2024年03月29日( 金 )

IoT推進で工場内業務の省力化と効率化を実現 Braveridgeの「スマートファクトリー」

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(株)Braveridge

(株)Braveridge(ブレイブリッジ)の糸島工場

自社製品の活用を促進

 「弊社の強みであるBLE(Bluetooth Low Energy※)製品を、自社工場で活用できていない」――。(株)Braveridge(ブレイブリッジ)の糸島工場・工場長の有吉光男氏のこの気付きが、スマートファクトリー誕生のきっかけとなった。

 低消費電力での無線通信を可能とするBLE製品を使って、工場内業務の省力化を図り、全体の作業効率向上につなげる。このミッション達成に向けて、社内の旗振り役として貢献しているのが、2019年4月に立ち上げられた「糸島工場IoT推進委員会」だ。同委員会には代表取締役の吉田剛氏も名を連ねており、ミッション達成への意欲の高さがうかがえる。「実地で製品の性能チェックが行えますし、一目で仕様がわかりますので、効果的に製品をPRすることができます」(吉田代表)。

 同社の糸島工場では約70名の従業員が働いており、情報共有の在り方も課題の1つ。IoT導入による工場内業務の省力化および作業効率の向上は、結果として従業員間におけるコミュニケーションの最適化にも寄与するため、早急な実現が望まれた。

 目に見えるかたちで一定の成果を上げる必要があるなかで、最大限に力を発揮したのが、同社研究開発部所属の難波健雄氏だった。

※BLE…近距離無線通信技術Bluetoothの拡張仕様の1つで、極低電力で通信が可能。

糸島工場工場長・有吉光男氏(左)と研究開発部ソフトウェア設計課・難波健雄氏(右)
糸島工場工場長・有吉光男氏(左)と研究開発部ソフトウェア設計課・難波健雄氏(右)

 「前職でのWebサービス開発のノウハウを生かしながら、これまでに経験したことのない他分野への挑戦ができるので、やりがいを感じています。Braveridgeの面白いところは、ハード・ソフト・アプリケーションの各エンジニアが同じ空間で仕事をしているので、開発途中の意見交換が容易にでき、それが製品に反映されるところです」(難波氏)。

 「最初に企画した製品の機能が拡張されていき、最終的には多種多様な機能をもった製品として完成することは珍しくありません」(有吉氏)。

 製品の設計・開発・製造まで、すべてを自社で完結できる同社の強みと、難波氏のWebサービス開発のスキルが合わさることで、同社の提供する製品は顧客からの要望を一層高い水準で満たすことが可能となった。1人の人材との出会いが、同社・糸島工場のスマートファクトリー化に加えて、提供する製品・サービスの可能性も広げている。

糸島工場の取り組み

 「糸島工場の取り組みに興味をもっていただけているようで、工場への視察が絶えません」(有吉氏)。

 スマートファクトリーとして、日々機能が追加されている糸島工場。19年7月現在、自社製品「TobasuTHI」を使った工場内の湿温度の可視化(1)や、Pochiruを使った社員呼び出し(2)、生産進捗が一目でわかる生産表示板システム(3)などを主に採用している。

「社員が自主的に行動を起こしたことが大事」と話す吉田代表
「社員が自主的に行動を起こしたことが大事」と話す吉田代表

 「広大な敷地で、生産能力も向上した糸島工場だからこそできたという側面もあります。しかし、糸島工場の本来のポテンシャルからすれば、まだ3分の1程度しか力を出せていないように感じていますので、工場内業務の省力化・効率化をさらに進めることで、モノをつくるということだけにとどまらず、将来的にはアプリまでを含めたサービスを提供していきたいと考えております」(有吉氏)。

 「工場で働く従業員たちへのヒアリングを通じて、棚卸し作業に割かれる時間のロスが大きいと感じましたので、IoT活用による棚卸し業務の簡素化を次の目標にしようかと考えています」(難波氏)。

 IoTの活用促進に、頭を抱える企業は少なくない。同社の糸島工場のスマートファクトリー化は、そうした企業にとって、身近な実用例である。IoT活用によって生み出された“時間”が、企業が本業に注力できる時間や創造的な仕事に取り組める時間につながる。Braveridgeの取り組みは、IoT社会の到来に直面する多くの企業にとっての試金石でもあるのだ。

 

【代 源太朗】

<Company Information>
代 表:吉田 剛
所在地:福岡市西区周船寺3-27-2
糸島工場:福岡県糸島市東1999-19
設 立:2004年7月
URL:https://ssl.braveridge.com

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