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2019年02月12日 07:02

更年期を正しく理解し、健康増進の重要性を理解してもらうことが大切(3)

NPO法人更年期と加齢のヘルスケア 理事長 小山 嵩夫 氏

 ―最近は薬物療法を敬遠する女性が増えてきました。更年期障害対策で、HRT以外の選択肢はあるのでしょうか。
 小山 女性は閉経を迎える前後に女性ホルモンのエストロゲンが激減します。これによってホルモンバランスが崩れ、自律神経失調症や骨量減少、高脂血症などが起こりやすくなります。しかし、動悸がすると内科へ行って心電図や心エコー検査を受けたり、うつ症状が出ると心療内科で抗うつ剤を処方してもらうなど、それぞれの症状に応じていろいろな医療機関を受診する方が少なくありません。このため、適切な対応をとるためには医療機関を受診する女性の方はもちろんですが、医療従事者側もきちんと更年期のことを理解しておく必要があります。

 たとえば、更年期障害に対して婦人科では検査などで体内に重金属が蓄積していることがわかればEDTAやチオラ錠を処方するキレーション治療を選択するケースがあります。キレーションは、体内の重金属を排出させるための治療法で、心臓疾患の予防としても施行されます。水銀や鉛、カドミウムなどの重金属は、蓄積されていくと頭痛や貧血、うつ症状などの原因となると考えられています。ただし、更年期世代の方のすべてが、治療が必要な重大な疾患が認められるわけではありません。むしろ、いつまでも元気でいたい、若さを維持したいといった予防医学的な対応を求めている人が圧倒的に多いのではないでしょうか。細胞の活発さなど、抗加齢的なアプローチとしては、やはり運動や食事などが大きなファクターとなりますが、サプリメントや漢方薬などを用いることも有効な手段だと考えています。

日本サプリメント学会の発足

 ―予防医学的な対応については、どのような取り組みを行っているのでしょうか。
 小山 端的にいえば、対症療法の専門家である医療従事者が、食事や運動、そしてストレスケアまでを指導できる人材を育成することです。サプリメントや漢方薬もその選択肢の1つです。ただ、ここで問題なのは、医療関係者のなかでサプリメントに関心をもっている人が少ないことです。とくに医師は、保険診療の範囲で治療を行っていますので、保険外の治療にはあまり関心がなく、知識もありません。それに加えてサプリメントについては、日本では臨床試験を必要としていませんので、医師から見れば、どうしても“いい加減なもの”という印象は拭えません。そこで、医療従事者がサプリメントのことをもっと勉強できるように、11年11月に「日本サプリメント学会」を発足してサプリメントの研究に取り組むことにしました。健康食品であるサプリメントは、消費者が簡単に入手でき、しかもセルフプリベンションのために利用できる商品といえますが、安全性などのデータはまだまだ不十分です。しかし、臨床効果の判定に医薬品並みの厳格さを求めていては、開発する側の意欲を削いでしまうという問題があります。食品に見合った評価方法を検討していくことも、学会の課題となるでしょう。将来的には、我々が独自の評価システムをつくって有効性や安全性のデータを蓄積していくことも計画しています。

(つづく)
【吉村 敏】

▼関連リンク
●NPO法人更年期と加齢のヘルスケア
●(一社)日本サプリメント学会

 

<COMPANY INFORMATION>
理事長:小山 嵩夫
所在地:東京都大田区南千束3-14-16
設 立:2002年4月
TEL:03-3748-2562

<プロフィール>
小山 嵩夫(こやま・たかお)

1944年生まれ。68年、東京医科歯科大学医学部卒業(医学博士)。同大学医学部産婦人科助教授を経て、96年に女性の健康を総合的に管理することを目的として東京・銀座に小山嵩夫クリニックを開設、院長として現在に至る。専門は生殖内分泌学(更年期医学)。ホルモン補充療法の第一人者として知られる。更年期前後から元気に生きるための啓発活動を行っており、NPO法人更年期と加齢のヘルスケア理事長として、メノポーズカウンセラーの育成に従事している。著書として「女と男の更年期」(誠文堂新光社 2008)、「女性ホルモンでしなやか美人」(保健同人社 2009)など。学術専門誌「更年期と加齢のヘルスケア」編集長。

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