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2019年08月26日 10:45

【研究】『西日本新聞』九州地区ブロック紙の雄も事業リストラを余儀なくされる(前)

(株)西日本新聞社

 九州地区を代表する新聞社として君臨してきた(株)西日本新聞社だが、新聞業界の低迷とともに凋落の道をたどっている。かつては連結で700億円を超えていた売上高も、2019年3月期では500億円台にまで低下した。同社単体でも13期連続の減収であり、落ち込みに歯止めが掛からない状況だ。事業リストラを余儀なくされている同社の現状を、財務面を中心に検証してみよう。

新聞はオワコンか

 新聞業界を取り巻く環境は極めて厳しい。(一社)日本新聞協会の調査データによれば、2018年の新聞発行部数は3,990万部(朝夕刊セットを一部と計算)と、ついに4,000万部を割り込む結果となった。2000年の発行部数が5,370万部であり、18年で1,380万部が消失したことになる。率にして約26%減だ。発行部数の構成は、種類を一般紙とスポーツ紙、発行形態を朝夕のセット部数、朝刊単独部数、夕刊単独部数に分類されている。

 一般紙は4,740万部が3,682万部となり約22%減、スポーツ紙は630万部が307万部となり約51%減だ。形態別を見ると朝夕セットは1,818万部が902万部となり約50%減、朝刊単独は3,370万部が2,999万部となり約11%減、夕刊単独は181万部が88万部となり約51%減だ。つまりスポーツ紙よりも一般紙のほうが購読者にとって価値があるが、全体としては大きく減少しており、「もう新聞はいらない」もしくは「一般紙の朝刊のみで十分だ」というのが一般的な購読者の考えだったことになる。

 さらに新聞業界には3割にのぼるといわれる「押し紙」「残紙」問題もある。世代が若くなるほど購読者が少なくなり、しかも最もよく読むのが「ラテ欄」では、体感的には「若い層はもう新聞を読まない」となる。ネットメディアには「新聞はオワコン」と揶揄される始末だ。

 西日本新聞もご多分に漏れず、購読者の減少に悩まされることとなり、エリア縮小などのコスト圧縮策を採ってきた。09年に山口市、下関市、那覇市の支局を閉鎖、山口県、沖縄県での発行を打ち切った。10年から宮崎県、鹿児島県の地方版を統合して「南九州ワイド版」としていたが、18年3月末で両県における「西日本新聞」「西日本スポーツ」の発行を打ち切った。結果的に、かつては80万部と言われた発行部数も18年10月のABC調査では59万2,369部と60万部を割り込むまで減少している。

縮小著しいグループ

※クリックで拡大

 西日本新聞社は九州でも屈指の企業グループを形成している。【図】の事業系統図は19年3月末段階のもので、同社と子会社26社および関連会社4社の31社で構成されていた。されていたと過去形で書いたのは、広告代理店の西広は6月に博報堂の子会社になり、西日本新聞旅行は7月に日本旅行の傘下となった。また西日本リビング新聞社は会社清算が決定するなど、今年度に入ってから事業リストラの動きが加速しているからだ。実質的な現在のグループ企業は28社ということになる。

 ちなみに08年3月末段階では、同社と子会社33社および関連会社10社の44社で形成されていた。合併や清算などの事業リストラにより11年余りで16社少なくなったことになる。

※クリックで拡大

 さらに同社の苦境をわかりやすく表すのが、【別表】のセグメント別売上高、利益、従業員数などの数値である。事業系統図を見ればわかるように、同社グループは新聞関連事業の企業が圧倒的多数を占める。セグメント別従業員数を見ても新聞関連事業に従事する従業員が大半だ。セグメント別売上高でも新聞関連事業の売上高の割合が大きい。

 その一方で新聞関連事業の売上高は右肩下がりの状況である。同事業の営業利益は微々たるもので、利益の大半は不動産事業で生み出している。企業グループにはさまざまなかたちがあるが、同社は完全に新聞事業を中心にした企業グループだ。裏を返せば、本業が不振にもかかわらず、新規事業を創出できなかったということだ。圧倒的な中核事業が揺らぎ、さまざまな戦略を打ったものの、ダウンサイジングから抜け出せず、といった感じだ。

(つづく)
【緒方 克美】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:柴田 建哉
所在地:福岡市中央区天神1-4-1
設 立:1943年4月
資本金:3億6,000万円
売上高:(19/3連結)507億8,600万円

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