2024年03月03日( 日 )

世界のエンターテインメントシティへ 歌舞伎町一丁目で大規模再開発

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 東京急行電鉄(株)(以下、東急電鉄)の再開発といえば渋谷というイメージが強いが、新宿・歌舞伎町でも再開発を進めている。新宿TOKYU MILANO跡地を再開発し、新たな都市観光拠点を整備する計画だ。成田空港や羽田空港とダイレクトにつながるバス乗降場も整備され、地元と連携して歌舞伎町の回遊性を一層高めていくことが期待されている。再開発を担当する東急電鉄の石垣洋介氏に、プロジェクトの概要と展望を聞いた。

大久保方面(北西側)からの眺望イメージ
大久保方面(北西側)からの眺望イメージ

 ――東急電鉄といえば渋谷のイメージですが、新宿歌舞伎町での再開発は意外でした。

 石垣 旧・新宿TOKYU MILANOビルの前身である新宿東急文化会館は、渋谷ヒカリエの前身の渋谷東急文化会館と同じ、1956年12月1日に開業しました。そのころから、多様な文化が根付き発信地となっていった新宿において、東急グループとしてもエンターテインメントの歴史を積み重ねてまいりました。新しい計画においては、こうしたまちの歴史的な背景を踏まえつつ、日本や世界を代表する繁華街・歌舞伎町の魅力を磨き上げ、それを世界に発信していくような計画となることを目指しています。

 現在進めている「(仮称)歌舞伎町一丁目開発計画」は、東京圏国家戦略特別区域における国家戦略都市計画建築物等整備事業として認定を受けたほか、5月31日付で国土交通省から民間都市再生事業の認定を受けました。東急電鉄が参画する「渋谷スクランブルスクエア」「渋谷ストリーム」「渋谷ヒカリエ」でも、この民間都市再生事業の認定を受けています。

 ――プロジェクトの概要をお聞かせください。

 石垣 新宿TOKYU MILANO跡地に、歌舞伎町エリアとしては最大規模の新たな都市観光拠点を整備するものです。新宿TOKYU MILANOを運営していた東急電鉄の子会社・東急レクリエーションと共同で、再開発を実施します。敷地面積は約4,603m2、延床面積は約8万8,000m2の地上48階・地下5階・塔屋1階、高さ約225mの計画です。竣工は2022年8月末を予定しています。

 高層部に宿泊施設、中層部に8スクリーンの映画館・約850席の劇場、低層部に店舗、地下には最大1,500人収容可能なライブホールを整備します。1階には羽田空港や成田空港と直結するバスの乗降場を設ける予定です。劇場やライブホールなどのエンターテインメント施設の企画・運営は、(株)ソニー・ミュージックエンタテインメント、(株)東急レクリエーション、東急電鉄の3社の合弁会社「TSTエンタテイメント」が手がけます。3社のそれぞれのノウハウを融合することで、歌舞伎町発の多様な文化の創出を目指します。

 東側には新宿区区道である「歌舞伎町シネシティ広場」があり、この広場の使用については、国家戦略特区の道路占用の特例の認定を受けています。新宿区のまちづくりの上位計画では、広場を囲む空間を「屋外劇場的都市空間」として位置付けています。本施設に設ける屋外ビジョン・屋外ステージなどとの一体利用を通して、歌舞伎町のまち全体のにぎわい創出に貢献していきたいと考えております。

 歌舞伎町は、世界有数の繁華街です。街の魅力をさらに磨き上げて「世界のエンターテインメントシティ 歌舞伎町」の魅力を発信する核となる施設を目指します。

 ――施設計画作成にあたって、どのような方針で進められましたか。

複合エンターテインメント施設イメージ
複合エンターテインメント施設イメージ
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 石垣 新宿は、映画や演劇などの大衆娯楽文化の拠点です。そのDNAを生かし、世界に発信していきたいと考えています。整備する劇場、ライブホール、映画館の複合エンターテインメント施設が、その核となるはずです。さらに、「都市観光インフラ」として、グローバルツーリストの多様な滞在ニーズに対応する受け皿として宿泊施設、周辺の交差点改良とバス乗降場整備により、成田空港、羽田空港と歌舞伎町がダイレクトにつながる空港連絡バスルートを整備します。

 歌舞伎町一丁目エリアは平日16時以降、土日12時以降は車両規制されています。商業施設が集積する歓楽街として、地元の方々の手で歩行者優先のまちづくりが進められてきました。再開発により、西側の西武新宿線駅前通りをリニューアルし、一体感のある歩きやすい通りを目指すほか、施設内にも東西貫通道路を整備し、通りとシネシティ広場、さらには歌舞伎町のまち全体の回遊性を高めていきたいと考えています。

 ほかには、環境負荷低減、防災性向上に寄与する施設計画と運営・管理体制の構築や、帰宅困難者支援機能にも取り組んでいきます。

 ――地元との連携について、お聞かせください。

 石垣 官民が連携し、まちの賑わいづくりに貢献する仕組みを地元の皆さまと検討しています。歌舞伎町のエリアマネジメントの歴史は深く、08年に設立されたエリアマネジメント組織「歌舞伎町タウン・マネージメント」や地元の方々が中心となり、セントラルロード、シネシティ広場、大久保公園などにおいて、さまざまなエリアマネジメント活動が行われてきました。

 我々の調査では、セントラルロードの歩行者交通量は平日5万人程度であるのに対し、シネシティ広場の歩行者交通量は1万人と少ないのが課題でした。そこで、賑わいをまち全体に波及させるために、シネシティ広場が核となり、「歌舞伎町タウン・マネージメント」や地元関係者、行政との連携を深め、回遊性を高めていきたいと考えています。

 ――ホテルの宿泊者は、どのような層をイメージしていますか。

 石垣 歌舞伎町やゴールデン街といった観光地が集積する新宿エリアのホテルは、外国人比率が高いのが特徴です。稼働率も高い。我々は、観光地の中心にしっかりとした宿泊施設、幅広いお客さまを受け入れられる客室、「まちの社交場」となるレストランや飲食空間を備えていきたいと考えております。

 歌舞伎町エリアは、劇場やライブハウスが集積し、多様な文化を育ててきた場所なので、音楽や祭りなどの地域文化の要素と連携して、東京・歌舞伎町を体験できるようなホテルをつくっていきたいと考えています。歌舞伎町の魅力をしっかりと磨き上げ、プロジェクトを通じてさらに世界に向けて発信していきたいですね。

地域連携音楽イベントイメージ
地域連携音楽イベントイメージ

【長井 雄一朗】

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