わらび座ミュージカル「ジパング青春記」特設ページ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年11月12日 13:40

監訳者に聞く 「MMT(現代貨幣理論)」とは何か?(1)

経済評論家((株)クレディセゾン主任研究員) 島倉 原 氏

「MMT(Modern Monetary Theory、現代貨幣理論)」とは何か。一部のメディアや経済評論家からは「トンデモ理論」「論外」などとほとんど全否定されているが、支持者たちは「MMTは単に事実を指摘したに過ぎない」とまったく譲らない。そんななか、8月末に『MMT現代貨幣理論入門』(東洋経済新報社/以下、『MMT入門』)が出版された。同書は、MMTの中心的人物である米国の経済学者ランダル・レイが執筆したMMTの入門書を日本語に訳したもので、MMTの主張をそのままのかたちで伝えた文献としては日本初のものである。これまでは、MMTの主張の一部を切り取った(場合によっては歪曲した)かたちで空中戦のような議論が繰り広げられてきたが、こうした書籍が世に出たことで、今後は地に足のついた議論が期待される。今回は、同書の監訳を担当し、また12月にはMMTを解説した著書『MMTとは何か―日本を救う反緊縮理論』(角川新書)の出版を予定している経済評論家の島倉原氏((株)クレディセゾン主任研究員)に、MMTのポイントなどについて話を聞いてきた。

貨幣や財政の「現実」を説明するMMT

 ――MMTとはどういう理論でしょうか。

島倉 原 氏

 島倉氏(以下、島倉) MMTには2つの側面があります。まず1つは、貨幣や財政が現実にはどのようなものであるかを説明する理論としての側面です。もう1つは、そうした現実に基づいて、「経済政策はこうすべきである」と提言する理論としての側面です。

 『MMT入門』の帯にもあるように、MMTの主張として、以下の3点があげられます。1つ目は、日本や米国のように「通貨主権」を有する政府は、「自国通貨建て」で支出する能力に制約はないというものです。 

 「通貨主権」とは、自国通貨を固定レートで金(きん)や外貨と交換する約束をしていない、すなわち変動為替相場制を採用していることを意味します。こうした政府は自国通貨をいくらでも発行できるので、デフォルト(債務不履行)を強いられるリスクはありません。従って、「財政赤字や国債残高を気にするのは無意味」という結論になるのです。

 次に、政府にとって、「税金は財源ではなく、国債は資金調達手段ではない」というものです。一般的には、政府は税金や国債発行によって通貨を入手し、それを支出に回していると考えられています。しかしながら、その通貨は、発行主体である政府がその前に支出を行わなければ、世の中に存在しないものです。

 従って、政府が先に通貨を支出しない限り、民間部門は税金を納めることも、国債を購入することも論理的に不可能である、というのがこの命題が意味するところです。さらにここから、「税金は所得、国債は金利に働きかけ、経済を適正水準に調整するための政策手段」という結論が導き出されます。

 ここまでは、現実を説明する理論としてのMMTです。3つ目は、経済政策論としてのMMTの主張です。人々の経済的満足と安定した社会を実現するため、政府は「完全雇用と物価安定」という公共目的を追求すべきであるというのが、MMTの主張です。そして、通貨主権を有する政府には自国通貨建てで無限の支出能力があります。MMTはこのことから、政府自らが「最後の雇い手」となり、希望する人々全員を、一定以上の賃金で雇うことを約束する「就業保証プログラム」の実施を提唱しています。

 就業保証プログラムの下では、不景気で失業者が多い時には政府が雇用を増やして経済の支えとなり、好景気の時には政府による雇用が自然と減って経済の過熱を抑制することになります。MMTはこのことから、就業保証プログラムを「強力な経済安定装置」と位置付けています。

(つづく)
【大石 恭正】

<プロフィール>
島倉 原(しまくら・はじめ)

(株)クレディセゾン主任研究員。1974年、愛知県生まれ。97年、東京大学法学部卒業。(株)アトリウム担当部長、セゾン投信(株)取締役などを歴任。経済理論学会および景気循環学会会員。会社勤務の傍ら、積極財政の重要性を訴える経済評論活動を行っている。著書には『積極財政宣言─なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』(新評論)など。

<まとめ・構成>
大石 恭正(おおいし・やすまさ) 立教大学法学部を卒業後、業界紙記者などを経て、フリーランス・ライターとして活動中。1974年高知県生まれ。 Email:duabmira54@gmail.com

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2019年12月11日 12:25

【鹿児島県知事選】九州経済産業局の塩田康一局長が出馬表明へ~〈ラ・サール→東大〉県出身エリート官僚NEW!

 来年夏に予定されている鹿児島県知事選挙に、九州経済産業局の塩田康一局長(54)が出馬する意向を固めた。関係者に対して、今月中に退職する意向を伝えたとみられる。

2019年12月11日 12:00

「インボイス制度」導入前における財務体質強化NEW!

 10月は消費増税や幼児教育無償化など、経済環境に影響を与える変化が大きい事象がありました。軽減税率やポイント還元制度など、消費者視点からの情報がメディアを賑わせてい...

2019年12月11日 11:59

不動産ローン申請書類 コーセーREでも改ざんの疑いNEW!

 コーセーアールイー(東証一部)は、投資用分譲マンションを販売する子会社において、投資家の源泉徴収票や物件の賃料を改ざんしていた疑いがあると発表した。

2019年12月11日 11:50

消費者庁、定期購入告げずに販売した財宝に特商法違反で是正指示NEW!

 消費者庁は10日、電話勧誘で定期購入する契約であることを告げずに健康食品を販売していたとして、(株)財宝(本社:鹿児島県垂水市、水迫邦夫社長)に特定商取引法違反によ...

2019年12月11日 11:00

間違いだらけの大学英語入試~経済政策にひた走る文科省!(後)NEW!

 私はこの背景には安倍政権が「アベノミクス」と称して進める民営化、とりわけ「コンセッション方式」(「公設民営」)があると考えています。具体的には、「施設」は公営のまま...

2019年12月11日 10:47

国交省、九電工に90日間の営業停止処分NEW!

 国土交通省九州地方整備局(九地整)は12月10日、(株)九電工(福岡市南区)に対し、90日間の営業停止処分を下した。全国における土木工事業に関する営業のうち、公共工...

美談の裏で─ライオンズクラブ337-A地区と朝倉災害支援─(18)〜茶番の名誉顧問会か?NEW!

 既報の通り、2019年12月9日にライオンズクラブ(以下LC)337-A地区の「名誉顧問会」が開催された(開催場所不詳)。LCの名誉顧問会とは、現ガバナーが任命した...

アベノミクスの正体を暴くべきときが来たNEW!

 2012年12月の総選挙で第2次安倍内閣が誕生した。このときから丸7年の時間が経過する。安倍内閣を誕生させた最大の功労者は野田佳彦氏である。野田氏は主権者を裏切った...

2019年12月11日 09:38

「現在、政権を取っている人たちこそ反社勢力」と山本太郎氏~日米FTAの再交渉期すNEW!

 れいわ新選組の山本太郎代表は10日、群馬県・JR高崎駅前で街頭記者会見を開き、臨時国会での日米貿易協定承認を「まさに国家の切り売り。売国」と批判するとともに、有権者...

2019年12月11日 09:30

リクルートキャリアのリクナビ問題は~人材データの利活用のあり方が問われる事態に飛び火(後)NEW!

 故・江副浩正氏によって1960年にスタートしたリクルートは就職情報誌、結婚情報誌、住宅情報誌で事業を拡大した。転機は2012年。その年、新社長に就任した峰岸真澄氏は...

pagetop