本流を担う西部ガス都市開発
西部ガスHDの不動産事業は、ガス・エネルギー事業以外の収益源をつくる狙いからM&Aなどで拡大してきた経緯がある。(6)で取り上げた(株)エス トラストはその思惑が大当たりした事例だが、ではそれ以外の企業はどうだろうか。プロパー企業とM&A企業の現状をそれぞれ1社ずつ確認する。
前者の代表的企業が西部ガス都市開発(株)。西部ガスが1971年にボウリング場の経営を行う(株)シティサービスとして設立した企業で、現在は不動産部門のほか「物流」、「商事」、「スポーツ・健康・店舗」の各部門において幅広い事業を展開している。
不動産部門は西部ガスHDの本拠地である「パピヨン24」(福岡市博多区)などのオフィスビル事業、賃貸物流倉庫事業、賃貸住宅事業、商業施設事業、さらには不動産の仲介や売買、パーキング事業などを展開している。
このうち、商業施設事業については、大和ハウス工業㈱との連携により、研究開発拠点と住居棟、商業施設が一体化した九大新町(福岡市西区)の「いとLab+(いとらぼプラス)」の開発・運営に参画していることが、近年の大きなトピックスの1つだ。
商事部門ではレンタカーサービス事業、スポーツ・健康・店舗部門では西日本最大級のスケートリンク「オーヴィジョンアイスアリーナ福岡」(博多区)の管理・運営事業も手がけている。
【表1】は直近5期の業績を表したものだが、売上高が2021年3月期の約75億円から25年3月期には約110億円に達するなど拡大基調にある。ただ、25年3月期に福岡県と長崎県で4店舗展開していた直営スポーツクラブ「ファンサンテ」事業から完全撤退している。これは、コロナ禍や新たな業態の店舗の登場など事業環境の変化に伴うものだ。

いずれにせよ、西部ガス都市開発は不動産事業の拡大で重要な位置づけを占めていることは間違いない。たとえば、西部ガスグループは九州大学箱崎キャンパス跡地再開発事業へ参画することとなっており、西部ガス都市開発は開発の一翼を担うことになりそうだ。
一時期の低迷から脱した西部ガス建設
西部ガス建設(株)は19年に西部ガスグループ入りした。前身は1950年創業で、マンション(分譲・賃貸)の建設を手がけていたゼネコンの(株)吉川工務店である。08年6月期には60億円を超える売上高を誇っていたが、リーマン・ショック以降、業績が悪化。さらに後継者問題も抱えていた。
そうした同社と、ガス・エネルギー事業以外の柱事業として不動産事業の強化をもくろんでいた西部ガスHDの思惑が合致し、M&Aが成立したという経緯がある。現在、社長は西部ガスリアルライフ長崎(株)の社長を務めていた進研一氏が務めており、25年4月に現社名となった。
【表2】は西部ガス建設の直近5期の業績推移だが、22年2月期に30億円強だった売上高が25年3月期には44億円規模にまで拡大している。受注先にはえんホールディングスやLANDICなど地場ディベロッパー、オープンハウス・ディベロップメントや明和地所などの全国ディベロッパーがある。業績が回復傾向にあるのは、西部ガスHDの信用力が背景にあるものとみられる。
ここまで西部ガスHDの不動産事業について見てきたが、福岡都市圏における活発な開発の動きを背景に堅調さや成長性を有する企業を抱えており、グループの業容・収益性の拡大に今後も寄与しそうだ。では、それ以外の事業を担う企業の現状はどうなのだろうか。次回以降、確認していきたい。
【田中直輝】








