2024年12月10日( 火 )

【書評】「会社を絶対につぶさないための財務健全化」秋吉博文~生き残りのカギは納税

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 利益を出しはじめた若い中小企業は納税負担の大きさにたじろぐ。そうした経営者が陥るのが「節税」名目の浪費だ。

 公認会計士の著者は多くの経営者が節税名目の浪費に手を染め、破綻や経営危機に陥るのを見てきた。その一部は資金調達や経費の見直しなどのサポートで再建できたが、納税を渋り、財務体質強化を疎かにし自滅していった。筆者は一刻も早く財務体質強化の重要さに気付いてもらいたいと本書の出版を思い立ったという。

 本書は決算書や論文が苦手な経営者でも読みやすいようにストーリー仕立てとなっている。建設業の社長が創業から事業承継までに経験する事業の成長や経営危機、そこからの脱出や復活など財務健全化を通じて成し遂げる過程が記されており、クラブでの豪遊や大口取引先からの回収遅延や不良債権発生、社員の発言による気付きなどが具体的に盛り込まれている。経験豊富な経営者には思い当たる節があるだろう。一方で経験が浅い経営者には格好の警告書となっている。

 本文の「会社を正しく経営し、成長企業にするためには財務を強くし、借り入れ依存ではない体制をつくり、前向きな投資を積極的に行い、環境変化に合わせていく」ということに取り組みたくなるような仕掛けが本書にはある。

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