引き合いに出している以上、過剰な“のり弁”が情報公開の精神に適っているとは言い難い。

隠し過ぎ300カ所超、自ら認める

意味のある情報がことごとく墨塗りされた
『処分説明書』(最高裁が昨年11月に開示した
文書の一部)

 筆者は本年1月、最高裁に審査請求を申し立て、先の文書を改めて適切に開示し直すよう求めた。最高裁は3月上旬、これを第三者機関の「情報公開・個人情報保護審査委員会」へ諮問、併せて同委へ「理由説明書」を提出し、当初判断に誤りはなかったと改めて主張した。
 有識者など3人の委員からなる審査委は、2015年7月に発足。国民の審査請求を受けて裁判所の情報公開が適切だったかどうかを審議し、第三者としての評価を答申している。発足以来、本年10月までに計260件の事案を審査してきたが、裁判所の“のり弁”に疑義を呈した答申は現時点でわずか3件(※ 別記URL参照)。不服が認められて当初決定が覆るのは、年に一度あるかないかの稀な出来事となっている。
 今回の審査請求について、審査委は諮問2カ月後の5月15日に審議に臨んだが、そこでは結論に至らず、さらに4カ月を経た9月21日に再び審議に入ったものの、この時も答申は先送りされた。3度目の審議を待たずに最高裁が「補充理由説明書」を提出したのは、諮問から8カ月が過ぎた11月1日のこと。同書によると最高裁はこの間、筆者の請求への対応を「改めて検討」することになり、その結果、当初の墨塗り部分のなかに「開示すべき情報」が多数含まれていたことを確認したという。補充書に添付された「別表」には、職員の属性の一部や処分内容の一部など、計330カ所に上る「開示すべき」部分が示されていた。
 この補充書をもとに審査委がさらに議論を重ねて答申に至り、それを受けて最高裁が正式に開示のやり直しを決定するのは、同事務総局によれば早くとも年明けになるという。当初「前年」の不祥事という趣旨で請求した「2016年」の記録は、2019年を迎えて初めて適切に開示されることになるわけだ。

有名無実、裁判所の開示期限

 裁判所の情報公開では原則、請求から30日以内に開示の可否を決定することになっている。しかし筆者が昨年4月に寄せた請求については「2カ月程度の延期」が3回にわたって重ねられ、11月になってようやく一部開示が決定した。同決定で入手した“のり弁”への不服申し立てでは、やはり審査委への諮問が延期されるなど、さらに1年以上が費やされることになった。開示決定を延期した理由を、最高裁は通知文で「文書の探索及び精査に時間を要しているため」と、また諮問を延期した理由を「対応の準備等に時間を要しているため」とのみ説明している。

 なお、筆者は本年1月に「2017年」の不祥事記録の開示を最高裁に請求したが、目下「2カ月程度の延期」が5回重ねられているところで、11月現在も開示の可否が伝えられていない。この請求に対しても“のり弁”決定が出ることになるかどうかは定かでないが、そうなった場合は無論、昨年と同じように審査請求を申し立てる考えだ。

※ 参考(審査委員会がこれまでに裁判所の“のり弁”に疑義を呈した答申3件)
http://www.courts.go.jp/saikosai/vcms_lf/28saijou15.pdf

http://www.courts.go.jp/saikosai/vcms_lf/29sj62.pdf

http://www.courts.go.jp/saikosai/vcms_lf/30saijou1.pdf

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