2024年04月27日( 土 )

中国経済新聞に学ぶ~実体経済のAI化とIoT化を加速

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 全人代に出席した中国IT業界の代表や全国政協委員多数が議案や提案を持ち寄った。その大半はインターネットを通じてさらに実体経済を支え、実体産業の発展を後押しする方法に関するものだ。

 全人代代表を務める騰訊(テンセント)の馬化騰会長兼CEOは「インダストリアル・インターネットは実体経済の質の高い発展に歴史的チャンスと技術環境をもたらす。この過程において、インターネット企業は従来型企業の競争者ではなく、こうした企業の『デジタル化アシスタント』となり、実体産業の一層の成長を支援する」と説明し、「インダストリアル・インターネットの構築においては、5GやIPv6の全面的な商用展開の加速など情報インフラの整備推進にも力をいれるべきだ。同時に、クラウド・コンピューティングの革新的発展を促進にも力を入れるべきだ。同時にクラウド・コンピューティングの革新的発展を促進し、工業クラウド、金融クラウドなど各種クラウドプラットフォームの発展加速を促し、実体経済のデジタル化を加速するべきだ」と述べた。

 全国政協委員をつとめる百度創業者の李彦宏氏は「人工知能(AI)は道路交通及び医療産業の発展をさらに後押しする。国はデータ共有・利用制度を確立して、各地のスマート交通ソリューションの構築を促すべきだ」と指摘。引き続き電子カルテ入力のスタンダードを整備し、医療機関と研究機関及び企業の協力強化を促すと同時に、データ応用の技術標準と法的保障を整備することを提言した。

全国政協委員を務める網易(ネットイース)の丁磊CEOは「中国の経済構造の最適化と高度化の勢いは今や明らかだ。『インターネット+先進製造』の深化によって、質の高い経済発展を効果的に推進できる」と指摘。

IIoT(インダストリアルIoT)の発展をさらに深めて「先進製造」を後押しすることを提言した。また「AIとビッグデータを積極的に利用してユーザーのニーズを把握し、生産を最適化し、メイド・イン・チャイナのスマート化、ハイエンド化、市場化を図るべきだ」と述べた。

 全人代代表を務めるレノボ・グループの楊元慶会長兼CEOは「AIとインターネットの深い融合を推進し、中国製造業の質の高い発展を押し上げ、『効率ボーナス』を創造する必要がある」と指摘。「スマートIoT(モノのインターネット)産業に対する政策的支援を強化し、実施基準を細かく定めるべきだ。また、スマートIoTのモデルケースづくりを強化し、再現可能なノウハウを普及させる必要がある」とした。

 全人代代表を務める小米の雷軍会長兼CEOは「IoTの応用シーンは非常に広範で、製造業、農業、医療、セキュリティーなどの業種に新たな発展のチャンスをもたらす。IIoTの応用を加速し、工場のスマート化を支援するべきだ。また、スマート農業の発展は『農村振興』戦略の実施を後押しする。医療IoTの普及は『健康中国』の建設を後押しする」と述べた。

 今年の政府活動報告は「従来型産業の改造・高度化を推進する必要がある。製造業の質の高い発展の推進を中心に、工業基盤と技術革新力を強化し、先進製造業と現代的サービス業の融合的発展を促進し、『製造強国』の建設を加速する。インダストリアル・インターネット・プラットフォームを構築し、『スマート+』を拡大して、製造業の構造転換と高度化に力を与える」とした。

 どのような技術も両刃の剣であり、人工知能(AI)も例外ではない。最新技術のもたらす利便性を享受すると同時に、安全上の問題も軽視してはならない。法治によってAI産業の健全な発展を確保し、AIが人類社会の幸福に貢献するようにする必要がある。

 次世代AIの健全な発展を後押しするために、法治はどのような行動を取るべきか。AI産業の健全な発展には、一体どのような法治面の保障が必要か。

 「いかにして法体系の時代に合わせた進歩を推し進め、AI産業の飛躍的発展と社会の進歩におけるニーズを早急に満たすか。これは法治にとって大きな挑戦だ」と、全人代代表を務める科大訊飛の劉慶峰会長は語る。

 取材した代表や委員は劉氏と同様、1人の例外もなくAI関連の立法作業を加速する必要性を指摘。全人代代表を務める中華全国弁護士協会の劉守民副会長は「立法はAIの発展を先導する一方で、発展の目標、ルート、段階に関する規則作りも必要だ。だがAIの発展が非常に急速なため、立法は発展のスピードについていけないことがその課題だ」と指摘する。

 AIが関係する分野は多岐にわたるため、各分野で立法にも違いがある。これについて、全人代代表を務める北京市弁護士協会の高子程会長は「まず交通や医療など重点分野で専門の立法作業を試行し、経験を総括した後に総合的・系統的な立法作業を行えばいい」と提案した。

 すでに全人代常務委員会は「デジタル・セキュリティー法」「個人情報保護法」「科学技術進歩法の改正」などAIと密接に関係する立法プロジェクトを今期5年間の立法計画に盛り込んでいる。


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