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北九州発・秘密基地から始まるソーシャル・イノベーション(前)
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2020年02月07日 07:00

北九州発・秘密基地から始まるソーシャル・イノベーション(前) おもてなし規格認証制度 

コワーキングスペース秘密基地
代表 岡 秀樹 氏
フィールド・フロー(株)
代表取締役 渋谷 健 氏

 北九州中心部の小倉・京町にある「コワーキングスペース秘密基地(以下、秘密基地)」の代表を務める岡秀樹氏と、秘密基地の立ち上げ当時から深い関わりをもつフィールド・フロー(株)代表取締役の渋谷健氏。「これからは“社会システムのリデザイン”が必要」という共通認識をもつ2人に今回、「北九州発のソーシャル・イノベーション」をテーマに語り合ってもらった。まちづくりの最前線で活躍する両氏が、それぞれの活動を通じて社会に提言するイノベーションとは―。

秘密基地ではまず「マインドセット」

 ――まず、「秘密基地」はどのような場所なのでしょうか。

 岡 秘密基地は、多彩なフリーランスが集う、誰もが安心して1人の人間としてフラットに向き合うことができるスペースです。ここでは『集めて 混ぜて 繋げて 尖らせる』をモットーに、人にフォーカスしたコミュニティ形成や成長支援、協業支援などを行っています。

 渋谷 私が代表を務めるフィールド・フローも、ここ秘密基地で生まれました。成長は、常識を疑うことから始まります。秘密基地ではまず、考え方や目線を変えて、「自分自身が何者であるか」を知る=マインドセットすることを学びました。秘密基地では「創生塾」と題して、そういった基礎知識も教えています。これからのまちづくりは、行政主導でなく、まちに住む人々が主体性をもって取り組むことが重要となります。

 フィールド・フローでは主に、地域の人々の潜在意識を引き出し、事業として創造・進化させていく活動を行っています。また、それを地方活性へとつなげていくために、秘密基地で学んだことをカリキュラム化したイノベーター育成も行っています。東京都のデジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)などでイノベーション創出プログラムを提供するほか、宮崎県などで地方創生事業をプロデュースし、全国各地のベンチャーや大企業、金融、行政、大学の関係者などに“秘密基地モデル”を届けています。

コワーキングスペース秘密基地
コワーキングスペース秘密基地

おもてなし認証で成長支援を図る

 ――渋谷さんは、経済産業省が創設した「おもてなし規格認証制度(※1)」の普及活動も行われていますね。

※1 おもてなし規格認証制度:日本のGDPの約70%を占めるサービス産業全体の活性化を図るため、2016年8月に経済産業省が創設した規格認証制度。サービス品質を「見える化」し、サービス事業者の方々への支援を通じて、地域経済の活性化を図ることを目的としている。

 

 渋谷 私が理事を務める(一社)OSTiは「おもてなし規格認証制度」の認証機関としての活動を行っているほか、代表を務めるフィールド・フローでも認証支援事業者として活動しています。制度に関わるなかで、最も重要視していることは「地域に愛される事業者を支えること」ですが、そのモデルは秘密基地なのです。

 岡 おもてなし規格認証によって、企業の顔が見えるようになります。企業同士をマッチングする際も、安心して紹介できるのです。2019年11月には、秘密基地の運営会社である(株)HOAでも「おもてなし規格認証・トラベラー・フレンドリー金認証」を取得しました。

 渋谷 普及活動を通じて、企業が抱える共通の課題というものが見えてきます。多くの企業は、自社の事業がどういう状態にあり、どういう状態を目指していて、そしてそのために何が必要か――という単純なことを整理できていません。そこで、事業の成長フェーズを明確にするための施策としても、おもてなし規格認証を勧めています。

 たとえば、まず事業に必要なのは設備やサービスの充実などの社会的健全性であり、この部分は「金認証」によって担保されます。金認証取得のため、助成金や融資などの支援策や、IT化などの技術的な支援も連動させています。

 そして次に必要なのが、事業としての持続性・安定性であり、これは「紺認証」によって担保されます。紺認証取得のためには、金融機関やITベンダーからの継続的な支援を受けながら、改善活動・価値創出を行っていく必要があります。

 さらに社会的影響力のある方たちと協力し、異分野との共創活動をすることで、地域文化を代表するような存在に発展していくことで「紫認証」につながっていきます。今年はオリンピックイヤーでもあり、日本各地にホストタウンも展開されているため、こうした施策はより重要になってくると考えています。

(つづく)
【松本 悠子】

<プロフィール>
岡 秀樹(おか・ひでき)

 1976年、北九州出身。豊橋技術科学大学卒業後、ロンドンのAAスクールへ留学。2003年に帰郷し、14年にコワーキングスペース「秘密基地」(運営会社:(株)HOA)を開設。16年3月に(一社)まちはチームだを設立した。現在、起業家向けに実践的ビジネスプランニングとデジタルマーケティングの技術を学ぶ「ビジネスブートストラップ講座」など、精力的な活動を行っている。

<プロフィール>
渋谷 健(しぶや・たけし)

 外資系コンサルティングファーム、国内ベンチャー、国内大手企業経営戦略室を経て2014年にフィールド・フロー(株)を設立。「事業に脚本を」をコンセプトに、戦略立案からシステム開発や人財育成までを総合的に提供するオープン・イノベーション実践活動を全国展開。経済産業省・農林水産省などの政策事業、北九州市・宮崎県などの地方創生事業、大企業・金融・ベンチャーなどの民間事業に、プロの事業プロデューサー/ファシリテーターとして関わる。

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