2024年04月25日( 木 )

波乱を乗り越えて3期目へ 小川県政「令和時代の福岡」を語る(2)

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福岡県知事 小川 洋 氏

福岡県諸産業の今後について

 ――ありがとうございました。次は、産業の面でお聞きします。先端成長産業、とくに自動車産業については、集積がかなり進んでいますね。

 小川 自動車産業は、本県の基幹産業です。ダイハツ九州(株)大分(中津)工場を含めた北部九州の自動車生産能力は年間159万台を有し、これはイギリス一国並みの規模。また、私が知事に就任して以降、関連企業は100社以上増加し、現在560社。部品の地元調達率も新型車を中心に65%に上昇しました。そして、昨年度の自動車生産台数は過去最高の143万6,000台となりました。

 さらに、生産だけでなく、トヨタ自動車九州(株)、ダイハツ九州(株)、両グループ、それぞれが開発・設計拠点を開設しています。昨年12月、トヨタ自動車九州「テクニカルセンター」が初めて新型車開発に携わった「レクサスUX」の生産が始まりました。このように、今や、開発・設計から生産まで一貫して行うアジアの一大生産拠点に成長しております。引き続き、「生産能力180万台」「地元調達率70%」「国内シェア20%」の達成に向けた取り組みを進めていきます。

昨年12月に開催されたトヨタ自動車九州(株)の新型車ラインオフ式(完成式典)

 ――さまざまな分野で、県や国内の産業界を引っ張っていくような元気な企業の進出や起業が続くと良いですね。IT分野、AI分野、ロボット産業の発展はマーケットが国内にとどまらないという意味で、さらなる発展が見込まれます。福岡県内から次世代技術の世界で活躍する企業が生まれる可能性はあるのでしょうか。

 小川 その可能性は大いにあると思っています。本県の経済が活力にあふれ、ますます発展していくためには、技術やアイデアによって、イノベーションが起こり、国内のみならず、アジアをはじめ、海外の活力もうまく取り込みながら活躍をしていく中小・ベンチャー企業の存在は欠かすことができません。そのため、新しい時代を担うベンチャー企業の育成、支援を行うことを目的とした福岡県ベンチャービジネス支援協議会による、ビジネスプラン発表会・商談会を通じたビジネスマッチング(フクオカベンチャーマーケット(FVM))や海外展開支援など、中小・ベンチャー企業の育成支援をこれまで地道に行ってきています。これから世界に羽ばたく中小・ベンチャー企業も出始めており、ここ福岡県から1社でも多く生まれることを大いに期待しています。

 ――農林水産業分野においては、国内外の需要の変化、経済のグローバル化、担い手の確保などさまざまな課題があると思いますが、福岡県ではどのような取り組みを行っていますか。

 小川 日本など11カ国が参加する「環太平洋パートナーシップ協定(TPP11)」や「日EU経済連携協定(EPA)」が発効し、経済のグローバル化が大きく進展しています。本県ではこうした動きを注視しながら、大事な農林水産業をしっかり守っていくと同時に「攻め」の産業とするため、「ブランド化」「輸出促進」「担い手の確保」に取り組んできました。

全国的に知られる福岡県産品、はかた地どり、八女茶、あまおう、福岡有明のり

 本県には、昨年14年連続で販売単価日本一のイチゴ「あまおう」、全国茶品評会「玉露の部」で農林水産大臣賞5年連続、産地賞18年連続受賞の「八女茶」、出荷数九州ナンバー1地どりの「はかた地どり」、香り豊かで口溶けのよい「福岡有明のり」をはじめ、高い評価を受けているブランド品目が数多くあります。また、種がほとんどない世界初の甘柿「秋王」、多収量で食味の良い外食・中食向けお米の新品種「実りつくし」など、さらなる認知度の向上を図っています。

 輸出に関しては、昨年、ベトナムに梨、米国に柿、今年1月には、タイにミカンを、それぞれ初めて輸出し、本格的な販売が始まっており、今年も積極的に行っていきたいと考えています。さらに「担い手の確保」については、農林水産業への新規就業者数が、このところ400人台で推移してきましたが、17年度は500人に到達しました。

 今後も、「ブランド化」「輸出促進」「担い手の確保」に取り組み、「稼げる、魅力ある産業」にしていきます。そして、先程も申し上げましたが、AI、IoTなど、最新技術を導入し、本県自慢の農林水産物の生産の安定性、効率性を両立させる「スマート農林水産業」への転換を推進します。

 ――元気な企業や産業が県全体を引っ張っていく一方で、障がい者や高齢者など、福祉分野の充実も当然忘れてはならない課題だと思います。

 小川 そうです。知事就任以来、さまざまな課題や問題を抱えておられます県民の皆さまに寄り添い、向き合う、温かみのある行政を心がけてきました。これからも、高齢者がさまざまな現場で生き生きと活躍できる「70歳現役社会」を拡大するとともに、「地域包括ケアシステム」「高齢者の見守り」を拡大、強化していきます。また、障がいのある方を地域全体で支え、自立と社会進出を支援していきたいと考えています。

(つづく)

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