突如出現した大穴、前代未聞の博多駅前陥没事故(中)
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2017年03月10日 09:00

突如出現した大穴、前代未聞の博多駅前陥没事故(中)

生かされぬ過去の教訓

 福岡市の地下鉄工事で陥没事故が発生したのは、実は今回で3度目。過去2回の福岡市営地下鉄工事による陥没事故に関しては、損害・原因ともに明らかになっていなかった。

 博多駅前の地盤は、もともと湿地帯であるうえ、陥没現場は水分を多く含んだ土砂層や砂層、その下に岩盤層が重なっており、専門家でもその構造すべてを把握するのは難しいという。その点は、今回の陥没事故の前に開催された「福岡市地下鉄七隈線建設技術専門委員会」でも指摘されていた。

事故発生当日の様子
(2016年11月8日朝)

 今回の事故を受けて、市は原因解明について国交省に要請。国交省所管の国立研究開発法人・土木研究所(茨城県つくば市)に、事故原因解明に関する第3者検討委員会(福岡市営地下鉄七隈線延伸工事現場における道路陥没に関する検討委員会)が設置され、事故の原因と再発防止が検討されている。第3者検討委員会では年度内をメドに、事故原因の解明とともに、再発防止策もとりまとめる予定。議事録などの内容は「忌憚なく意見を交換する」ため非公開とされ、後日、福岡市と土木研究所のホームページに公開されるという。1月21日に東京都内で開かれた2回目の会合後の記者会見では、事故発生の要因となった地質や設計・施工に関する10項目の可能性を提示。3月開催の次回会合で事故原因を絞り込み、中間報告をとりまとめる方針となっている。

 問われるのは、原因解明に対する市の姿勢だ。福岡市は当初、設計書や施工計画書など工事に関する情報を、福岡市議会に対しても公表しなかった。その理由は、第3者検討委員会が非公開になっているためで、第3者検討委員会での議論が終わってから資料とともに公表する予定だという。第3者検討委員会を議会よりも上に置いた姿勢に、市議らからも批判が噴出していた。

 ところが、17年1月になってから市の姿勢に変化が――。非公開としていた資料について、第3者検討委員会と協議のうえで、1月16日以降、情報公開に応じる姿勢に転じた。事故の概要や設計、施工の経緯を記した資料も、市交通局のホームページ上で公開を開始。市交通局では「市が持つ資料は可能な限り公表する。早期からそういう判断をすべきだった」との見解を示している。

問われる施工業者の責任

 さらに新たな動きがあったのは、第3者検討委員会の2回目の会合が行われた後。事故発生の前日に崩落の兆候と見られるデータが計測されていながら、施工業者側が市に報告せずに工事を続行していたことが判明したのだ。

発生から3カ月が経過した現場の様子
(2017年2月7日昼)

 福岡市によると、事故前日の午後6時頃、大成JVは掘削中のトンネル内に設置された自動的に圧力を測るセンサーで、市との請負契約上で現場点検と市への報告が義務付けられたレベル1を計測。だが、市への報告が行われることなく工事が継続されていた。その後、事故当日の午前1時半頃には掘削の停止を求めるレベル3まで達していたが、工事はそのまま続行。午前5時過ぎになって、崩落事故が発生するに至った。

 この問題を受けて高島市長は、1月24日に行った定例会見で、工事の発注者として独自に施工業者へのヒアリングを行う考えを示していた。その後、契約条項等について大成JV側が適切に履行していたかを確認するため、市は発注者の立場から大成JVに対して1月下旬から2月上旬にかけてヒアリング調査を実施。2月9日にはヒアリング調査の結果を公表した。ヒアリング調査の結果によると、大成JVは計測値の基準超過を把握しておきながら、「予測の範囲内」「異常な値ではない」と判断し、交通局への報告を事故発生後まで行わなかったとされる。これに対し市交通局は、大成JVが前日の計測において基準値を超えたことを把握しながら直ちに報告を行わなかったことについて「契約上の指示が守られていなかった」としたうえで、「事故を未然に防止できる機会を逸した可能性がある」との見解を示している。

 こうした一連の問題について大成建設広報室は、データ・マックスの取材に対し、「検討委員会において、今後も引き続き審議が継続されていることから、原因などに関するご質問については回答を差し控えさせていただきます。なお、原因究明などに向けては、施工者として最大限調査協力を行ってまいる所存です」と回答。

(つづく)
【坂田 憲治】

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