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2019年05月10日 12:25

山本太郎が1人で政治を正常化? 秋葉原街宣

 今夏に改選を迎える山本太郎参院議員が閉塞した我が国の政治状況を1人で変える力として台頭してきた。8日夕方には東京・JR秋葉原駅前で「街角記者会見」を開き、およそ500人の市民から期待を寄せられた。

 午後6時すぎ、暮れかけた駅前広場に現れた山本氏は、「れいわ新選組」を立ち上げた動機から説明した。「日本を守るとは、あなたを守ることから始まる」「あなたに降りかかる不条理に対して、全力でその前線に立つ……」。100人ほどの聴衆は、「永田町からきた珍しい動物」(山本氏)の言動を興味深く見守る。

結党の動機を語る山本氏
(2019.5.8 JR秋葉原駅前で筆者撮影)
真剣に耳を傾ける市民
(2019.5.8 JR秋葉原駅前で筆者撮影)

 

 「街角記者会見」は山本氏が従来から取り組んできた市民との対話の場だ。マスコミから無視されるかネガキャンしかされない正しい政治家が、自分の考えを正確に伝える確実な方法である。ただし、当人の負担は大きく、普通の政治家なら尻込みする手法であるのは間違いない。

 「非常にリスキーな方法で、誰だってやりたくない。もし質問に答えられなければ恥をかくし、どんな人間かはっきりさらされ逆効果になるかもしれませんから。でも、私の真意を正確に伝えるには、これしかないんです」

 リスキーなイベントも、今では様相が変わってきた。この日、ボランティアは約40人におよんだ。無償でチラシを配ったり、寄付を受け付ける。機材の設営やグッズ販売までこなす。「大企業に頼らない政治」を実現するためである。

 山本氏が最初に触れた政策は、消費税だ。4月18日の萩生田光一自民党幹事長代行の「消費増税の再延期もあり得る」との発言を「安倍総理の意向をくんだ観測気球」と指摘。「自民党が凍結、野党も凍結だったら、野党に勝ち目はない」と切り捨てた。

 山本氏は「れいわ新選組」立ち上げに際し、「8つの緊急政策」を掲げている。「消費税は廃止」「全国一律! 最低賃金1,500円『政府が保証』」「奨学金徳政令」などからなる。目立つのは、経済政策を重視する点だ。松尾匡(ただす)立命館大学教授の下で2年間、経済学を勉強した。

 この日も聴衆から、年金の将来不安について質問が飛んだ。山本氏は「このままでは給付はどんどん低くされながら、従来通り払わされていくだろう」と警告するとともに、国民全員に毎月3万円を支給する「デフレ脱却交付金」を提案した。

 「皆さま、国の借金を増やすなという財務省の宣伝にだまされないでください」と述べ、2002年に海外の格付け会社が相次いで日本国債を格下げした際に当時の黒田東彦(はるひこ)財務官が「自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と反論したことなどを紹介。

 「政府の借金は民間の財産。国民の借金ではない」と断じると、集まった市民から「そうだ」「もっと言え」「竹中平蔵捕まえろ」などと歓声と拍手が湧いた。

 児童虐待やいじめ、ブラック企業でのパワハラやセクハラ、介護施設での暴力などをどうしたら防げるかとの質問があった。これに対し、山本氏は「権力を縛るのが憲法」と切り出し、憲法25条の生存権・国の生存権保証義務に言及。「介護現場で暴力が起きるのは、職員の心に余裕がないから」と述べ介護・保育士や原発作業員など希望者全員の公務員化を提案した。

 山本氏はデフレ期に財政出動しても、経済成長で税収が増え、財源は賄えるとの確信がある。

 演説は8時すぎまでおよんだ。聴衆は増え続け、終盤には500人を超えた。千葉市からきたという51歳の女性は、児童虐待や親族による財産の横領を経験した。「あなたに降りかかる不条理に対して、全力でその前線に立つ」という新党の決意に心を打たれました。いろいろな政治家に相談しても、『大変ですね』と言うだけで、法整備に向かってくれませんでした。太郎さんならやってくれそうな気がします」と期待を寄せる。
 
 埼玉県に住む18歳の男子大学生はたまたま通りかり、足を止めていた。法学部に所属し、将来は教員を志望する。「チラシにある政策は、実現できるならどれもすばらしいと思います。でも、最低賃金1,500円を政府が保証や原発即時廃止とか、どうやって財源や資源を確保するのか。ひかれる一方で、疑心があります」と吐露する。

 「れいわ新選組」への寄付金は7日発表時点で6,451万円。31日までに1億円集めることを最低限の目標に据える。ある永田町関係者は「この出足なら、1億は楽にいくでしょう。選挙が近づけば幾何級数的に伸びるのが普通です」と、同新党が大化けする可能性を評じる。

 国民民主党は3日、「憲法記念日にあたって」と題する談話のなかで、日米地位協定見直しの必要性に言及し、立憲民主党の枝野幸男代表は4月26日の記者会見で野党協議を表明し、各党幹部との対話を始めた。その背景には、国民の政治不信と同新党への注目があるのかもしれない。

 山本氏の新党が国民の期待の受け皿になり始めれば、ほかの野党には相当な圧力がかかる。各党は新党を躍進させないため、本気で政策を合わせてくることも考えられる。

 もともと、同新党は野党共闘がかなわなかった場合に備え、並行して進めるものと4月10日の結党会見で説明している。「街角会見」で筆者が「新党の旗を降ろす条件とは何か」を尋ねた。山本氏は「消費税を5%に下げることに同意すること。こんなこともできないんだったら、存在している意味あるのか」と突き放した。

 同新党への寄付額が膨らむにつれ、各党が5%に足並みを合わせてくる可能性も否定できない。山本氏は、1人で永田町を正常化し始めているかもしれない。

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<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)

 1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。

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