2024年04月25日( 木 )

民意の付託を受けた議会として再配分機能を充実させる(3)

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第69代福岡県議会 議長 栗原 渉 氏

県民の付託に応えるために

 ――小川県政と県議会議長という立場で、協力しながらも政策を認めさせる緊迫感が必要ですね。小川知事と議会との協力関係はいかがでしょう。議会として小川県政に対して求めることなどはありますか。

 栗原 お互いに選挙を受ける身ですので、小川知事も民意であり、議会の構成も民意の構成として各会派が形成されている。それぞれの立場で共通しているのは、福岡県の振興あるいは県民のためになるかどうかという1点で、これは基本としてもっていなければなりません。

 一方で各政党が存在し、政党政治を1つのものさしとするならば、今回の県知事選挙で小川知事は「政党推薦はいらない」として戦ったわけです。それは政党側からすると「全員野党だ」となりかねない。

 しかしそれぞれが民意ですから、こっちは与党だ、あちらは野党だという話では物事が進まない。冒頭申し上げたように我々議員は「決めて、進める」ことができなければ役割をはたしているといえないわけですから、議会としてのさまざまな意思や考え方をどう知事に伝えるのか。あるいは知事の考えを議会がどう受け止めるのか。しっかりと議論するなかで結論を出す、それしか道はないと思っています。

 ――良い関係にはなりつつあるのですね。

 栗原 マスコミの方々がさまざまな対立軸を探し出して、ともすればそれをもって「対立」を煽るようなこともありますが、個人的にはそういった「ストーリー」はあまり気にしていません(笑)。小川知事が圧勝したことは事実であり、逆に福岡県議会の構成がこうなったのも事実なのです。6月議会は1日延長してさまざまな議論をしました。そうして議論していくなかで、考え方としては整理できたのではないかと思います。県民の付託に応えることが大切ですから。

 今回、6つの特別委員会を設置しました。これからの課題として何をやるのかそこで具体的に出てくることになっており、常任委員会ではその部門ごとにやっていきます。特別委員会は行政の縦割りを超えた内容を扱う性質がありますから、県議会として直面しているテーマを見て取ることができます。

 今回新しく出てきたのは人材(人財)確保の課題、そして、スポーツ振興については麻生知事のときからアスリート育成を始め、一定の結果が出てきました。スポーツ振興に目配りするのは、子育て世代の皆さまからの需要が背景にあります。子どもさんが少なくなったこともあって積極的にスポーツさせるご家庭が多いんですね。こうした振興策は環境を整備すれば定住策にもつながると考えています。エネルギー対策も大切です。

 ――ところで、今回の県知事選は「保守分裂」になりましたね。

 栗原 保守分裂というのは、見方によっては「分裂」ですが、自民党県議団としては分裂していません。県議団としては新人を応援して結果的に負けたわけですが、県議団としては結束してできたということが事実です。あとは国会議員の先生方がこれからどうされるかというところについては……。

 ――困ったところ、ということですね(笑)。

(つづく)

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