わらび座ミュージカル「ジパング青春記」特設ページ
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2019年05月28日 17:00

九州企業の衰退・勃興 平成を振り返る(5)

500億円を手に入れた方のお別れ会に370名参集、多いか少ないか

 結論!少ない。長谷川氏は福岡、日本から去って15年になる。「忘れられて当然」と知ったかぶりをする愚か者もいるが、天下の長谷川常雄氏の功労が忘れられるわけがない。故人の身勝手な行為に憤る関係者が、無理やり忘却の彼方に追いやったにすぎない。

 中小企業同友会の経営者Aは「縁が無かった。お別れ会にいく義理をまったく感じなかったのが本音」といらだちをあらわにした。彼がこれほどまでに感情をあらわにしたのを見るのは初めてだ。彼が15年前、故人・長谷川氏に私淑していたのはまぎれもない事実である。

 これまた尊敬していたBが喝破する。「死んでしまえば終わり。俺は会社を売却した。長谷川氏の1/100の5億円を手にし、家内に心配させない程度の金を渡した。残りは100歳まで現役で活躍して社会に貢献する」と決意を語る。自信に燃える経営者たちは故人を過去の人間かのように扱っている。


受けた恩義は返す

 今回、福岡のお別れ会の事務方を取り仕切ったCは胸の内を明かす。「確かに故人に反発する方々のお気持ちもわかる。経営計画セミナーでお世話になり、先生のように崇めていた経営者も姿を現さなかった。身勝手な人だと反発していたのはわかっていた」。

 幾度となく繰り返すが、現在の福岡中小企業同友会のレベルアップに貢献したのは長谷川氏である。20年以上、事業経営セミナーを継続してきて、会員たちは自社の経営水準アップのための薫陶を受けた。その恩は忘れていない。

 Cは長谷川氏と濃密な関係にあった。(1)事業経営セミナーを通じて全国のすばらしい経営者、コンサルタントの方々との縁をいただくという恩義を受けたこと、(2)恩返しとして故人の身内の企業の赤字をなくして廃業するまで引き受けたこと、(3)Cが大病を患った時、その莫大な費用をこの身内が肩代わりしてくれたこと、などCと長谷川一族との関係は深かった。

 だから、今回のお別れ会の事務方の世話役を打診された時は、快諾したという。弔辞代表を打診し、それを快く引き受けてくれたある会長には感謝しているそうだ。筆者も「あの会長ならば適任だ。お別れ会の格が上がる」と納得した。

複雑な家庭環境

 筆者の次の見立てにはCも同意した。「相続対策だけしか眼中になく、ロンドンに逃避行することばかり考えずに、中小企業同友会の経営研究資金として10億円寄贈する余裕があれば誰もが拍手喝采したものを!」これにはCも同感し、「寄贈していたら700人以上の方々が参列していただろう」と語る。

 他人のことをいろいろ詮索するのは簡単である。故人には故人の背負った環境、背景がある。故人の実家は京都有数の観光旅館を営んでいて、表面的には京都のぼんぼんとして育ったように見える。同志社大学を卒業して大企業にも就職できた。ところが、長谷川氏は子どものころ、苦しい育ちを強いられてきたらしい。それが故人の「銭ゲバ」哲学を育んだという証言を耳にしたことがある。

 15年前、一族郎党、税金対策のためにロンドンへ逃避行したが、初心貫徹すれば良いものを中途半端に5年前から東京での生活が主体となる。長谷川氏は、この3年間は病気との戦い。冒頭のBの言葉になる。「死んでしまえはお終いよ。500億円握れば150歳まで生きないと意味がない」。

 サラリーマンからサラ金事業へと転身したDは事業一筋の男であった。出身大学でもない大学に100億円寄贈し、その資金で研究会館が建った。Dの名前は一生残る。このくらいの余裕をもって人生を全うできなかったものか!

救いは2代目の健闘

 親父が実子の能力を評価しないため息子が反発する。息子は親父の威厳が外れたところで事業を興すが必ず失敗する。というのが世間でよくあるパターン。故人の周りにも似た事例がある。やはり事業を興す親父のパワーに息子が勝てるわけがない。ただ、卓越した親父にバカな子どもができるわけがない。活躍の場を与えさえすれば必ず活躍する。その場がないから実力を発揮できないだけだ。事業継続発展の領域では、2代目が意外な潜在能力を発揮することがある。故人常雄氏の場合も同じ。

 長谷川氏が逝去したからといっても莫大な資金が残る。この資金を投資ファンドとして運用しているそうだ。この事業責任者が故人の息子。若い時代には親父に反発して無茶をした。周囲は「世間知らずのぼんぼん」と軽んじていた。Cは感服する。「ファンド運用に関しては故人の能力をはるかに上回っている。無を有にするというような起業領域では親父に劣るのは当然。しかし、手持資金を活用したビジネスに関しては非凡な能力を発揮している」。ハゲタカファンドならぬ、「ハセガワファンド」の名をぜひとも世界に轟かせていただきたいものだ。

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