2024年04月25日( 木 )

自主性の組織で会員増加 年代の幅広さが強み(前)

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(一社)福岡中小企業経営者協会 会長 山口 秀範 氏

 現在、400人を超す会員数を誇る(一社)福岡中小企業経営者協会だが、現会長・山口秀範氏が就任した2011年当時、会員数は300人を割っていたという。活性化策として取ったのは、委員会の整理統合と例会の主催を各委員会に任せるなどして会員の自主性を育むことだった。同会の強みを「年代の幅広さ」とする山口会長に話を聞いた。

(聞き手:弊社取締役・緒方 克美)

山口 秀範 会長

<プロフィール>
山口 秀範(やまぐち・ひでのり)

 福岡中小企業経営者協会会長。1948年10月5日生まれ。福岡県立修猷館高校、早稲田大学政治学部を卒業。大成建設(株)を経て2005年に(株)寺子屋モデルを創立し、代表取締役に就任。11年から現任。

 

危機感もった会員数

 ――山口秀範会長は今期で5期目、9年目の会長職です。会長就任のきっかけはどのようなものだったのでしょうか。

 山口秀範中経協会長(以下、山口) 前任の小早川明德さんの推挙でした。中経協は設立してから今年で45年を迎えますが、小早川さんは14年会長を務められ、その以前にも長年、常務理事でしたから、30年以上、会とともに歩んできたという人でした。

 中経協の組織改革をするというお話をされまして、「面白いとは思いますが、会長は誰がなさるのですか」と質問しましたら、「会長はあんたが就くのだ」と言われて驚きました(笑)。

 「冗談じゃないよ」と思いましたが、この話をいただいたのが2011年3月14日、東日本大震災の3日後でした。日本中が大変ななかで、何事であれ断るわけにはいかないという気持ちが湧いて、お引き受けしました。

 まずは創立時の会員さん、チャーターメンバーの方々をまわり、ご挨拶しました。大先輩方は、「あんたのことはようしらんけど、頑張りんしゃい」と激励してくださいました。

 ――会長に就任されたころの中経協はどのような状況でしたか。

 山口 我々の会に限らず、会員からの会費で成り立っている経済団体は会員の減少が会の財政にも直結します。会員が財政基盤といっても過言ではない。会員数の漸減状況は非常に危ないと考えたわけです。

 会員の拡大にはどこの組織も苦労していますが、特効薬はなかなか見つかりません。私自身、強烈なリーダーシップがあるわけではないので、会員に「やりたいことを思い切って提案し、どんどん実現していきましょう」と勧めました。併せて、「仲間を増やしてから行動しましょう」と会員候補の紹介を継続的に意識してもらいました。5、6年かかりましたが、400人を超す会員を集めるに到りました。

 ――前会長との方針の違いが、むしろ奏功したということでしょうか。

 山口 現在は毎月の例会の開催も各委員会が輪番で主催しています。予算の範囲内なら、誰を連れてきてもいいし、どこで開催してもいいのです。経営者の集まりだから、他者から与えられたり、規制されるより、自主的に関わるほうが楽しいに決まっている。中経協を「経営者のクラブ活動」と評する方もおられます。

(つづく)
【文・構成:小栁 耕】

(後)

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