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2019年07月03日 14:50

シリーズ・消えた「流通企業」 九州から消えた流通企業~ユニード、壽屋、ニコニコ堂

 まず、第一に挙げなくてはいけないのはユニード。この企業を避けることはできない。一時期、「九州の雄」と持て囃されたユニードは、華麗なる転身を遂げながら上場会社にまで成長した。もともとは呉服店で、1953年に百貨店を開店させると同時に、スーパーマーケットの丸栄を設立している。

 その背景には、百貨店での労働争議があったと聞いているが、その百貨店が1965年に火災にあうと、さっさと百貨店事業をあきらめ、社名をユニードとし、スーパーマーケット事業に鞍替えした。これがヒットして広島、大阪にまで店舗網を拡大し上場をはたした。しかし、この拡大路線が裏目に出て赤字となり、1973年にダイエーの中内氏と密かに会い、支援を仰ぐ。というのが表向きだ。

 だが、ダイエーは早くからユニードを狙っていたと考えられないか。当時のダイエーはナショナルチェーン展開に躍起だった。1968年にダイエーは本拠地の大阪から地域拡大戦略として最初に九州・小倉に出店する。そして1971年には巨艦「福岡ダイエーショッパーズプラザ」をオープンさせている。中内氏は関東進出と同じくらい九州に注力していた。関東ではサンコーを買収し、首都圏ネックレスチェーンと銘打って多店舗化した。その意味でユニードは喉から手が出るほど魅力的な小売業であった。ダイエーはユニードを支援から、提携、そして吸収合併とシナリオどおりに呑み込んだ。

 ユニードのダイエーグループ入りは、最大のライバル企業、壽屋・寿崎肇社長を奮い立たせた。大分・佐伯市出身の寿崎氏は、九州福岡でなく、熊本に本部を置き、激しくユニードとつば競り合いを展開していた。このライバルがダイエー入りしたことで出店攻勢に走る。最大150店舗、約4,000億円を売り上げるまでになり、九州No.1となった。

 その全盛期の寿屋を象徴するのが「エレデ博多」である。もともと、大丸の店舗であった同店を1982年に「エレデ博多」として再オープンさせた。ほかにも、中堅地元スーパーマーケットを合併吸収するなどの拡大政策が続いた。この時、バブルが崩壊し過大投資が表面化、銀行からトップを送りこんだり、地元の有力スーパー、サンリブの支援を仰ぐがいずれも失敗、2001年に民事再生法を申請した。現在、旧寿屋の店は、SMはマックスバリュ九州、大型店はイオン九州にそれぞれ譲渡し名を変え営業している。

 もう1つ忘れてならないのが同じ熊本に本部を置いたニコニコ堂である。オーナーは中国から帰化した林家。戦後まもなく日本にきた林氏は大変な苦労をして事業を立ち上げた。最初は、衣料品の卸売から始まり、食品スーパーも手がけた。また、遊戯店にも経営の輪を広げて、着実に地盤を築いていった。主力事業としてマーケット経営が軌道に乗ると1994年には株式公開まではたす。話は少し脱線するが、ニコニコ堂を全国区の知名度にのし上げたのはマラソンの松野明美氏。同社の陸上部でソウルオリンピック候補にもなり、全力でゴールした後に倒れ込む、そのけなげな走行ぶりが大人気となった。

 こうしてニコニコ堂は押しも押されぬ九州の小売業となり、林瑞栄社長は、故郷に錦を飾るため中国事業に手を伸ばす。桂林や上海にホテル、百貨店などを幅広く手掛けて、一時は1,000億円の超える売上高を示したが、バブルが弾け、あっという間に債務が焦げ付き2002年に民事再生法を申請した。現在、ニコニコ堂の店舗の多くはイズミが受け継いでいる。

【高谷 智】

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