2024年05月04日( 土 )

九州地銀の「20年3月期 第三四半期決算」を検証する(2)

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 【表1】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の20年3月期 第三四半期(19年12月期)の預貸金残高順位表である。

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~この表から見えるもの~

<貸出金について>

 九州地銀(18行)の19年12月期の貸出金残高は、前期比+1兆6,416億円の40兆1,810億円(前期比4.3%増)。

 19年12月期の貸出金残高1位は福岡銀行。前期(19年3月期)比+7,458億円の10兆6,436億円(7.5%増)。19年6月期に前期比3,633億円の10兆2,612億円(3.7%増)と、ただ一行だけ10兆円を超えている。
・2位は西日本シティ銀行。前期比+1,058億円の7兆2,380億円(1.5%増)。
・3位は肥後銀行。前期比+1,862億円の3兆6,746億円(5.3%増)。
・4位は鹿児島銀行。前期比+1,436億円の3兆5,511億円(4.2%増)。九州FG傘下2行の貸出金計は7兆2,257億円で、西日本シティ銀行と肩を並べる。
・5位は前期6位の十八銀行。前期比+2,552億円の2兆1,403億円(13.5%増)。長崎県内シェアの関係でふくおかFGとの経営統合は難航。他行への移管などにより認められたことから巻き返しているようだ。
・6位は宮崎銀行。前期比+356億円の2兆319億円(1.8%増)。長年5位だったが、十八銀行にその座を譲っている。
・7位は大分銀行。前期比▲148億円の1兆8,250億円(▲0.8%)。第一地銀11行のうち、大分銀行だけがマイナス。
・8位は親和銀行。前期比+926億円の1兆8,126億円(5.4%増)と大幅に増加。7位の大分銀行との差はわずか124億円。
・9位は佐賀銀行。前期比+336億円の1兆7,549億円(2.0%増)。

 10位は熊本銀行。前期比+368億円の1兆5,712億円(2.4%増)。

・11位は北九州銀行。前期比+149億円の1兆1,740億円(1.3%増)。勢いが落ちている。
・12位は南日本銀行。前期比+31億円の5,697億円(0.5%増)。
・13位は筑邦銀行。前期比+75億円の4,969億円(1.5%増)。
・14位は宮崎太陽銀行。前期比+90億円の4,954億円(1.9%増)。筑邦銀行との差は15億円。
・15位は豊和銀行。前期比▲131億円の3,977億円(前期比▲3.2%)。3,000億円台に逆戻りしている。
・16位は福岡中央銀行。前期比▲55億円の3,709億円(▲1.5%)。第二地銀では豊和銀行と福岡中央銀行の2行が前期比マイナスとなっている。
・17位は長崎銀行。前期比+23億円の2,490億円(0.9%増)。
・18位は佐賀共栄銀行。前期比+30億円の1,842億円(1.7%増)。

<預金について>

 九州地銀18行の19年12月期の総預金残高(含む譲渡性預金)は、前期比+1兆4,573億円の47兆8,568億円(3.1%増)となっている。譲渡性預金がないのは南日本銀行、宮崎太陽銀行、佐賀共栄銀行の3行。

 19年12月期の総預金残高1位は福岡銀行。前期比+5,159億円の11兆1,733億円(4.8%増)。

・2位は西日本シティ銀行。以下、肥後銀行、鹿児島銀行、十八銀行、宮崎銀行、大分銀行の7位まで順位の変動はない。
・8位は前期9位の親和銀行。前期比+682億円の2兆3,500億円(3.0%増)。
・9位は佐賀銀行。前期比+486億円の2兆3,453億円(2.1%増)。順位を下げたが親和銀行との差はわずか47億円であり、巻き返しは十分可能。

・10位の熊本銀行から18位の佐賀共栄銀行まで、総預金残高の順位変動はない。

 総預金残高が前期より減少しているのは宮崎銀行、北九州銀行、南日本銀行の3行あるのがわかる。

<まとめ>

 預貸率が100%を超えるオーバーローンの銀行は熊本銀行(107.2%)、北九州銀行(106.0%)、長崎銀行(102.1%)の3行となっている。

 一方、預貸率が60%台の銀行は2行。筑邦銀行は前期比0.1%改善して69.4%となっているが、大分銀行は前期比▲1.6%の60.2%。はたして、「60%台」を死守できるのだろうか。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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