2024年04月25日( 木 )

JR九州の株主総会(6月21日)まであと10日(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 【表1】を見ていただきたい。JR九州の株主総会が今日を含めてあと10日。6月21日(金)午前10時から、ホテル日航福岡本館3階の都久志の間で開催される。

※クリックで拡大

~この表から見えるもの~

 JR九州の株価に不満を募らせる大株主である米投資ファンドとの対立が深まっている。株価引き上げ効果のある自社株買いなどを含めて6議案を株主提案したのは、JR九州の株を6.1%保有する大株主の米投資ファンド「ファーツリー・パートナーズ」。JR九州の2018年の有価証券報告書によると、株式保有の上位には外資系機関投資家がずらりと並び、外国人投資家の割合は約4割に上っている。中長期で安定的な業績向上を目指すJR九州に対し、ファンド側に賛同する外国人投資家の動きも表面化してきており、予断を許さない株主総会となりそうだ。

<米投資ファンドがJR九州を標的にした原因を検証する>

 中曽根内閣の行政改革により、1987年4月1日、多大の債務を抱える国鉄(日本国有鉄道)が7社に分割民営化されて32年が経過している。正式名称は東日本旅客鉄道(株)、九州旅客鉄道(株)などであるが、以下JR東日本、JR九州などと表記する。

 【表2】を見ていただきたい。国鉄から分轄民営化された旅客鉄道会社6社の当期純利益順位表である。うちJR東日本・JR東海・JR西日本・JR九州の4社が上場している。

※クリックで拡大

~この表から見えるもの~

 当期純利益1位は東海道新幹線と在来線を運営するJR東海で、前期比+432億円の4,387億円(10.9%増)となっている
・2位は東北新幹線と首都圏を中心に在来線を運営するJR東日本で、前期比+63億円の2,952億円(2.2%増)。
・3位は山陽新幹線と在来線を運営するJR西日本で、前期比▲77億円の1,027億円(▲7.0%)。
・4位は九州新幹線と九州7県の在来線を運営するJR九州で、前期比▲12億円の492億円(▲2.4%)と減少している。
・5位のJR四国の当期純利益は前期比+5億円の8億円(166.7%増の黒字となっているものの、収益力は弱い。
・6位のJR北海道の当期純利益は▲179億円。前期は▲87億円だったが、倍以上の赤字となっている。

 20年3月期では17億円の黒字を予想しているが、人口の減少にともなう赤字路線の増加や路線廃止問題などもあり、いずれJR東日本が救済合併することになりそうだ。

<まとめ>

 JR九州の当期純利益は492億円。1,000億円を超える上位3社は本州を営業地盤としており、九州を営業地盤とするJR九州や、JR四国、JR北海道との収益格差が大きいのがわかる。

※クリックで拡大

 【表3】上場JR4社の株価から見えるように、米投資ファンドのファーツリーが、自社株買いなどの議案を提出する裏には、「JR九州の業績はいずれ厳しくなる。そうであれば、今のうちらに利益を取り込んでおこう」との意図が見え隠れする。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問浜崎裕治】

(後)

関連記事