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2019年01月28日 16:22

眠りをテクノロジーで解決する時代へ~ベンチャーと大企業の提携で新事業

良い眠りにつく方法は、睡眠データからわかる

 睡眠不足に悩みがちな現代人にとって、ぐっすり眠れるようになりたい、睡眠不足を解消したいというニーズは切実なもの。こうした潜在的な需要に応えようと、スマートフォンなどのITデバイスが普及した頃から、眠りを最新のテクノロジーで解決することが注目されるようになった。2019年1月23日(水)・24日(木)にUBMジャパンの主催で開催された「ヘルスケアIT 2019」展では、睡眠テクノロジーを健康に役立てる事業構想について、(株)ニューロスペース代表取締役・小林孝徳氏と、事業を提携している企業3社とのパネルディスカッションが行われた。 

 ニューロスペースは、ベッドマットの下に圧力センサーを敷いて眠ることで、心拍数や呼吸、体動などのデータを取得し、睡眠のパターンを把握して良い眠りにつながる方法を提案している。たとえば、残業が続くビジネスマンや育児中のワーキングマザー、トラックのドライバーなどの睡眠のパターンを解析し、良い眠りにつくためには何時に何をしたら良いかを個人のスマートフォンアプリに伝えて、睡眠の質を改善する。また、1人ひとりの睡眠のデータを取得して睡眠のタイミングがわかると、日中のいつのタイミングで眠気が強くなるのかもおおよそ特定できるのだという。

ANAと提携し「時差ボケ」の解決に取り組む

 近年、ベンチャー企業と大企業の新事業の協業が進んでいる。ベンチャー企業としては、ビジネスの市場を広げて大きな事業の実現が可能になる。大企業としては、企業のなかの新たなイノベーション拠点「出島」として、企画や決済の体制を柔軟にして新分野の事業化のスピードアップを図り、既存事業にはない新規市場への進出を達成するためだ。ANAホールディングス(株)デジタル・デザイン・ラボ、チーフディレクターの津田佳明氏は、ニューロスペースとの提携事業として、海外渡航時の「時差ボケ」の解決を挙げた。

 ANAのイノベーション拠点の「出島」であるデジタル・デザイン・ラボ(DD-Lab)は、同社相談役・大橋洋治氏が発案した「乗ると元気になるヒコーキ」からの時差ボケ調整システムの開発事業に、メンバーのアイデアを重視した柔軟な組織体制で取り組んでいる。

 飛行機に乗り目的地に着いた後、到着地ではベストパフォーマンスを発揮できるかどうかは、たとえばスポーツ選手や国際会議の出席予定者などは特に気に掛けるところ。そのため、国際線では時差ボケを解決し、飛行機に乗って疲れないようにすることが課題といえる。

 現在、ANAはニューロスペースとともに睡眠データを活用して時差ボケを和らげるアプリを開発しており、近年中の実用化を目指している。飛行機の搭乗前、搭乗中、搭乗後のそれぞれのタイミングの光の浴び方、食事のとり方、睡眠・仮眠の取り方、体の動かし方など、具体的なアドバイスをスマートフォンの「時差ボケ調整アプリ」でユーザーに知らせるという。ANAは研究開発部門をもたない企業だが、サービスを実証できる場があるため、他社と協業するオープンイノベーションにより新規サービスの実用化を図っている。

東京電力は、ホームオートメーション分野で睡眠テクノロジーを活用

 東京電力グループ企業のTEPCO i-フロンティアズ(株)代表取締役副社長・菊池英俊氏も、ニューロスペースと睡眠改善で協業する。親会社の東京電力エナジーパートナーは電気やガスのエネルギーを提供する企業だが、電気・ガスともに自由化された。過当競争により既存事業に安住できないとの観点から、電気やガスを販売する会社から暮らしのなかで人々にベネフィットを提供する会社にシフトする。

 企業としてどのような価値を生み出していくかという点で、外部のエコシステムであるベンチャーと協業し、イノベーション拠点の「出島」としてTEPCO i-フロンティアズ(株)を2017年に設立した。出資比率は、東京電力エナジーパートナー50%、事業開発のコンサルティング会社の㈱ICMG 50%。新規事業のスピーディーな実現を目指す。

 具体的には、家電製品がITでつながるホームオートメーション分野で睡眠テクノロジーを利用する。たとえば、1人ひとりが熟睡できる環境になるように、照明や音やエアコンを人工知能(AI)でコントロールする。住宅やマンション、介護施設、病院などの快眠パッケージとして東京電力グループで事業化し、市場の投入を目指している。

東急スポーツオアシスはエクササイズと眠りの相乗効果を狙う

 (株)東急スポーツオアシス・ホームフィットネス事業本部のゼネラルマネージャー竹尾賢二氏は、フィットネスへの睡眠データ活用を図る。近年、東急オアシスは健康データのフィットネスへの活用を開始した。従来のジムに通う方法のほかに、2002年から自宅や職場でできるホームフィットネス事業を開始。ウェブジム(ウェブGYM)は、スキマ時間で場所や時間を問わずにジムができるスマートフォンのアプリだ。数百種類以上のエクササイズメニューで、アンドロイド版は2017年のベストアプリに選ばれている。

 今年1月からは「ウェブジム ライブ」(ウェブGYM LIVE)と呼ばれる、自宅にいながらインストラクターのバイクレッスンをリアルタイムに受けられるサービスを開始した。東急スポーツクラブオアシスでは、ジムや日常生活で運動データを取得してフィットネスや健康の成果として活用しているが、利用者がどのような睡眠をとってきたかがわからなかった。エクササイズやトレーニングの運動データと睡眠データを合わせて利用し、効果的に健康になれるサービスを提供する。

<プロフィール>
石井 ゆかり

みどりの宇宙(株) 経営コンサルタント。筑波大学卒業。京都大学農学研究科修士課程修了。ヘルスケア関連メーカーに勤務後、人の健康と企業の発展に貢献したいという想いから、経営コンサルタントとして中小企業の経営支援を行っている

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