【福岡空港現場レポート】滑走路増設で「過密空港」脱却なるか?
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2019年03月08日 11:37

【福岡空港現場レポート】滑走路増設で「過密空港」脱却なるか?

 「過密空港」の緩和のため、福岡空港の第2滑走路の増設工事が2015年度から進められている。新たな滑走路は延長2,500m。既存滑走路(延長2,800m)の西側210mの位置に並走するかたちで設置される。現在、新たなエプロン(駐機場)の整備が進められているところで、滑走路本体の整備には、19年度から段階的に着手する。24年度半ばに工事を完了し、同年度末に供用開始予定だ。概算で約1,643億円(別途民間投資200億円程度)の国費を投じるプロジェクトの完成により、福岡空港はどう変わるのか。工事の概要や進捗などと併せて取材した。

良好な立地、アクセスが功奏、国内4位の発着回数17.9万回

国内主要空港旅客数・発着回数(2017年度)

 日本国内の主要空港の滑走路本数は、羽田空港が4本と最も多く、成田空港、関西空港、伊丹空港、新千歳空港が各2本、福岡空港、那覇空港、中部空港が各1本となっている。2017年度の福岡空港の旅客数は2,398万人、発着回数は17.9万回(いずれも第4位)に上っており、滑走路が1本の空港ではトップ。滑走路が2本ある新千歳空港、伊丹空港を上回っている。ちなみに、トップは羽田空港で、旅客数8,568万人、発着回数45.3万回。世界の主要空港でのなかでは第4位となっている。

 福岡空港の強みは、中国大陸に近い日本列島の西側、九州北部に位置し、九州最大の都市である福岡市にあるという立地条件に大きな要因がある。福岡空港には、福岡市営地下鉄が乗り入れており、博多や天神などがある都心部まで10分程度とアクセスが良いのも、成田空港や関西空港などほかの空港に勝る点だといえる。その結果、国内外の多くの航空会社が便を就航。年間の発着回数が17万回を超えるまでに成長した。

滑走路1本では限界、渋滞による遅延も

 滑走路が1本しかない福岡空港が円滑に発着できる回数、空港の処理能力は、16.4万回とされる。現在の発着回数は、すでに空港の処理能力を超えているわけだ。発着が重なる時間帯には、滑走路を利用できず待機するケースも少なくない。待機時間が増えれば、それだけ離発着の遅れが生じる。ビジーな発着状況は、新たな就航便の受け入れの妨げになっている。円滑な離発着のためには、新たな滑走路の建設は不可欠だった。滑走路増設により、処理能力は18.8万回~21.1万回に増強されると試算されている。

 ただし、一口に「滑走路を増やす」といっても、簡単なことではない。滑走路が2本以上ある国内主要空港の敷地面積を見ると、羽田空港1,522ha、成田空港1,145ha、関西空港1,068ha、新千歳空港719ha。福岡空港はというと、わずか353ha。旅客数、発着回数が近い関西空港と比べると、3分の1程度に過ぎない。国際線が就航する空港としては「極めて狭い空港」の部類に入る。詳細については後で触れるが、スペース的にはギリギリの場所で、しかも隣で飛行機が発着するなか、新たな滑走路をつくるには、さまざまな工夫が必要になる。

空港の制限区域外とし、昼間の作業が可能に

滑走路増設工事の概要図

 現在ある滑走路は、空港のほぼ中央部分を横断するかたちで、ほぼ南北方向に伸びる延長2,800m、幅60mのもの。新たな滑走路の延長は2,500m、幅60m。既存滑走路の西側に並行するかたちで計画されている。滑走路間の間隔は210mと距離が短いので、2滑走路での同時発着はできない。

 工事に際しては、新滑走路の西側にある貨物ターミナルを撤去。18年2月に、さらに西側に新たに整備した用地に移設させた。跡地にエプロンを建設するためだ。エプロン工事に際しては、工事区域を囲むように仮設フェンスを設置。工事現場を暫定的に「空港の制限区域外」とした。空港の制限区域内での作業となると、発着する飛行機や関連車両などへの配慮や、工事車両の保安チェックなどをともなうため、基本的に夜間のみの作業になる。夜間は昼間に比べ、作業効率が格段に落ちるほか、安全確保上のリスクも高くなる。それを回避するための措置だ。空港の制限区域内の現場を空港の制限区域外にする工事のやり方は、「全国の空港でもかなり珍しい。大規模な工事では初めてだろう」(九州地方整備局担当者)と話している。

 エプロン工事では、厚さ43cmのコンクリートを4万8,000m2にわたって打設する。必要なコンクリート量は約2万m3。施工担当は鹿島道路(株)。比較的広範囲なコンクリート打設となるため、モーターグレーダーやバイブレーター、フィニッシャーなどの機械を活用。18年11月末時点の進捗率は73%で、予定を上回るペースで進んでいる。生コン車両などが出入りする道路は、国内線と国際線を結ぶバスを始め、一般車両も通行する。生コン車両は場外待機しないルールを設けるなど、渋滞が発生しないよう配慮している。

エプロン工事の現場の様子。取材当日は、前日からの雨のため、
コンクリート打設箇所にたまった雨水の排除作業などが行われていた

 滑走路本体工事は19年度以降に段階的に実施する予定だが、当然ながら、空港敷地内での工事となる。基本的には、飛行機の発着がない夜間に作業を行うことになる。昼間に作業を行う場合、飛行機と作業場所のクリアランス(水平方向や高さ)に制限があるためだ。夜間作業時には、空港の運用を確保するため、日々の準備、後片付けを含め22時30分から翌朝6時までの作業時間しかなく、作業効率が悪くなる。照明設備を充実させて作業の安全性を確保するなど、負担は「昼間作業に比べ、格段に増える」(九州地方整備局担当者)という。

 今のところ、19年度に延長470m程度を整備する予定だ。滑走路の仕上げはアスファルト舗装だが、飛行機の重量、発着回数などを計算し、材質、厚さなどを決める。第2滑走路の舗装の厚さは2層、16cm。ちなみに、一般的な市町村道路の厚みは1~2層、5cm~10cm程度になる。

 国内線側では、発着航空機の輻輳にともなう慢性的な遅延・待機の解消方策として、平行誘導路を二重化する国内線旅客ターミナル地域再編事業も行われている。国内線のターミナルビルの第1、第2の一部は、建設から30年以上が経過。老朽化が進んでいたことから、再編事業にともないターミナルビルをセットバックして建て替えるなど、大規模な改修工事を行っている。

【大石 恭正】

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