2024年03月29日( 金 )

唯一無二のコンセプトワークで、次なるレジャーの新境地へ(後)

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カトープレジャーグループ 代表取締役兼CEO
加藤 友康 氏

誠実な気持ちから良いサービスが生まれる

 ――人材育成やマネジメントで工夫している点はありますか。

加藤 友康 氏
加藤 友康 氏

 加藤 誠実な気持ちから、良いサービスが生まれるため、人間性が良いメンバーと働きたいと考えています。誠意は、お客さまを想う心をきちんと表現することです。おいしいものを提供することでも衛生面でも、お客さまを大切にするという心構えや決意がサービスの根本です。

 オペレーションで大切なチームワークでは、リーダーシップも欠かせません。心構えとともに適切な技術指導ができるよう、誠意をもって社員に接していけるかがポイントです。

 人を育てることには力を入れており、月に1回、「加藤友康塾」を行っています。私の全エネルギーの3割を使っているのではないかと感じますが、さまざまな課題をスタッフにどのように伝えるかをいつも考えています。やはり、現場で人は一番成長すると考えており、現場でどうマネジメントするかが大きいと感じます。

 現場では人によって仕事の向き不向きがあり、同じ人でもできる時とできない時があります。いかにレベルアップしていくかが一番の課題です。そのため、研修や運営体制づくり、リーダーの指導に取り組んでいます。

 ホテルやリゾートを長く続けて年月が経つと、施設のリノベーションも1つの方法ですが、ファシリティではほかと差別化できなくなることがあります。現場で働くスタッフが、しっかりとお客さまのためを想ってサービスする姿勢が、何よりも大切です。

 ――今後の事業の展望を聞かせてください。

 加藤 沖縄の「OKINAWA GRAND MER RESORT」(オキナワ グランメール リゾート)のリノベーションや、隣接地の再開発で大きく変革します。既存事業のほかにもいくつかのプロジェクトを予定しており、今後2年間で合計1,000室を超える計画です。沖縄には力強いアクティビティが必要だと感じており、いま構想を練っています。

 スモールラグジュアリーリゾートの「ふふ」シリーズでは、「初めて開かれた聖地」として、2020年に日光の御用邸の跡地に「ふふ 日光」を開業します。明治後期から大正にかけて日本と西洋が融合した時期の建築に新しい素材を融合させることで、これまでにないリゾートをつくる予定です。

 2020年に開業予定の「ふふ 奈良」では、奈良公園の歴史を残し、庭園と宿泊施設が融合するよう隈研吾氏の設計でつくっています。奈良の建材や地元で採れた食材を使い、歴史ある場所と調和するインテリアを提案しています。

 2021年には、箱根に「ふふ 強羅」が開業します。箱根連山のパノラマが広がる眺望や山から抜ける風を感じることをコンセプトに、外に向けて開いていくイメージを描いています。

 ――観光業が地域活性化で担う役割はどんなことですか。

 加藤 インバウンドのお客さまが多く、観光業で地域が活性化されていますが、地域格差も出てきており、今後、格差はさらに広がるでしょう。どのような施設をつくるか、アクセスの問題をどう解決するか、いかにPRしていくかは、行政だけでなく、地域活性化を担う民間企業も考えていくべき課題だと感じています。

 治安が良く、ホスピタリティがあり、食文化のレベルが高い国はほかにないことに、日本自体が、もっと注目することが必要です。各地の歴史や文化、食をしっかり表現していくことで、観光業としての日本の魅力が生まれます。たとえば、すべての施設において、食事に取り入れる地元の食材探しからKPGは関わっています。地域ならではのオリジナリティのあるメニューをつくることで、業界全体を変革していきたいと考えています。

(了)
【石井 ゆかり】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:加藤 友康
所在地:東京都千代田区大手町2-6-2
   (東京本社)
設 立:1962年4月
資本金:7,150万円
売上高:約250億円(グループ合計)

(中)

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