【加速する志免町】都市機能が充実した“コンパクトシティ” 新たな時代に向けてさらなる魅力を発信
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志免町長 世利 良末 氏
<プロフィール>
世利 良末(せり・よしみ)
1953年9月生まれ。81年に志免町役場に入庁。生活環境・税務課長を歴任して2014年に退職し、15年5月に志免町長に就任。歴史を積み重ねて今年で町制80周年
――今年、志免町は町制80周年の節目を迎えられるそうですが、何か大規模なイベントなどは予定されているのでしょうか。
世利町長 志免町は1939(昭和14)年4月17日に村から町になり、今年で80周年を迎えました。町として80周年を祝う大きなイベントは、秋口の開催を考えています。マスメディアなどを巻き込んだキャンペーンのほか、80周年に合わせた町の公式キャラクター「シメッチャ」もつくりましたし、さまざまなイベントや広報紙などで、これまでの歴史やこれからのまちづくりのPRも含めて、発信していきたいと思っています。
また、50周年のときに町の「50周年誌」を編纂しましたが、その追録版を今回つくろうと進めています。80周年は、やがてきたるべき100周年に向けての中間的な位置づけとして、いかに歴史をつないでいくか――だと思っています。
――これまで80年の歴史を積み重ねてこられた志免町ですが、町長が考える町の魅力についてのPRをお願いします。
世利町長 志免町は面積が8.7km2と小さな町ですが、人口は約4万6,000人以上で、さらに毎年増加傾向にあります。今、国の方針として“コンパクトシティ”という集約したまちづくりが進められていますが、志免町は町そのものがまさに“コンパクトシティ”です(笑)。郊外型の大規模スーパーやロードサイドのチェーン店なども充実しており、さまざまな都市機能が、コンパクトな町域のなかにギュッと詰まっていることが、まず町の魅力として挙げられます。
町としては今、若い世代に向けて“子育てに優しいまちづくり”も進めています。とくに、まだ小さい就学前の子どもを抱えているご家庭にとっては、保育園や幼稚園の充実は欠かせません。そのため、園の定員を増加したほか、企業主導型保育所の設置も進めています。また、小さな町ではありますが、町内の公園の数・総面積は近隣の自治体のなかでも多く、そうした憩いの場が多くあることも、育児・教育するうえで良い環境が整えられているのではないでしょうか。
そして、町のシンボルとして外せないのが、旧志免鉱業所の「竪坑櫓(たてこうやぐら)」。これは国の重要文化財でもある貴重な近代建造物であり、かつて炭鉱があった志免町の歴史を象徴するものです。この竪坑櫓の観光面での利活用にも、今後は力を入れていきたいですね。
このように志免町は、福岡市に隣接していることでベッドタウンとしての開発が進んできたという経緯もあり、都会的な雰囲気と少し田舎的な雰囲気とが、ほど良く混在している住みやすさこそが、一番の魅力だと感じています。
インフラなどの整備でさらに住みやすい町に
――町内を見ると、町を貫く県道68号線沿いの開発がとくに進んでいる印象です。
世利町長 志免町にはかつて国鉄・勝田線が走っていましたが、これが1985年に廃線になりました。そのため、役場などの町の中心部を通り、バス通りでもある県道68号線を中心としてとくに開発が進められていきました。しかしその一方で、慢性的な渋滞の発生という問題も抱えています。この解消のために現在、都市計画道路「志免宇美線」の整備を進めているところです。この道路は宇美町域で先行して整備が進んでおり、次は志免町域での整備を進め、将来的には福岡東環状線へと接続される予定です。
――JR長者原駅から福岡空港までを地下鉄でつなぐという構想もありますが、実現した場合、志免町内にも駅ができる可能性もあると思います。
世利町長 町内を鉄道路線が通ることによって、道路の渋滞緩和につながると思っており、私どもとしても本当に期待しております。もう1つ、福岡都市高速道路の月隈ICあたりから、九州自動車道の福岡ICまでをつなごうという構想があるそうですが、これも実現した場合、役場近くに都市高のICができるかもしれません。この実現に向けた動きも、ぜひ盛り上げていきたいですね。
――最後に、志免町の将来についての“夢”を語ってください。
世利町長 志免町の人口は現在約4万6,000人で、将来的に4万7,000~8,000人規模までは増えることが予測されていますが、町内の開発余地や土地の形態などを考えると、たとえば新たな大規模住宅地などの開発は難しく、単独市制昇格条件である人口5万人の達成は、非常に難しいのではないかと思います。
現在、「誰もが輝く住みよいまち」を基本コンセプトに、住民の皆さまが安心していきいきと暮らせるまちづくりを進めており、無理に背伸びして市制を目指すのではなく、住みやすさの追求による自然の成り行きのなかでの、町の成長を目指していきます。
福岡都市圏のなかで、福岡市にはない志免町としての魅力をどのように打ち出し、それをどう発信していくか――。都市圏のなかで存在感を発揮しながら、町制100周年に向けて住みやすさの追求を加速させ、町民1人ひとりがさらに輝く志免町になっていきたいですね。
【坂田 憲治】
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