リノベとSDGsで再生~小倉・魚町銀天街
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2020年02月12日 07:00

リノベとSDGsで再生~小倉・魚町銀天街

魚町銀天街
魚町銀天街

創造する街への転換

「第3回ジャパンSDGsアワード」--内閣総理大臣賞を受賞の様子
「第3回ジャパンSDGsアワード」
内閣総理大臣賞を受賞の様子

 軒を連ねる商店と、それを覆う屋根――いわゆる“アーケード街”の発祥の地とされる「魚町銀天街」(北九州市小倉北区)が2019年12月、「第3回ジャパンSDGsアワード」の内閣総理大臣賞を受賞した。同賞は、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた企業・団体等の取り組みを表彰するもので、魚町銀天街が受賞した内閣総理大臣賞は、最も優れた取り組みに贈られるものだ。

 江戸期に商家が立ち並んでいたことで形成されていった魚町銀天街は、アーケード街としては1951年10月に開業。以来、北九州市―とくに小倉の活気を牽引してきた。店舗数は150を超え(2020年1月時点)、多くの人で賑わっているが、かつては人通りの減少により魚町銀天街から徐々に活気が失われていった時期もあった。

 小倉駅至近という交通利便性の高さもあり、「ここでビジネスを始めたい」という人は少なくない。しかし、坪当たり2~3万円も珍しくない高額な家賃設定が、新規参入を阻害。10数年もの間、空室となっていたビルもあったほどだ。

 新陳代謝に悩む魚町銀天街は、消費する場所から創造する場所への転換を図った。目指したのは、老朽化したテナントビルの再生だ。この魚町銀天街の動きに呼応するように、10年7月、北九州市が「小倉家守構想検討委員会」を設置。11年3月には「小倉家守構想」を策定した。遊休不動産をリノベーションの手法を用いて再生することで、産業振興、雇用創出、コミュニティ再生、エリア価値の向上などを図ろうとする取り組みで、官民それぞれでまちづくりの方向性が一致したことが、大きな転機となった。

 その結果、(株)北九州家守舎や(一社)まちはチームだなど、若い世代の経営者たちが魚町銀天街に参入。まちづくりにも積極的に参画し、11年以降は魚町銀天街とも協力しながら、古いビルの一部をリノベーションした「ポポラート三番街」や「メルカート三番街」「MIKAGE1881」などを続々と誕生させていった。

ポポラート三番街
ポポラート三番街

 若いクリエイターや子育てしながら働く母親らが集う新しいビジネス拠点ができたことは、魚町銀天街の交流人口の増加にもつながり、「商店街からはじまるまちづくり」という、新たな潮流を生み出した。

● ● ●

 魚町銀天街ではほかにも、透過性太陽光パネルの設置によるアーケード街におけるLED照明の自家発電や、近隣の大学に通う学生たちが主体となって行う清掃活動、食品廃棄物を減らすための工夫などを行っている。魚町銀天街のSDGsの目標達成に向けたこれらの動きは高く評価され、「SDGs商店街宣言」から2年を待たずに「第3回ジャパンSDGsアワード」で内閣総理大臣賞受賞という成果を収めた。

 こうしたさまざまな取り組みにより、魚町銀天街を訪れる人の数は、09年から増加基調で推移。1日当たりの通行量は10年の1万1,006人から、19年には1万5,588人にまで回復した。全国ではシャッター通りと化す商店街も少なくないなか、リノベーションとSDGsを活用した“自立型の再生”は、復活を目指す地方の商店街にとって、貴重な成功モデルになるだろう。この魚町銀天街の躍進は、商店街というコミュニティの在り方、そしてその価値を、もう一度見直すきっかけとなるに違いない。

【代 源太朗】

活気にあふれる商店街を次世代に

魚町商店街振興組合 理事長  梯  輝元(かけはし・てるもと) 氏

理事長 梯 輝元 氏
理事長 梯 輝元 氏

 2018年4月に、北九州市がアジア地域で初となるSDGsモデル都市に選定されました。この結果を受け、魚町銀天街でも「何か社会貢献につながることをしよう」という機運が高まり、18年8月に「SDGs商店街宣言」を行いました。具体的な活動として、商店主や外部からお招きした講師の方に専門知識の共有やアドバイスをいただく、まちのゼミナール「うおゼミ」を開催しています。

 うおゼミ自体は5年以上前から続いているものですが、SDGsが掲げる17の目標も意識し、誰もが教育を受けられるまちづくりの実現に向けた取り組みとしても行っております。

 解体や新築ではなくリノベーションによるまちづくりといった、これまで先行して実施してきた活動にSDGsが加わることで、魚町銀天街の交流拠点としての魅力はより高まっていくと思います。

 SDGsの目標達成に向けた主な取り組みとして現在、ホームレス自立支援・重度障がい者自立支援や、フードロスの削減、リノベーションによる若手起業家やワーキングマザーのための環境整備などを行っています。

 たとえば、学生たちは清掃活動やボランティア活動のほかにも「北九州まなびとESDステーション」で商店主と魚町銀天町の活性化を促す企画を練るなど、大学では学べない実地学習、課題解決型授業を行っています。地元への愛着心の醸成、社会に出た時に即戦力として活躍できる人材になるための一助になればと考えています。

 フードロスの削減に関しても、農協では取り扱うことが難しい規格外の野菜を魚町銀天街で販売しているほか、毎月SDGsに関するイベントを開催するようにしています。今回の受賞は、こうした複合的な効果が期待される取り組みが評価された結果です。

 魚町銀天街のまちづくりのキーワードは、「遊休不動産を再生するリノベーションまちづくり」。これまでに培ってきたノウハウを、SDGsの目標達成にも生かすことで、これからも活気にあふれる商店街を次世代につないでいきたいと考えています。次の目標は、国連のSDGsアワードです。

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