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2019年03月29日 07:01

シベリアよりAIを込めて~ノヴォシビルスク使節団が語る展開と展望(2)

ノヴォシビルスク州投資発展エージェンシー社 CEO
アレクサンドル・ズィリャノフ 氏
ソフトラボ-NSK社 CEO/業界団体シブアカデムソフト 代表
イリーナ・トラヴィナ 氏

左から、ヴャチェスラフ・アナニエフ(データ・イースト社CEO)、
イリーナ・トラヴィナ(ソフトラボ-NSK社CEO、業界団体シブソフトコム代表)、
アレクサンドル・ズイリャノフ(ノヴォシビルスク州投資発展エージェンシー社CEO)、
ワシーリー・プロトニコフ(ノヴォシビルスク州投資発展エージェンシー社投資部門ディレクター)

医療ツーリズムも盛ん

 イリーナ・トラヴィナ代表(以下、トラヴィナ) 私は、「福岡市はスタートアップ支援(起業支援)に注力することで街全体が若返った」と感じています。

 ただ、ノヴォシビルスクを見ますと、日本のような高齢問題とは無縁です。それは学術研究機関が多数あることで学生がロシアの各地方、各都市から大勢来ているからです。ノヴォシビルスクは3つのアカデミ――農業アカデミー、医療アカデミー、そしてロシア科学アカデミーを擁する街として知られています。そしてここには大学のような高等教育機関のほかにも、最先端の研究を行っている研究機関もあり、研究と教育は活発に行われています。

 私たちの街ではハイテク医療による治療や研究が盛んに行われていますので、いわゆる「医療ツーリズム」というものも受け入れています。ほかの地域から私たちのところにきて最先端の医療を受けようという動きです。ヨーロッパやイスラエルなど他国の「医療ツーリズム」に比べてもお手頃な値段で来ることができます。

 また、テクノパーク(産業集積地)もいくつかあり、一般的なテクノパークのほかに、バイオテクノロジー・テクノパーク、医療テクノパークのような特化型もあります。ビジネス・インキュベーター(新事業支援施設)もあります。そこでは若者によるスタートアップが、さらに発展するためのイベントも常に催しています。そのようなかたちで若者によるスタートアップは常に生まれ、育っていくものですが、福岡市がうらやましいと思うのは、福岡は大きな市場に近いところにあるということです。ノヴォシビルスクは大きな国の内陸部にあるので、福岡市とは対峙する市場の規模が1ケタぐらい違うのではないかと思います。

 ―医療ツーリズムでは、どちらから来られているのでしょうか?

 トラヴィナ ノヴォシビルスクには連邦医療センターという国家レベルの医療機関が複数あり、とくに心臓・血管系に強みをもっています。そこでは1年間で2万件の手術が行われていまして、来診者はほぼロシア全土からきています。モスクワのような“ヨーロッパロシア”と比べても治療費が安いということもあって、ロシア全土からきています。あとは外国だと主に、CIS(独立国家共同体)諸国であるカザフスタンやウズベキスタンなどからも来ています。

 この連邦医療センターでは研究も行われています。たとえば循環器系に関しても強いのですが、心臓の手術をした後に人体が起こす臨床医学的な死を食い止めるための研究などがその1例です。

 ノヴォシビルスクには病院が130施設、医科大学が7校、連邦医療センターが9施設あり、そのなかにはメシャルキン循環器系学術医療センター、ツィビヤン外傷・整形外科学術医療研究センター、ヒョードロフ眼科医療センターなど専門分野をもっています。

(つづく)
【小栁 耕】

アレクサンドル・ズィリャノフ(Zyrianov, Aleksandr)
ノヴォシビルスク州投資発展エージェンシー社CEO。1993~2008年まで起業家として活動したのち、ノヴォシビルスク市・市民課副課長、ノヴォシビルスク州投資発展エージェンシー第一副社長を経て現職。

イリーナ・トラヴィナ(Travina, Irina)
ソフトラボ-NSK社CEO、業界団体シブアカデムソフト代表。1985年にノヴォシビルスク国立大学を卒業後、同市近郊の研究所でエンジニア、プログラマーとして勤務。ソ連崩壊後は同僚とともにソフトラボを起業。ITクラスター育成の非営利団体「シブアカデムソフト」の設立にも参加し、副会長を経て現職。

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