2024年04月25日( 木 )

北九州空港浮揚のカギは福岡空港(中)

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北九州市港湾空港局 空港企画部長 小石  裕洋 氏

民間委託ありきではない

 ――北九州空港の民間委託調査結果が出ましたね。

北九州市港湾空港局 空港企画部長 小石  裕洋 氏

 小石 行政主体の運営のままの場合と、民間委託した場合、それぞれのメリット、デメリットについて、初めて文字化したのが今回の調査書です。世の中の流れは民間委託(コンセッション)になっていますが、我々としては「民間委託ありき」ではありません。あくまで今後議論するうえでの叩き台です。ただ、福岡空港が民間委託になって、今後5年間で1,000億円の投資が行われる話になっています。この点、我々としても民間委託に期待するところは正直あります。今後プレーヤーとなる民間企業の動きを注視していきたいところです。

 調査書では、北九州空港は24時間空港であり、70ha以上新たな土地があることから、「民間委託(コンセッション)のポテンシャルはある」としています。ただ、「民間委託すべき」とは書いていません。議論の第一歩を踏み出せたと捉えています。最終的な結論を出すには、県と町としっかり協議をして、同じ方向を向かないといけません。

 ――福岡空港は、福岡国際空港株式会社(FIAC)が受託しているわけですが…。

 小石 空港運営の民間委託のマーケットは、意外にプレーヤーの数が少ないんです。仮に民間委託をする場合には、早い時期に実施するほうが民間に手を挙げてもらいやすいという考え方にも一理あると思います。今回の調査書では、FIACが受託する場合とそれ以外のグループが受託する場合についても考察しており、それぞれメリット、デメリットがあるとしています。

 今後は、地元の財界との議論も必要になってくると思います。仮にFIAC以外のグループが受託したとしても、お互い協議、連携しながら、Win-Winの関係をつくってもらえると考えています。民間委託する場合、当然それは条件に入ることになると思いますので。「必ずしもFIACでなければならない」ということではありません。

 ――FIACは「北九州空港へのエアライン誘致などに協力する」といっています。

 小石 「福岡県の空港の将来構想」への協力、「福岡空港と北九州空港の相互補完」への取り組みは、受託の際の評価項目になっています。FIACにとっては約束したことなので、それは当然のことだと考えています。県内全体の活性化という観点から見ても、コストをかけずにエアラインを誘致できるわけですから、良い話だと思っています。

 ――ただ、福岡空港の滑走路が増設されれば、また福岡空港に戻る可能性がある?

 小石 それはあるでしょうね。最終的にはエアラインが選ぶことなので。ただ、北九州空港が民間委託された場合の話ですが、福岡空港より着陸料を下げるという施策は考えられます。現行の着陸料は原則全国一律ですが…。福岡空港の滑走路が増設されたとしても、夜間早朝は飛ばせません。「もっと便数を飛ばしたいけれども、福岡空港は時間帯的に難しい。では、深夜や早朝に北九州空港で飛ばそう」――そう考えるエアラインは一定数あると思っています。韓国のLCC・株式会社ジンエアーは、福岡空港で便数を増やせないことから、北九州空港でも就航していただいた実績があります。

 韓国だけでなく、中国や東南アジア、オーストラリア、北米、ヨーロッパ航路などの誘致をしなければ、「20年に年間4,000万人」は難しいでしょう。FIACのそういう動きのなかに、補完空港としての北九州空港の出番が出てくるのではないでしょうか。

(つづく)
【大石 恭正】

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