2024年03月29日( 金 )

【パチンカー代の『釘読み』】私たちはなぜパチンコを辞められないのか(後)

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 前稿では勝ちの経験=成功体験が尾を引きパチンコを止められない可能性について言及した。パチンコホール通いを減らせない・やめられない理由としてほかに何が考えられるのだろうか。

A:遊技ファン歴10年 B:遊技ファン歴20年

その2:ほかに趣味がない

ケツが決まっている時に限って事故る(=しばらく当たりが終わらなくなる)不思議

 「時間があるから打つという感覚が身に染み付いてしまってるんですよね。要は、ほかに時間やお金をかけようと思えるような趣味が見つけられてないんですよ。パチンコホールに行って、うまい具合に当たりを引き続ければ4~5時間はすぐに経ちます。いい暇潰しになりますし、使ったお金は景品として戻って来るかもしれません。運が良ければ、使った金額以上の景品を手にすることもできます。
 女性とデートしたり映画を観たりというのも良いのですが、即日何か実感できるリターンがあるわけではない。同じお金を消費するなら、少しでも見返りを期待できるパチンコのほうが良い、と考えてしまうんです。こんな感じで即物的にしか物事を考えられないから、ダメなんでしょうけどね(笑)」(B)。

 「友人との待ち合わせの合間に打つなんてことは結構ありますよ。夜飲みに行く約束をしていたとして、友人から『あと10分ぐらいで着く』と連絡があったとする。待ち合わせ場所の近くにパチンコホールがあったら店内に入って、ジャグラーに座るんです。頭のなかにあるのは『ビッグボーナス引ければ飲み代の足しになる』という卑しい考えですよ(笑)。Bさんが言ったように、時間があったら打つという感覚が、体に染み付いてるんでしょうね」(A)。

 AとBに共通する「時間があったら打つ」というパチンコホールに足を運ぶ動機付けは、趣味をもっている人であれば共感しやすいのではないか。映画好きであれば「週末あの映画を観に行こう」、旅行好きであれば「時間ができたからあそこに行ってみよう」となるはずだ。

 ただ、パチンコとそのほかの趣味の間には「世間体」に関して大きな差がある。前者を含む風俗営業に対する世間の目は厳しいのが実情だ。

やめられる環境が整った

景品交換、今となっては懐かしい響き…

 「私は今仕事が楽しくなってきたので、自然と仕事に時間やお金を費やすようになりました。規制強化の影響もあり、今後パチンコホールに行く回数はもっと減るでしょうし、最終的にはやめることも出来そうな気がします」(B)。

 「最近はYouTubeでパチンコ・スロットの実践動画を見る機会が増えましたね。プロの方から素人の方まで、多彩な趣向の動画があり飽きません。あと、そうした動画を見ている内に、自然と満足しちゃってて、『別に(パチンコホールに)打ちに行かなくてもいいかな』と思うことが増えました。実際行く回数は減っています。動画を通じて、規制強化でどれだけ打ち手が勝ち難くなったのかをまざまざと見せつけられる機会も増えましたし、私も今以上に行く回数が減って、最終的にはやめられると思っています」(A)。

 遊技ファンのAとBが止められない理由として挙げた「過去の成功体験が忘れられない」ということ。それに起因した、パチンコ・スロットが趣味になったので「時間があったら打ちに行く」という感覚。この2つの要因はしかし、「規制強化による過去の成功体験の粉砕」。「打ち手の生活環境の変化にともなう来店回数の減少」により、AとBのなかからは消えつつある。2人はパチンコをやめられそうだといっている。

 遊技人口の減少、パチンコホールの統廃合は今後さらに加速していくだろう。既存の遊技ファンがパチンコを止められる環境(=規制強化)が整っている。最後の一押しとなるのは各遊技ファンの内的要因(生活環境の変化など)だ。

遊技業界が生き残るには、参院選の結果も踏まえ、一層の団結が必要だ

【代 源太朗】

(前)

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