ちょっとしたスペースで個人を強く、街を元気に
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軒先(株)
スペースシェアへの先見性
「12年前の創業当時は、シェアという言葉すらありませんでした」――そう話すのは、ポップアップストアのための不動産シェアリングプラットフォーム「軒先ビジネス」や、駐車場シェアリングプラットフォーム「軒先パーキング」などを手がける軒先(株)の代表取締役・西浦明子氏だ。当時は賃貸借契約が前提で、それ以外の活用・運用方法に抵抗を示す不動産オーナーが多かったという。その一方で、長期の賃貸借契約ではなく、短期で使用したいというユーザーのニーズは顕在化しつつあった。
西浦社長自身も同社を起業する前、雑貨販売のためにわずかな販売スペースを借りたいと探したものの、必要以上の面積を借りるしか選択肢がなかった。そこで、「同様の潜在需要が眠っているはず」と考えたのが、同社の原点だ。
その後、Airbnbの台頭などもあって、シェアに対する認識を改めた不動産オーナーは徐々に増加。スペースシェアリングプラットフォーム事業を手がける同社に、ようやく時代が追い付いてきたといえるだろう。
まちづくりのプレーヤーに
現在、地域のことは地域で解決していくことがトレンドになっており、課題解決のためにシェアリングサービスを導入するケースが増えている。たとえば、花火大会などのイベントや観光スポットでは、駐車場の確保が課題となる。
同社は自治体と提携し、これらの課題解決にも乗り出した。たとえば、武蔵野市開発公社と連携し、吉祥寺のにぎわい創出のためのプラットフォーム「吉祥寺ポップアップストアポータル」の共同運営も開始。行政を巻き込んだスペースシェアリングを展開している。
「これからは、単なるプラットフォーマーではなく、まちづくりに積極的に関わるプレーヤーを目指していきます。今まで日が当たってこなかったスペースに新しい活路を見出すことで、街の個性を引き出していくとともに、現地でコンテンツをもっているプレーヤーと連携できれば、より効果的だと感じています。スペースを活用し、個人の起業や副業など多様な働き方を支援していくほか、街の魅力を向上させる企業になっていきたいですね」――と西浦社長。創業から10年以上を経て、同社の事業もまた新たな進化を遂げつつあるようだ。
【長井 雄一朗】
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