業績が安定化したマルタイ
西部ガスグループの傘下には、主要な企業だけで50社以上があり、「ガス」「LPG」「電力・その他エネルギー」「不動産」「その他」に分かれ活動している。今回はこのうちその他事業について見ていく。この事業には食関連事業(食品販売事業、飲食店事業)が含まれ、西部ガスグループの多角化においてとくに象徴的であるからだ。
まず、その他事業の現状について確認しておくと、2025年3月期のその他事業の売上高は前期比1.8%減の251億100万円で、セグメント利益は同1.3%増の11億4,500万円だった。西部ガスホールディングス(株)の同期の売上高は2,544億4,200万円、営業利益は105億3,000万円となっている。
なお、26年3月期第3四半期のその他事業は、売上高165億4,400万円(前年同期比1.2%減)、セグメント利益9,000万円(同79.9%減)となっている。セグメント利益は売上高の減少に加え、販売費・一般管理費の増加が影響している。
さて、その他事業を構成する企業の1つに(株)マルタイがある。西部ガスHDが2月19日に発表した役員人事によると、マルタイの次期社長にHDの執行役員・末次隆氏が6月開催予定の株主総会を経て、就任するとしている。
マルタイは「棒ラーメン」「長崎皿うどん」などで有名な老舗食品メーカーだが、07年に西部ガスグループ入り。6代目社長以降、西部ガスグループから社長が輩出され、末次氏は11代目の社長となる。
同社は、競争激化にともない福岡銀行が再建に取り組んでいたが、06年に敵対的買収の噂が流れるなど経営環境が不安定化していたことを受け、西部ガスグループが支援。グループ入りすることで安定化が図られた。
とくに09年にサンヨー食品(株)と資本・業務提携を結ぶなどして、生産の効率化などを推し進め、以降、首都圏や海外など販路拡大を図った。直近の業績は【表1】の通り。コロナ禍や原材料価格の高騰の影響を受けつつも、安定的な収益を確保している。

業績縮小傾向にある福岡中央魚市場
マルタイのようにグループ入りが、業績の安定につながった事例がある一方、必ずしもそうとは言いづらいケースも見られる。福岡中央魚市場(株)は13年、西部ガスグループ入りした。同社は1948年、水産庁の許可を受け、福岡市中央卸売市場鮮魚市場の卸売業者として農林水産大臣の許可を受けて、鮮魚・冷凍魚・塩干加工品の卸売を行っている企業だ。
2000年代前半は「漁獲量の減少」や「消費の低迷」などで経営環境が悪化。04年3月期に赤字を計上したことで自己資本比率が10%を割り込んだことで、行政から05年2月期に改善命令を受ける事態となっていた。それを受け、西部ガス(株)(当時)が同社の第三者割当増資を引き受けた。
直近5期の業績は【表2】の通りだ。売上高が21年3月期の102億5,216万円から25年3月期には87億7,165万円になるなど減少基調にある。利益面では赤字が散見される状況。経営の安定化には一定の成果が表れているものの、西部ガスグループの収益力強化への貢献は限定的だ。なお、現社長・入江康浩氏は、西部ガス入社後、西部ガスリアルライフ福岡(株)社長に就任していたという経歴をもつ。

その他事業、なかでも食関連事業の企業について、西部ガスグループでは都市ガス事業と密接に関わる「食のネットワーク」づくりを目的にM&Aを行ってきた経緯がある。今回はそのなかからマルタイと福岡中央魚市場の2社をピックアップし紹介したが、M&Aの成果はそれぞれが置かれる市場の状況、グループ入り後のてこ入れ策の内容などにより大きく異なることが見て取れる。
次回以降は、本丸であるガス・エネルギー事業とそれに関連する事業の様子を確認し、それにより西部ガスHDの置かれる状況や課題について見ていきたい。
【特別取材班】








