2024年04月19日( 金 )

「HARENO GARDEN」で変わる西中洲エリア(後)

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福岡県公園街路課

 着実に利用者が増えていると感じます。これまで明治通りを利用していた人たちも、であい橋を利用するようになり、新たな動線ができ上がっていると思います。リバークルーズの利用者も増えていると聞いていますし、憩いの場として長く愛される場所になるように、引き続き快適な空間の維持・整備に取り組んでまいります。

西日本鉄道(株)

 天神・東エリアの賑わいづくりと魅力向上を図ることが、天神エリア全体の価値の底上げにつながると考え、ハレノガーデンへの挑戦を決めました。

 また、弊社は先行して「SHIP’S GARDEN(水上公園)」、「Au Bord d'Eau Fukuoka(オ・ボルドーフクオカ)」の管理も手がけています。ここにハレノガーデンが加わることで、一体管理・運営による、各施設間でのコラボイベントなどの実現も可能と考えました。各施設が連動したイベントとして、来年3月には「ボタニカル」をテーマとしたイベントを予定しているほか、天神中央公園・西中洲エリアでは月2回をメドに、定期的なイベント開催も計画しております。

 福岡らしさをテーマに、新業態店や天神初出店のお店に出店していただいていることもあり、オープン後には非常に多くのお客さまからご利用いただいております。

yHa architects 平瀬有人+平瀬祐子 氏

 ハレノガーデンの意匠については、西中洲エリアの象徴である旧福岡県公会堂貴賓館の歴史を尊重し、公園と建築が連続したような「旧貴賓館を引き立たせる風景」を目指しました。明治通りから公園内に入った時に旧貴賓館に自然に視線が行くように、これまで以上に旧貴賓館が引き立つよう配慮したランドフォーム・アーキテクチャー(地形的建築)です。仕事・暮らし・娯楽のすべてが存在し、エリアを余すことなく人々が使いこなせる福岡のようなヒューマンスケールを持つ都市は、世界レベルで見ても稀有な存在です。その一方で、もう少し子どもやお年寄りが憩えるスペースが増えるとさらに良くなるとも考えており、本プロジェクトではあらゆる世代の方がゆったりと楽しめる大階段やデッキのある空間を目指しました。

 EASTの設計では、那珂川沿いにデッキを設け、賑わいを演出するようなしつらえで「川」に開き、公園側はボリューム感を低減するようなかたちとすることで、ランドスケープとの調和を図りました。軒先を一部跳ね上げることで、より開放的な眺望を望める空間となり、「boat house」の軒先まで連続する屋根形状とすることで、那珂川対岸からEAST・boat houseの2つの建築の間に旧貴賓館がフレーミングされ、一体感を演出するような印象的な風景をつくり出しました。

 WESTの設計では、緑の雰囲気を堪能しながら「旧貴賓館に開く」デザインを目指しました。旧貴賓館側にベンチにもなる大階段を設けることで、日常的には旧貴賓館を望む憩いの場、イベント時には観客席となり、旧貴賓館や公園の雰囲気を感じる交流の場となります。また、大階段から続くルーフデッキは、さまざまな角度から旧貴賓館を眺めることのできるフォトスポットとしても活用できます。

 いずれの建物も透明感の高いファサードとし、軒やウッドデッキ・ベンチに福岡県産材のヒノキを積極的に使うことで、地域への愛着を育むとともに、誰でも居心地の良さを感じる空間を目指しました。

 今後、賑わいを持続させていくためには、WESTの大階段やルーフデッキにベンチを設けたように、さまざまな場所に人びとの居場所をつくり出し、継続的に人々の集う中洲ジャズやスポーツのパブリックビューイングなどのイベントの仕掛けが必要だと考えます。

 本プロジェクトが都市公園法改正の施行により創設されたPark-PFI事業であることを生かし、3つの公園施設が単に収益を目指すばかりでなく、公共的な位置づけを理解したうえで、集まる人びとへのサービスや場所づくりを、今後も引き続き提供していくことが大切です。

(株)日比谷花壇 PPP事業推進部/旧福岡県公会堂貴賓館 所長 田中 真理 氏

目を引く赤絨毯の階段
目を引く赤絨毯の階段

 アクロス福岡から福博であい橋を経由して中洲方面へという流れで、人の往来はこれまでも多かったのですが、ハレノガーデン誕生以降、利用者の滞留時間が増加し、公園が活気づいてきていると感じます。また、整備前は夜間のライトアップもなく、木々でうっそうとした雰囲気だったので、安全面に対して懸念がありましたが、整備後はそうした不安も解消されました。

 弊社は指定管理業者として、100余年の歴史を持つ国の重要文化財建築物である旧貴賓館を、次世代へと継承していくことを第一に、日々管理・運営に務めています。その実現のためにも、まずは地元福岡の人たちに愛されることが大切だと考え、さまざまなイベントの企画・実施を通じて、旧貴賓館の認知向上に取り組んでいます。写真展やクリスマスコンサート、弊社のノウハウを生かしたフラワーレッスンなど、年間約40の幅広い世代の方が参加可能なイベントを開催しております。これまでの旧貴賓館の保存に重きを置いた管理・運営から、旧貴賓館の活用を視野に入れた管理・運営へ移行することで、管理・運営を始めた17年当時約1万人だった来訪者は、18年には約2万人に倍増しました。限りある期間のなかで、多くの人に愛着をもってもらえる旧貴賓館を目指し、今後もさまざまな取り組みを行ってまいります。

(了)
【代 源太朗】

(前)

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