2024年04月26日( 金 )

『オンリーワンのまち』を目指し~糸島のため、これまでも、これからも(後)

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糸島市長 月形 祐二 氏

ブランド糸島、次なる一手

 ――積極的な情報発信が功を奏し、糸島産の農林水産物を始めとする「ブランド糸島」は着実に成果を上げています。

二見ヶ浦・美しい景観も糸島の観光資源

 月形 おかげさまで、全国的に「糸島の幸」は評価をいただけるようになりました。1期目では関東――とりわけ東京を視野に入れた広報活動を展開し、高島屋を始めとした名だたる百貨店で、糸島の農林水産物を取り扱っていただくことができました。2期目では、国内は関西、国外では上海を含めたアジア市場をターゲットに広報活動に力を入れていきたいと考えています。

 国内で存在感を高めるためには、関東圏に加え、関西圏での認知度向上は必要不可欠です。関西の方々に糸島の良さを知ってもらったうえで、関東以北へ活動範囲を広げていく。そして、最終的には全国の皆さまに糸島のことを知っていただければと思います。

 国外への展開は、“距離”で考えた場合、決して不思議なことではありません。糸島-東京間と糸島-上海間の距離は、どちらも約1,000kmとほぼ変わりません。また、糸島に拠点を置く企業の商品が、すでにアジア市場で販売されています。国内外に対して、同時進行で糸島をアピールしていく。これが「ブランド糸島」のさらなる飛躍に向けた、次の取り組みになります。

 ――糸島の交流人口を増やすための、「観光」面での取り組みはいかがですか。

 月形 糸島は伊都国(いとこく)のころから数えれば、まさに悠久の歴史を誇ります。国宝の「内行花文鏡」が出土した平原(ひらばる)遺跡を含め、7つの国指定史跡が存在しておりますので、周辺エリアを含め散策しやすいような整備を行うとともに、国内外からの観光客の興味・関心をしっかりと得られるように、情報発信も併せて行っていきたいと考えています。

 ――観光情報の提供を含めた情報環境整備という点では、今後、「LoRaWAN(ローラワン)」の活用も計画されています。

 月形 現在、関係企業や市の担当課が連携して取り組んでいる最中です。IoTの活用による無線通信技術を用いたネットワークサービスですが、実現すれば、ゲリラ豪雨などによる急激な河川の水位上昇や、バスの発着、高齢者や小さなお子さんの位置情報の把握など、スムーズな情報発信・共有が可能となります。

深化する九大との関係

 ――九大の移転により、糸島には学術研究都市としての優位性が加わりました。

 月形 六本松・箱崎両キャンパスから伊都キャンパスへの移転・統合が、いよいよ今年10月に完了します。これに合わせて、市では「国際村構想」と「サイエンスパーク構想」を進めています。

 移転・統合完了後、約2,000名の外国人留学生が糸島市、ならびに福岡市西区エリアで生活することになります。「国際村構想」とは、こうした留学生や研究者など海外の皆さまを温かく地域に迎え入れて国際化を図るために、泊カツラギ地区に留学生向けの共同住宅や交流施設などを整備しようというものです。共同住宅は500室超の整備を計画しており、その周辺に日常生活を支える商業施設や新たなビジネスが生まれることを期待しています。留学生などに住まいを提供し、地域との交流を促すことで、市民の国際感覚を身に付けることにもつながります。

 もう1つの「サイエンスパーク構想」は、九大の優れた知的資源や研究成果を、産業の発展へと速やかにつなげるため、伊都キャンパス近隣エリアに企業やベンチャーなどを集積させようという試みです。海外では、シリコンバレーにあるスタンフォード大学リサーチパークなどが有名で、大学の周りで最先端の技術研究を発展させ、大学の研究を加速させるとともに、地域や社会に新たな雇用やビジネスを生み出しています。

 いずれの構想も、その根幹にあるのは糸島で生まれ育った子どもたちに、将来グローバルに活躍できる人材になってほしいという思いと、糸島を出ていかずとも活躍できる場を残してあげたいという思いです。

変わらぬ思い これからも糸島とともに

 ――最後に、市長が思い描かれる糸島の未来図についてお聞かせください。

 月形 私の糸島のまちづくりに対する思いは、市長に初当選したときから変わりません。「元気な“いとしま”を、豊かさ実感の“いとしま”へ」――この実現に向けて、これまでも、これからも、糸島のために市職員とともに邁進してまいります。そして、「糸島で働き、暮らしている」と、市民の皆さまが自慢できるようなまちへと、糸島を発展させていきます。

(了)
【代 源太朗】

<プロフィール>
月形 祐二(つきがた・ゆうじ)
1958年6月生まれ。糸島郡志摩町桜井(現・糸島市志摩桜井)出身。西南学院高等学校、西南学院大学法学部を卒業後、(株)モリタに入社。その後、86年から2002年11月まで衆議院議員太田誠一氏の秘書を務め、03年4月の福岡県議会議員選挙で初当選し、福岡県議会議員を3期10年務めた。14年2月に糸島市長に初当選し、18年1月に再選をはたした。

 
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