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2015年05月12日 07:04

助っ人ソフトバンク!!ヤマダと旧村上ファンド、エフィッシモの攻防戦一部始終(後)

 

 ソフトバンク・孫正義氏の『100億円への野望・まずは20億円の詰将棋』を先達てこのNETIB誌上で報告した。いよいよ20億円の詰将棋の要になるヤマダ電機を傘下にする大戦略が、具体的に展開する段階に突入するようになった。

ヤマダが反撃に転じた防衛策

yamadadenki エフィッシモからの揺さぶりに危機感を持ったのが、ヤマダの創業者である山田昇社長である。反撃に転じる。山田社長個人がヤマダ株を買い増して、2月24日時点で資産管理会社と合わせて発行済み株式の9.04%を保有していることが、大量保有の変更報告書で明らかになった。2014年9月末時点の持ち株比率は6.28%で、5カ月で3%弱買い増した計算になる。

 山田社長の買い増しが伝えられると、ヤマダ電機の株価は大幅に反発。2月26日には、前日比34円高の530円まで買われた。エフィッシモとの間で株式争奪戦に発展するのでは、といった思惑から買われた。

 3月17日、ヤマダは株主優待制度の拡充を発表した。これまでの株主優待券は2,160円(税込)以上の買い上げ1回につき1枚利用可能な優待券だった。変更策は、所有株数に応じた株主優待額が増加しているほか、保有期間に応じた株主優待制度も導入している。
 金額は100株以上が1枚(540円相当)、500株以上は2枚(1,080円相当)、1,000株以上は4枚(2,160円相当)、10,000株以上は8枚(4,320円相当)。保有期間は1年未満、1年以上継続保有、2年以上継続保有とした。
 仮に、100株を2年以上保有した場合は、株主優待券は年間5,500円となり、540円から10倍以上に跳ね上がる。大盤振る舞いの株主優遇策だ。
 言うまでもなく、個人株主を会社側につなぎとめるための防衛策だ。効果は抜群。株主優待制度を発表した翌3月18日、ヤマダの株価は高騰、年初来高値の532円を付けた。売買高は前日比4倍に膨らんだ。個人の買いが集まったからだ。

安定株主工作で持ち株比率はエフィッシモを上回る

 山田社長は安定株主工作を強化した。大量保有報告書の変更報告書によると、3月13日に、みずほ銀行他3社が7.62%を保有。3月31日には、野村證券他3社が7.70%を保有したことが明らかになった。みずほ銀行はヤマダのメインバンクで、野村證券は主幹事証券だ。銀行と証券が安定株主として、ヤマダの両脇を固めた。

 そして、エフィッシモに対する防衛策の総仕上げが、ソフトバンクとの資本提携だ。ヤマダは4,832万株の自己株式を1株471円で割り当てる。総額227億円。ソフトバンクは、ヤマダの発行済み株式の5.0%(議決権比率は6.41%)を保有する第4位の株主になる。
 山田氏と資産管理会社、ソフトバンク、みずほ銀行、野村證券を合わせた持ち株比率は29.36%。エフィッシモの議決権比率16.63%を大きく上回る。
 ソフトバンクとの提携を好感して、5月8日のヤマダの株価は大幅高。515円まで買われた。売買高は前日の8倍に達した。
 「純投資」であるなら、この株価高騰時が高値で売り抜ける絶好のチャンス。エフィッシモがヤマダ株を売却したかどうかは、今のところ不明だ。いずれにせよ、ヤマダとエフィッシモの攻防戦は、ソフトバンクの参戦で勝負がついた。

目玉商品は、ソフトバンクの人型ロボット「ペッパー」

 山田社長と孫社長が通信革命の盟友関係にあったとはいえ、それだけで手を組んだわけではないだろう。両氏とも冷徹な事業家だ。しっかりソロバンを弾いている。

 ヤマダの15年3月期の連結決算は、売上高が前年同期比12%減の1兆6,643億円、純利益は50%減の93億円だった。消費増税による消費意欲の低迷を背景に、パソコンや冷蔵庫などの販売が落ち込んだとしている。だが、それ以上に、アマゾンや楽天のネット通販に食われたことが大きかった。

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 15年3月期は、消費増税前の駆け込み需要の反動で全店の売上は前年比43.4%減と激減しているが、他の月でも既存店の2ケタのマイナスが続いた。店の売る力が衰えた。売る力を取り戻すためには、消費者を引き付ける商材が必要だ。
 その目玉となるのが、ソフトバンクの人型ロボット「ペッパー」だ。ペッパーは、内臓センサーを使って人の表情や声色などから感情を推測するロボット。本体価格19万8,000円とは別に、毎月の運用費が2万6,000円かかる。昨年9月、法人向けに200台を先行販売したが、企業の要望が予想より多く、生産が間に合わない。そのため、一般販売は夏頃からから始まる予定だ。
 ヤマダにとって人型ロボット「ペッパー」は、他社にない集客力の目玉となる商材だ。ソフトバンクも、全国1,000店の直営店網は魅力だ。

 ヤマダはエフィッシモの攻勢を水際で食い止めた。次は、再生に向けてのステージに移る。

(了)

▼関連リンク
・ソフトバンク、7月より社名変更

 

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