2024年03月29日( 金 )

“人づくり、まちづくり、国づくり”福岡を教育の国際拠点へ(中)

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一般社団法人福岡県中小企業経営者協会連合会 会長
 小林 専司 氏

大手企業、大学、官庁との交流

 ――そして活動の推進を強化されているのが産学官交流会ですね。

 小林 そうです。この交流会に参加されているのは、業界大手企業の支店・支社長、各大学の理事長および学長、官公庁の局長というメンバー構成です。

 当連合会の会員企業は、名称通り中小企業です。行動力や決断力、そして経営者としての人間性がとても高いです。その有能な経営者の方々と、大手企業、大学そして官公庁との交流を図るために大手企業、大学、官公庁がもつ知見や見識、知恵そして視野をともに共有して、お互いが進化・発展できる機会をつくりたかったのです。年3回のペースで開催し、昨年11月で5回目となります。

 ――それぞれ開催される機会によって、開催テーマは異なると思いますが、交流会の柱となる標題についてお聞かせください。

 小林 福岡・九州ひいては日本各地の地域活性化の一助となるべく、大手企業、大学、官公庁と4つの中経協の会員企業が強い絆を構築・連携する。そしてメインの標題の1つが「人材育成と確保」です。直近の5回目は、福岡青年会議所や現役大学生の方々が参加されました。教育というキーワードの話題提供を行い、どのような事業展開を行いそして人材育成・確保につなげていくのかを、実例を基にした講話を聴いたうえで、7〜8名のグループにわかれてのワークショップにより議論し、そのグループでまとめた内容を発表するスタイルです。

 ――5回目含めこれまでに開催されてきた内容について拝見しました。教育、人材育成と確保について、多角的な分析・解析を行いながら、活発な議論と意見交換がなされ、将来的に具現化するための方策を打ち出されていますね。

 小林 インタビューの冒頭でも話した通り、単なる食事会という主旨ではなく、この回に集まっていただいた方々全員が成長・進化できる場になることが一番です。つまり、形だけではない本物の議論の場にするため、参加者の方々全員が、率直な発言や対話を行っていただくことが必要不可欠です。

 たとえば、「教育特区をとり、産学官のダイナミックな連携のとれる地域にする」「エデュケーションアイランドと呼ばれるために福岡・九州を、教育研究者、教育ベンチャー、そして子どもたちが世界中から集まる土地にしよう」「超人口減少、超少子高齢化、財政難という日本の重要課題ともいうべき逆境のなか、学びの場の在り方、そして地方創生につなげていくには?」「本気で教育を良くしていきたいとする構想を実現するには何が必要か?」。そして「社会課題の現場を体験できるスタディーツアーの企画開催」「これからの社会人研修や修学旅行について」などを、参加者全員が是々非々、自由闊達な議論を行いながら、まとめ上げております。

 毎回各方面から多彩な講師を招きながら、回を重ねるごとにブラッシュアップされた交流会となっております。参加者の方々からは、好評を博しております。

 ――参加者皆さまの熱量が伝わってきます。

 小林 皆さま真剣かつ熱く議論されており、いつもすばらしいアイデアや方策がもたらされます。その場だけの話に終わるのではなく、これから具現化していくプレゼンテーションが展開されております。今後より実用性の高いアイデアや方策について議論し、打ち出されていくでしょう。

 私の想いは、福岡を“エデュケーションバレー”にする。アメリカ合衆国のカリフォルニア州北部のサンフランシスコ・ベイエリアの南部に位置しているサンタクララバレーとその周辺に集結する世界屈指のIT企業が集まる「シリコンバレー」のような都市・まちをつくりたいです。

 「1万人の教育リーダーが集う。日本の中庸・統合の志向をもつ。教育ベンチャー特区、教育特化の投資会社、人材開発大学院、体験型エデュティメント施設、エデュケーションリゾート、エデュケーションメディアアートを集結させる。以上を実現させるため、福岡の地域性が有する“都市と自然、アジアの玄関口、食のクオリティ、観光資源の開発余地、寛容で人情的な人柄”を生かす」ことを掲げております。

 現在は、場所に縛られない時代になりました。それは、
(1)IT技術の進化によりオンライン上での会議や対話ができること、移動手段においてLCCの出現で人と会うコストが廉価になったこと。
(2)オンラインでの会議や対話が日常化することで、オフラインつまり実際に人同士が会うときは、合宿などの濃密なコミュニケーションのニーズが高まることが期待される。
(3)統廃合の増加により、校舎の再利用の可能性が高まる。同時に過疎化の解決になり得る。
(4)画一性の時代からVUCA(ブカ:Volatility=変動性、Uncertainty=不確実性、Complexity=複雑性、Ambiguity=曖昧性の頭文字の並べた造語)の時代へ突入。自己決定感が幸福度に最も影響している。自己決定すれば、コミット度が上がる。
以上の事項をもって、これから福岡がエデュケーションバレーになっていくことを目指していきます。

(つづく)
【河原 清明】

<COMPANY INFORMATION>
会 長:小林 専司
所在地:福岡市中央区天神1-4-2
設 立:2013年4月
TEL:092-753-8877
FAX:092-753-8870
URL:http://www.chukeikyo.com

<プロフィール>
小林 専司(こばやし・せんじ)

 2005年10月福岡ロジテム(株)を設立、代表取締役社長就任。会社経営とともに、ボランティア活動にも精力的に参加。福岡県中小企業経営者協会連合会会長。

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