2024年04月20日( 土 )

時流を読んだマンション事業からの脱却 社員一丸で“挑戦者”として次なる展開を(1)

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(株)ダックス 代表取締役社長 石原 紀幸 氏

 これまで、自社ブランド「パレストマンション」を始めとする新築分譲マンションの販売を中心に、戸建事業やソーラーシステム事業、浄水システム事業など、多岐にわたる事業を展開してきた(株)ダックス。来年には25周年の節目を迎える同社の現状やこれからの事業戦略などについて、今年4月に同社代表取締役社長に就任した石原紀幸氏に聞いた。

(聞き手:弊社代表・児玉 直)

石原新体制の発足、平崎会長は海外事業に専念

 ――まずは、新社長へのご就任おめでとうございます。石原社長と、前社長である平崎守会長との役割分担について教えていただけますか。

代表取締役社長 石原 紀幸 氏
代表取締役社長 石原 紀幸 氏

 石原紀幸社長(以下、石原) ありがとうございます。私と平崎との役割分担ですが、基本的にはダックス本体のことについては、私が取り仕切っております。もちろん、本当に重大なことについては、平崎にも適宜相談して打ち合わせながら進めることもありますが、それ以外のある程度は私に一任されています。

 というのも実は現在、平崎はインドネシア・ジャカルタにおいて新たな事業を立ち上げようとしており、すでに現地法人の設立も完了しています。

 ――インドネシアではどのような事業を展開予定でしょうか。

 石原 現地の方々に向けた戸建住宅を企画・販売するような不動産事業です。インドネシアなどの東南アジアで不動産事業を手がけようとして進出する多くの日本企業の場合は、どうしても富裕層向けや、あるいは日本人の現地駐在員向けの物件が多いように感じます。弊社の場合はそうではなく、現地に根付いた会社をつくろうということで進めており、ターゲットは現地の一般の方々です。現地のニーズに合わせ、キッチンやシャワーなどは外付けで、間取りは2L程度。価格帯も、日本円にして600~700万円くらいのものを想定しています。

 ――それは手堅いビジネスになりそうですね。

 石原 実は弊社では、3年前からスラグ貿易というものをやっています。「スラグ」というのは製鉄の際に出る副産物で、それをコンクリートやセメントなどに混ぜることによって、強化されます。本来ならば商品になるようなものですが、インドネシアでは貿易不可の産業廃棄物というような取り扱いでした。平崎の友人がその貿易許可を取得し、「輸出の事業をやろうか」というお声がけをいただいたので、3年前からインドネシアのスラグを購入してバングラデシュに送るという貿易事業を行っています。それで現地に何度か足を運んでいるうちに、いろいろと勉強をしました。

 インドネシアは人口が2億5,000万人以上で、生産人口も今後さらなる増加が見込める状況です。これから、ちょうど日本でいう“高度経済成長”のような時期が到来すると考えられ、今後の市場としての可能性を非常に感じています。

 ――そういう着眼点の良さは、平崎会長の商才を感じますね。

ダックス オフィス内入口

 石原 私もそう思います。今回のインドネシアでの事業展開については、現地の人材を3名採用したことに加え、日本でも「誰か行きたいか?」と募ったところ、若手5~6名から手が挙がりました。10年くらい前の中国進出の際には誰も手を挙げなかったことを考えると、今回、会社としてもすごく成長を感じましたし、社員皆が「チャレンジャーになってくれたな」という気がします。

 それもこれも、平崎が2005年に弊社の代表になって以降、太陽光や浄水器、カフェなどの新規事業に挑戦し続けてきた結果、社内にそうした“挑戦者”の気風が醸成されてきたと思っています。今回、私がその平崎の後任を担うことになり、改めて良い意味でのプレッシャーを感じていますが、また同時に、非常にやりがいも感じています。

(つづく)
(文・構成:坂田 憲治)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:石原 紀幸
所在地:福岡市中央区長浜1-1-1
設 立:1995年2月
資本金:1億9,134万円
売上高:(19/1)73億8,487万円

<プロフィール>
石原 紀幸(いしはら・のりゆき)

 1963年2月生まれ、福岡市出身。九州大学卒業後、85年4月に(株)リクルートに入社。88年4月に新生住宅(株)に入社した。95年2月、(株)ダックスの設立と同時に入社。2018年3月の代表取締役副社長就任を経て、19年4月に代表取締役社長に就任した。

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