• このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年04月14日 07:04

原発と住民の関係も変化 再エネ小売との協力構想も(中)

自作のノボリで運動

事務所にて北川浩一氏。自筆のノボリに囲まれて

 こうした国と企業の動きに対して、住民たちも以前のように黙ってはいない。

 そこに足を踏み入れると、ところ狭しと並ぶノボリの数に圧倒された。「健康無害を証明せよ」「四十年空気も水も汚染」……ほかにも多くの原発反対の標語が書かれている。

 「ほとんど1人でつくったよ」と語るのは、唐津市在住の薬剤師・北川浩一氏。唐津の市民グループ「玄海原発反対!からつ事務所」の発起人の1人を務め、発足以来、自作のノボリをもって同市内の役場やオフサイトセンター(原発事故の際に発電所外での司令塔となる施設)の前に立つのが日課になっている。

 同グループは16年8月に発足。九州電力川内原発1号機が再稼働したことを受け、玄海原発の再稼働を阻止しようと教育や医療に関係する市民が中心となって立ち上げた。現在は年間3万枚ビラを作成して住民たちへ配布、原発の危険性の周知徹底に努めている。

 その活動のなかで住民たちの生の声を聞くことがあるという。チラシを受け取った玄海町のある町民からは、「原発の廃炉だと。俺たちを被ばく労働者にするつもりか」と怒鳴られた。北川氏は「これが立地自治体の現実」と述べる。「(町民も)原発が危険だという現実はわかっている。わかっているが、そこから脱出できない」と北川氏。ほかにも、農業や漁業に携わる人々にチラシを配ったときには、押し黙られてしまったという。

玄海町農家の苦悩

 玄海町の農業従事者と接点をもっていたという九電の子会社の元社員は取材に対して、「玄海町での農業振興には無理があった」と振り返る。「農家がどんなに良いものをつくっても、産地をいうと『扱えない』と断られ、買ってもらえない。産地を明記しないとなると、市場の半値で買い取られる」と農家の苦しみを代弁する。「玄海町には稲作が大変な重労働となる棚田も多い。そんなところでつくっても、米は全然売れない。だったら、原発の関連施設の建設現場で働いたほうが儲かる」。

 反原発運動とは距離を置くものの、この元社員も先述の市民グループと共通する点を指摘する。「安心だとする説明が全然ない」。

形骸化した訓練

 2月2日、佐賀県では玄海原発の再稼働以降初めてとなる佐賀県原子力防災訓練が行われた。このとき、唐津市向島では初となる全島規模の避難訓練が行われた。唐津市内でフリースクールの代表を務める進藤輝幸氏は、同島での避難訓練に参加したが、そこで「放射能汚染は大したことない」と語る有識者がいたという。「脱力した。何のために訓練をするのかと思う人もいたのでは」と表情を曇らせた。

 原発が立地する自治体および周辺に住む人々にとって、原発の再稼働は目の前の現実問題であり、健康への影響や緊急事態発生時など心配はつきない。

(つづく)
【小栁 耕】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2021年03月07日 07:00

【新・「電通公害」論】崩れ落ちる電通グループ~利権と縁故にまみれた「帝王」の凋落(2)

 日本の総広告費はGDPの拡大とともに年々増加の一途をたどり、今や7兆円に迫る規模に達している。電通は商業テレビがスタートした1953年以来、そうした日本の総広告費の...

2021年03月07日 07:00

別府市のマンション設計偽装~大分県は早急に県内の建物調査を行うべき(5)

 『別府市付近には、西日本を横断する断層帯である「中央構造線」に連なる断層帯がいくつもあります。大分県のホームページでは別府付近の断層を震源とする地震や南海トラフを震...

家族的な風土で社員の信頼関係を高め さらなる組織力強化を図る

 少子化に歯止めがかからないなか、政府は「働き方改革」を掲げ、IT活用による生産性の向上や労働環境の改善を促進。こうした取り組みによって離職率の低下と人材が確保できる...

2021年03月06日 08:00

極細1mmのふわふわ金糸モンブラン、太宰府天満宮参道で話題のソフトクリーム

 福岡の観光地・太宰府天満宮の参道にある金糸モンブラン専門店「香菓(かぐのこのみ)」が話題となっている。昨年12月25日のオープン以来3日間で1,000人を超える人気...

2021年03月06日 07:00

【新・「電通公害」論】崩れ落ちる電通グループ~利権と縁故にまみれた「帝王」の凋落(1)

 圧倒的な力を背景に、長期にわたりマスコミを支配し続けてきた広告代理店・電通グループ。だが、「驕れるもの久しからず」。広告料不正請求事件や過労死事件に象徴されるように...

2021年03月06日 07:00

別府市のマンション設計偽装~大分県は早急に県内の建物調査を行うべき(4)

 『「構造特性係数(Ds)」とは、保有水平耐力計算においてその建物に必要とされる「必要保有水平耐力(Qun)」を求める際の係数であり、Dsの値が大きいほど、その建物に...

誠実・勤勉に仕事を全うし地場総合建設業の使命をはたす

 (株)末永工務店は地場総合建設業として、1957年4月の創業以来63年間、地元・福岡を中心に、数多くの実績と信頼を積み上げている。今日も現状に甘んじることなく研鑽を...

いつの時代も正直に まちづくりに貢献し続ける

 福岡県内トップクラスの総合建設業として、地域のまちづくりに貢献し続ける照栄建設(株)。1972年6月、前畑一人氏によって創業され、2代目の中村悦治氏、そして2017...

企画が強みのアメイズマンション 機会を捉え新規事業にも挑戦

 九州の地方都市では、実家から独立して持ち家を求める若者や、通院に便利なようにインフラが整った街中に住みたいと望む老夫婦が、「2つ目の住宅」としてマンションを購入する...

2021年03月05日 17:19

会計法人代表らを逮捕、1.8億円脱税の疑い(福岡地検)

 福岡地検は4日、法人税や消費税など約1億8,000万円を脱税したとして、法人税法違反などの疑いで、(株)会計法人SASパートナーズ(東京都渋谷区)の武藤貴弘・代表取...

pagetop