2024年04月25日( 木 )

知事選敗北・外交孤立無援安倍内閣終わりの始まり

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は野党勢力の政策純化を求めた8月26日付の記事を紹介する。


 8月25日に投票日を迎えた埼玉県知事選で元参議院議員の大野元裕氏が勝利した。知事選は与野党の事実上の一騎討ちの構図になり、参院選後初めての与野党全面対決選挙となって注目された。

 与党は元プロ野球選手の青島健太氏を擁立し、政権幹部が総力を挙げて支援したが敗北した。野党陣営では立憲民主党と国民民主党が院内会派を創設することに合意しており、与党対野党共闘の図式での選挙の結果がどうなるか、注目を集めていた。

 開票結果は以下の通り。

大野元裕 無所属・新 923,482
青島健太 無所属・新 866,021
浜田 聡 NHKから国民を守る党・新 64,182
武田信弘 無所属・新 40,631
櫻井志津江 無所属・新 34,768

 大野氏は旧民主党政権で防衛政務官を務めたのち、立憲民主党に所属する参議院議員だったが、2期目の途中で辞職して今回の知事選に立候補した。

 4期16年知事を務めた上田清司氏は、5選出馬をせずに大野氏の支援に回った。元民主党参議院議員の行田邦子氏も知事選出馬の意向を示していたが、最終的に出馬をしなかった。

 その上で、投票日直前に青島氏支持の意向を表明した。行田氏の行動は主権者の不信感を招くものだ。極めて複雑怪奇な現象が続いたが、結局のところ、野党共闘候補が勝利を収めた。

 与党では菅義偉官房長官が2度も応援に入った。事前のメディア情勢調査では青島氏が優位とされた。

 投票日が迫るに連れて接戦との報道が拡大したが、与党にとってはよもやの敗北になった。投票率は32.31%で、極めて低かった。それでも、4年前の前回選挙の投票率よりは5%ポイント上昇した。

 自公が国政で多数議席を確保している現実は低投票率に支えられたものだ。国政選挙では主権者選対の約25%が自公に投票している。

 4人に1人しか与党に投票していないのだが、全体の投票率が5割前後に低迷しており、非自公の候補者への投票が分散すると、当選者1名の選挙区で自公候補が勝利することが多い。

 このメカニズムによって、自公はわずか25%の得票で日本政治を支配するという歪んだ現実を形成している。

『25%の人が政治を私物化する国』(詩想社新書)

 詳しくは拙著
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をご高覧賜りたい。

 この基本構図を踏まえると、投票率3割の選挙で自公候補が敗北するのは、自公にとってはあってはならない事態だ。しかし、自公候補は確かに負けた。

 8月18日付本ブログ、メルマガ記事で埼玉県知事選の重要性を指摘した。自民党はいまだに参院選の総括すらできていない。

 参院選で自民党は改選議席を9つ減らした。安倍首相が至上命題としている憲法改定に必要な参院3分の2議席も割り込んだ。

 衆院任期が残り2年となり、安倍政治の基本進路が不明確になっている。「日米同盟」と叫ぶ安倍首相であるが、米国のトランプ大統領には完全に無視されている。

※続きは8月26日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「野党共闘根幹となる概念は「政策連合」」で。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』

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